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作者への問合わせメール

  やすらぎの音楽

 ピアノ小曲集(演奏例と楽譜と解説)




   目  次


 1. 珊瑚(さんご)
 2. 鈴(すず)
 3. 母に抱かれて聞いた歌
 4. 黒  鍵
 5. 主旋律のない練習曲
 6. 子 守 歌
 7. 舟歌(バルカロール)
 8. 超 単 調
 9. キラキラ星の主題による変奏曲
10. 安息(やすらぎ)
11. 鐘(かね)
12. パガニーニの旋律による練習曲


 このピアノ小品集を「心のやすらぎ」を求める人々に贈ります。
 あなたもこの「やすらぎの音楽」を弾いたり、聞くことによって心の疲れを少しでもいやしてください。そして、どうぞ気分のさわやかな健康で充実した日々を過ごされますように!
 なお、
  「9.キラキラ星の主題による変奏曲」のTheme部分
      (最初から24小節目まで=22ページ相当分)
および
  「12.パガニーニの旋律による練習曲」
は編曲、その他はすべてオリジナルの作曲です。
 お気づきのことがあれば、作者までご連絡くささい。


 このピアノ小品集は、ピアノを満足に弾けない老人が頑張って作ったものです。
 なぜそのような努力をしたかというと、各曲を「回想創造法」という一連のシステムに対応させて「やすらぎの音楽」効果のBGMとして利用したかったからです。最初は市販のCDなどからピックアップをして使うことを考えたのですが、著作権や演奏権などの問題があって、思うように簡単には利用することができません。
 とくに放送に用いたり、配布をするような場合には細心の注意が必要になります。

 かつて、作者の作品(短編小説)がFM放送局から定期番組として連続放送されたときに、適当な音楽がなくて選曲を局に一任したため、物語の内容にはマッチしないようなことがありました。その折りに朗読の前後に流された音楽は、チャカポカ チャカポカと軽々しく響いて、作者にとっては何とも不本意なものでした。放送局側の説明によると若者にマッチした曲だということですが、私にはどうも理解できません。

 そんなわけで、何とか曲自体も自作をすることにしたのです。
 最初、ヴィヴァルディ風の(例えば、ファゴット協奏曲のような)急緩急の3楽章形式のソナタを作ろうと考えたのですが、やはり技術力が不足しているためでしょうか、なかなか思うようにはいきません。そこで、その前段階の練習として、とりあえずピアノ小品を12曲作ってみました。しかし、それらは思いつくままに作ったもので、それぞれの作品の曲名には、曲に対する深い内容の意味があるわけではありません。

 そんなわけで、この曲集を営業外目的に利用するときには、作者はむろんのこと演奏者のご理解も得て、著作権や演奏権を解放することによって、自由に使っていただこうという計画なのです。とくにボランティアの人たちには、あまり権利などを意識をすることなしに気軽に使っていただきたいからです。(個人の利用であれば、この作者(黒田康太またはKuroda Kouta)の名前を明記すれば、自由に使うことができます。)

 全体の曲を作った基本方針の概要は、
(1) 演奏はやさしいが、できたら演奏会用の曲としても通用する内容にしたい。
(2) オクターブが届かない指の子ども、小さい手の人でも弾けるようにしたい。
(3) 分散和音とペダルを利用して、ギャラントスタイルの効果を出したい。
(4) なんとなく懐かしさを感じるとともに、ユニークな響きを持つようにする。
(5) シャープやフラットをあまり多くしないで簡単な譜にする。

 そんな考えで作ってはみたものの、やはり次のような不安が残ります。
(6) 和音や韻などの約束を詳しくは知らないので、夜郎自大かもしれない。
(7) 楽典に未熟なため、表記法に誤りやムダがあるのではないかと思う。

 それぞれの曲に関して、曲の後に簡単なコメントを記しておきましょう。


○珊瑚(さんご)

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 珊瑚(さんご)
 これは三度と五度の指慣らしの練習です。やすらぎを得る前の気持ちの準備ともいえる曲でしょう。タイトルの「珊瑚」は、ちょっとイメージ的に忠実でないかもしれません。

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○鈴(すず)

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 鈴(すず)
 分散和音で鈴の効果を考えたのですが、果たしてどうだったでしょうか?
 作者はピアノが弾けないので(と言っても他の楽器もまったくダメ)、曲の効果を体験できず、頭の中で考えて作るしかありません。そんなわけで、最初考えたものと違ったものができてしまう場合もあるのです。

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○母に抱かれて聴いた歌

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 母に抱かれて聞いた歌
 最後のページに、参考文献があります。(最後のページとは、「青空のホームページ 総トップページ」から「RIKOページ」へ進み、「おわり」にある「参考文献など」です。) それらは、私が作曲するに当たって学ばせていただいたものです。しかし、その他にも大きな心配があったからです。その心配とは作った曲と同じものや似たものが、すでにあるのではないかと言う不安なのです。

 とくに、短い曲については心細い限りです。そこで、いろいろな曲を聞いてみました。浅学のため、似た旋律やあるいはまったく同じ旋律のあることを、とても恐れているのです。すると、その心配はやはり実現して、実際にあったのです。それは、ベートーヴェンの「ピアノソナタ17番(作品31第2)ニ短調」で、ふつう「テンペスト」と呼ばれるものです。その第3楽章「Allegreetto」冒頭の部分なのです。おまけに、無窮動(Perpetuum mobile)のような感じまでが似ているのです。

 しかし、私の「母に抱かれて聞いた歌」が
(1) ニ短調でなくハ短調である
(2) 8分の3拍子でなく8分の6拍子である
(3) Allegretto でなく Moderato grazioso である
ことなどを考えて、ひとまずやれやれと考えました。
 また、
(4) 「バイエル教則本」第88番の出だしが「雪やこんこ、霰やこんこ……」
(5) ショパンのエチュードだったかバラードの出だしが「雪の降る町を……」
などと似ていることを思い出したりして、厚かましくもほっかむりすることにしました。

 そんなわけで、さらにスカルラッティやチマローザのピアノ曲までを調べかかったのですが、面倒にもなって途中で諦めてしまいました。それはともかく、私が幼かったときに母に抱かれて聞いた(あるいは聞いたような気がした)曲として、記憶の断片から何とか取り出したものが、つまりこの曲なのです。もしかしたら、母がベートーヴェンのその「ピアノソナタ」の3楽章を口遊(くちずさ)んでいたのかもしれませんが、……。
 かつて知人にいちばん古い記憶を尋ねたら、母の胎内への回帰といった人がいました。究極的にはそうなるのでしょうが、鈍感な私にはせいぜい3歳のころまでの朧気な記憶が限界のようです。

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○黒  鍵

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 黒  鍵
 ロ長調でも、嬰ト短調でもありません。黒鍵のみを用いて日本音階風に仕上げてみました。そうかと言って厳密な意味の律旋法・陽旋法・陰旋法などとも、ちょっと異なっているようです。とにかく、聞いたよりも、思ったよりも、驚くほどに簡単に初心者にも弾けます。
 嘘だと思ったら、確かめてみてください。

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○主旋律のない練習曲

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 主旋律のない練習曲
 ここでは、リュートやギターの響きをピアノで模倣してみました。また、ギターの弦を考慮して作ってありますので、もしかしたら開放弦を効果的に利用して、ギターでも簡単に弾けるのではないでしょうか。
 ピアノ曲で、「旋律らしい旋律がない」曲もあります。例えば、ドビュッシーの『映像第一集』にある「水の反映」です。「水に映る影」と呼ぶ人もいますが、「亜麻色の髪の乙女」などと比べると音の扱いが大きく異なっています。ふつう、旋律は単音の連続から構成されます。したがって、「水の反映」は旋律にはなっていない短い断片が反復する曲です。しかし、和音自体が音色の表現をするのですから、いっこうに主旋律がなくてもいいのではないでしょうか。
 例えば、「除夜の鐘」のように単音が単に108回続いただけでも、一幅の光景を示すのですから、あまり旋律とか和音を意識する必要はありません。そこで、この曲は徹底的に和音だけで全曲を構成してみました。それでも、6つの部分からできていて、副題とそれぞれ下のようなイメージの説明があります。

 主旋律のない練習曲(エチュード) イ短調 『風(かぜ)』
    風は南に吹き、また転じて北に向かい、めぐりめぐって再びもとのところに帰る。(旧約聖書から『伝道の書』 第1章6)
(1) 春のうららかな日の風
(2) 夏の執拗に吹く風
(3) 秋の木の葉を散らす風
(4) 小春日和(こはるびより)に暖かくそよぐ風
(5) 冬の粉雪(こゆき)を舞わす風
(6) 積もった雪に吹き当たる風

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○子 守 歌

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 子 守 歌
 やさしい子守歌です。演奏家の名前は忘れましたが、かつてショパンのレコードに子守歌と舟歌が続いてありました。子守歌は作品57で、舟歌は作品60です。そして、
   子守歌には「Barceuse」、舟歌には「Barcarolle」
とありました。
 しかし、舟歌はともかく子守歌を辞書で調べると「a lullaby」とあるだけでした。バルカロールがフランス語ですから、やはりフランス語なのでしょうか。ショパンのピアノ曲では、子守歌はその一曲のみのようです。
 この冊子の「子守歌」の後半の分散和音の部分は、軽くきらびやかに弾いてください。

 だいぶ後(2009年12月)になって、大変なことに気付きました。
 この「子守歌」は、モーツアルトの「ヴァイオリンとビオラのための協奏交響曲」(変ホ長調 K.364)第2楽章の冒頭に何となく似ているのです。その曲は、今までにあまり聞いたことのない曲だったので、その旋律を聞いたときにはショックを受けたことは事実です。どうしても、過去に似た旋律があるものと、つくづく思い知らされました。十二音階などの現代音楽にするならともかく、ふつうの単調な短調のメロディなどは出尽したのではないでしょうか。
 誰かが「旋律の枯渇化」という言葉で説明していましたが、今になってなるほどと思いました。いちおう、チマローザやスカルラッティなどはできるかぎり聞いて調べたのですが、……
 また、ヴィヴァルディの曲が長く忘れられていたことなども、何となくわかります。私が学生時代には、二曲しか知られていませんでした。それも、ヴァイオリンの教則本の中にあったイ短調とホ短調の協奏曲で、ピアノ伴奏譜で知られていただけなのです。長く忘れられて埋もれていた原因は、当時の著名な評論家が、各曲の旋律が似ていると考えて、
 「ビバルディの曲は、(似ているので、すべて繋がった)一曲である。つまり、彼は協奏曲を一曲しか作曲していないのだ。」
 などと暴言を吐いたからでしょう。
 その後、イムジチなどの名演で『四季』その他が、次々と復活しました。楽譜が残っていて、私たちは幸福です。何となく、宮沢賢治のトランクと似た事情かもしれません。
 私は、ビバルディのファゴット協奏曲が大好きです。全37曲のうちで、ホ短調の一曲がとくに素晴らしいと思います。

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○舟歌(バルカロール)

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 舟歌(バルカロール)
 舟歌と言っても、ヴェニスでゴンドラを漕ぎながら歌うものではありません。ここでは、単に調べを疑似化しただけなのです。
 まったく練習曲風の簡単な曲ですから、弾くのに問題はないと思います。

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○超 単 調

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 超 単 調
 最初の「珊瑚」をやすらぎに入る準備としたように、この曲は中間的な気分転換と次の「キラキラ星の主題による変奏曲」に入る準備としての位置づけをもつ曲です。
 しかし、独立して演奏してもよいようにしてあります。まったく平凡そして単純な曲です。だからこの曲は、類似のものがバイエルや他の教則本にすでにあるのではないかと、大いに心配をしました。

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○キラキラ星の主題による変奏曲

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 キラキラ星の主題による変奏曲
 第3変奏が「Allegro」、第4変奏が「Presto」となっています。第4変奏は、なるべく速いテンポで弾いていただきたい。つまり、第4変奏の弾ける速度で、第3変奏の速さも決まってくるわけです。
 添付CDでは、半分近く遅くテンポを落としています。それは、この冊子のどの曲でも、初心者がカバーできるようにと配慮したからです。技術が上達をしたら、第4変奏を見せ場(聞き所)にしてください。(しかし、実際のところ大庭加奈子が、あまり速く弾けなかったのかもしれないんです。)

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○安息(やすらぎ)

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 安息(やすらぎ)
 全体の流れから、心のやすらぎを得ていただきましょう。
 ここでは初心者の参考とするために固く音を区切って弾いていますが、Allegro soaveですから、やわらく速く弾いていただくとよいと思います。
 しかし、最初は一つ一つの音の粒を揃えて、音を明確にお願いします。

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○鐘(かね)

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 鐘(かね)
 中心部では高音の響きを効果的に利用して、鐘の音をイメージしています。鐘は日本の梵鐘を考えていただいても、洋式のものであっても、一向にかまいません。
 つまり、心のやすらぎが得られればよいのですから……。

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○パガニーニの旋律による練習曲

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 パガニーニの旋律による練習曲
 この小品集の最初に、私が書いた曲です。
 トレシングペーパにまず五線を一本一本定規で引き、それから音符を乗せていきました。そして、その反復が何とも面倒な作業であることと、トレシングペーパが滲むことなどを身をもって経験しました。そこで、あとのものは白紙に五線譜(12段、10段、8段)を引いて、それをコピーしてその上に音符を書きました。そんなわけで、冒頭の下げがない曲があるのです。

 それはともかく、私がなぜパガニーニの曲からピアノ編曲を思いついたかをここに述べておきましょう。
 パガニーニのヴァイオリン原曲は、現在ではロ短調になっています。ロ短調はニ長調の並行調で、ヴァイオリンにとっては引きやすい調です。しかし、楽譜を見るとヴァイオリン譜の最下音がなぜかGでなくGシャープでした。そこで、ふっと気が付いたことがあるのです。それはもしかしたら、すべて私の勘違いかもしれませんが……。
 パガニーニが、特殊な調弦法をしていたのではないかということです。スコルダトゥーラの指示をした楽譜は、むろんパガニーニより以前からありました。例えばヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「チュートラ」第12番のロ短調の曲などがそうです。そのアッコルダトゥーラ(調弦法)は、ヴァイオリンでしたら第4弦を3度高く、第1弦を2度低い音に指定しています。しかし、パガニーニの場合にはもっと効果的な方法だったのでしょう。
 つまり、オーケストラはすべてふつうの調弦でハ短調に記し、ヴァイオリン独奏パート、つまり自分だけが半音高く楽器を調弦することによってハ短調の曲をニ短調と同じ要領で弾くようにしたのです。

 そのことによって運指が容易になり演奏が楽ですし、高く張った弦は美しく冴えた効果的な響きで、きらびやかに鳴るわけです。そんなことを自分なりに考えたあげく、この曲をハ短調で聞いてみたいと考え編曲をした次第です。また、リストの「超絶技巧練習曲」を聞いたり、あるいは「パガニーニによる大練習曲」を聞いているうちに、何とか原曲を小学生でも弾けないものかと、やさしいピアノ編曲を考えたのです。
 実際にやっていただくと、簡単に弾けることがおわかりになるでしょう。

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 作者:黒田康太(くろだ こうた)
 ここにある演奏例や楽譜は、個人的な利用の場合、作者の名前を明記すれば無料で使えます。

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Kuroda Kouta (2004.02.23/2011.01.30)