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  rikの「パラサイト・コメンサル入門」



○はじめに
○パラサイトって何?
○要注意パラサイト
○エイズとHIV
○コメンサルって何?
○日和見感染って何?
○ウイルスに感染すると太る?


○はじめに

 パラサイト(parasite)は、寄生虫である。
 しかし、英語では「居候」や「寄食者」のことも言う。「パラサイト・シングル」と言えば、学校を卒業・就職しても結婚をしないで親元で暮らす人たちのこと。また、ヤクザの「紐(ひも)」もパラサイトと言う。

 コメンサル(commensal)は、共生虫
 しかし、それも関係がいつ変わるかわからない。つまり、関係が安定していない寄生なのである。関係が良好のときは、互いに何でもない。しかし、それがいったん悪化すると、必ず片方の悲劇的な結末で終わる。
 ちょうど、村上龍『共生虫』のように、不安定な関係だと最期は思いがけない方法の殺人。

 私たちの体内にいる緑膿菌溶連菌などのような日和見菌(ひよりみきん)であるパラサイトは、いつ豹変するかわからないコメンサルでもあるから、非常に恐ろしい。
 しかし、もっとおっかないのは、血液中にいる得体の知れない生命体。
 エジプトのハトシェプスト女王が、血液に異常をきたして死んだことなどを考えると、私はいつも恐れる。死の間際には、激しい苦痛に耐えられなかったことがうかがえるからだ。絶大な権力を誇った美貌の女性ファラオでさえ、徐々にパラサイトに侵されて、ものすごい断末魔があったらしい。

 抗生物質が発見されていない時代には、なす術もなく多くの人々死が至ったのかもしれない。そして、女王の場合であるから、それが現在まで記録に残っているのであろう。
 つまり、キルケゴールの言うような精神的な問題とは違って、パラサイトやコメンサルに侵されることは、治療の進んでいなかった時代には、言葉通りの「死に至る病」であった。


○パラサイトって何?

 他の生物から栄養を取って生きている生物。
 地球上のすべての生物には、必ずパラサイトがいると言ってもよいくらい。当然、私たちの身体の中にも無数のパラサイトがすでに入っている。
 体外にいる顔ダニや体内にいるサナダムシやのように、何とか目で見える大きさのものから、非常に小さく電子顕微鏡でなくては見えないような微少なものがある。
 体内にいるものは、「内部寄生」と言って消化器や血液の中で生きている。


○要注意パラサイト

 ここでは、まず一般的なパラサイトをあげてみよう。

・クリプトコッカス
 ハトの糞などにいる。この菌は、どうやら高いところへ向かう性質があるらしい。
 ハトを追いかけて遊んだ子どもが、体内に入ったクリプトコッカスのために、脳を侵されたという記録があった。血液に入ったクリプトコッカスが、次第に登っていって最後は脳に住み着いたようだ。


・歯周菌
 歯周病の原因である歯周菌が血液中に入ると、いろいろな問題が生じることが報告されています。
 歯を磨いたときに出血した場合、歯茎が腫れた場合など、血液中に歯周菌が侵入してしまうらしい。


・アニサキス


・エキノコックス


・日本住血吸虫


・トキソプラズマ


・顎口虫(がっこうちゅう)


・マラリア原虫


・回旋糸状虫(かいせんしじょうちゅう)


・淋菌


・トリコモナス


・カンジダ



・クラミジア

・緑膿菌

・溶連菌

 なお、クラジミア・緑膿菌・溶連菌については、ここ を参照してください。


○エイズとHIV

 エイズとHIVについて、あらましを知っておく必要がありそうです。
 まず、エイズ。これは、菌ではなく病名。シンドロームが付いているので、おわかりでしょう。
    Acquired Immuno Deficiency Syndrome

 Acquired=後天性、Immuno=免疫、Deficiency=不全、Syndrome=症候群
ですから、「後天性面積不全症候群」と言われます。
 1983年に、エイズの原因ウイルスが発見されました。

 このエイズは、
    Human Immunodeficiency Virus

 Human=ヒト、Immunodeficiency=免疫不全、Virus=ウイルス
 つまり、「ヒト免疫不全ウイルス」によって起こる病気です。
 なお、HIVは血液中の白血球のひとつであるCDリンパ球に感染をして、破壊します。そのために、ふだんなら問題がないウイルスや細菌、そしてカビなどの病原体に感染しやすくなるのです。

 「HIVの感染」と「AIDSの発病」とは、まったく同じではありません。
 なぜならば、感染しても発病するまでには長い無症候の時間があるからです。ふつう、約10年くらいの期間があるようです。


○コメンサル

 コメンサルには、どのようなものがあるか。
 コメンサルとパラサイトの区別がつきにくかったり、一時期はコメンサルであって最終的にパラサイトになるようなものもあります。

・アリとアリマキ
 もっとも有名な共生関係でしょう。
 アリマキは、アブラムシとも言います。

・ハゼとテッポウエビ
 テッポウエビは視力が弱いために、敵が近づいてもわかりません。ハゼは、目がよいのでエビの巣穴に同居して見張りをします。エビは触覚をハゼに触れて、ハゼの動きによって敵の来襲を知ります。つまり、お互いに助け合っているのです。


 また、一方的に利益を得ている場合もあります。

・クマノミとイソギンチャク
 クマノミは隠れ家としてイソギンチャクを利用するが、いっぽうのイソギンチャクはクマノミから何ら目立ったメリットを得ていない。


○日和見感染って何?

 よくいう日和見感染(ひよりみかんせん)とは、何のことでしょうか。
 私たちの体内には、多くのパラサイトが寄生しています。
 そして、それらは健康なときには身体に入っていても、病気を引き起こしません。
 しかし、体力が衰えるなどして、身体自体の抵抗力が低くなると、病気にかかってしまいます。つまり、日和見感染症は、身体の弱った高齢者や抗ガン剤の投与で免疫力の弱くなった人に現れる現象なのです。


○ウイルスに感染すると太る?

 内科と泌尿器科の先生に、診察のときに

 「血液中にパラサイトが常住すると、ものすごく腹が減るのでしょうか?」
と聞いたら、
 「そんなことはない。」
と答えられた。
 しかし、私には「そんなことはない」とは、どうしても思えぬ。
 その後、調べたことを以下にメモしておこう。

 ふつうの肥満の場合である。
 自分が消費するカロリー以上の食事をすると、次第に太っていくことは事実。つまり、肥満になる。出納のバランスが崩れて、カロリーが体内で余り蓄えられるからである。
 しかし、カロリーの摂取と消費の関係だけではなく、ウイルス感染が「太ること」に関係しているのではないかという研究報告がある。

 ルイジアナ州立大学のニクヒル=ドゥフランドハル博士とマグダレナ=パサリカ博士は、脂肪吸引(美容のための一つの方法)で採取した脂肪組織から幹細胞を取り出して、ウイルスを培養した。すると、幹細胞の多くは脂肪細胞に変化したという。
 つまり、造血や表皮組織の再生などに関係して、特定の機能をもつ細胞に分化する能力をもち、自己増殖を続ける幹細胞が、脂肪を蓄える脂肪細胞に変化したという。

 実験に使われたウイルスは、風邪の原因であるアデノウイルス36。そのアデノウイルス36は、幹細胞を脂肪細胞に変えて脂肪を蓄えやすくしたのだから、いったん太ってしまったら抗生物質を服用しても、もはや痩せることはできないらしい。

 病気でありながら、肥満体の体(てい)。そして、「腹が減ってしかたがない」のは、以上のようなことにも関係するのではないか。


Kuroda Kouta (2007.10.05/2007.10.26)