入院入門



はじめに
胃腸器・内科クリニックの訪問
イワン・イリッチの死
立てば芍薬座れば牡丹
入院時の様子
名札を付ける
高齢者・老人の増加
独り生活の危険性
脳梗塞にならない工夫
記録を残しておこう
五観の偈(ごかんのげ)
大自然をお迎えする儀式
今までの食事……食べる量
感謝の言葉
溲瓶(しびん)が手に和(なご)む
卒啄の機(そったくのき)
点滴とは?
血糖値
おしめ(襁褓)とおむつ(お襁褓)
拘禁服
大便・小便は汚いか?
髭の話
爪と手の甲
歯は早く清掃しなさい
足の裏揉み(うらもみ)・指広げ
脹ら脛(ふくらはぎ)揉み
爽健美茶(そうけんびちゃ)・evian(えびあん)
水分の補給……水の飲み方
腰の痛みと肩の凝り
膝の痛み……リリカカプセル
歩け・歩くな
腹部の痛さについて……阿修羅王・幻肢
虫が這う(はう)感覚
薬の再配置
薬のネット販売
薬の常備
照明と保安電力
配膳と給湯(きゅうとう)
病院の食事
災いは口から出て、病は口から入る
入院時の散髪
五分粥の事実
寝痣(ねあざ)を作らないようにする
寝るときの姿勢
入院後の状態
退院後の問診
退院後の問題……環境が変わると
退院後の注意(1)……再発をしないために
退院後の注意(2)……退院後の身体の変化
退院後の注意(3)……食べ物・水と生活習慣
退院後の注意(4)……片づかない・ゴミ屋敷
退院後の注意(5)……合併症など
記憶力の減退に注意をしよう
持ち物の管理
再入院の心配……再入院をしないために!
サプリメントの利用
橘さんの意見
便秘の資料
リハビリテーション
温泉の利用
飲み水について
ビールについて
再入院をしないために
疲れから出る症状
互いの安否について
高血圧・糖尿病は治しておこう
肩凝り・便秘にはふだんから気を付ける
大井川の渡し(1)
大井川の渡し(2)
大井川の渡し(3)
お先に失礼
参考文献・参考資料など
トルストイ『イワン/イリッチの死』
「立てば芍薬座れば牡丹」
カフカ『変身』



はじめに

 意識がなくなって、救急車で大学病院に搬送された。そして、その夜に行われた緊急手術によって、かろうじて私は生き延びることができたのである。

 その今回の一連の事件に関して、私なりに記録をしておこう。
 今後、私と同じような立場になった人に、参考になるかもしれないからです。とくに高齢者の場合は、病院において慣れぬためにまごつきます。慌てないで治療に専念をして、一日も早く退院するために必要なノウハウがここにあるかもしれません。
 私はいつ頃からか、何となく体調が悪かった。そして、とうとう意識不明になって、救急車で大学病院に搬送されたのです。おそらく、大腸ガンの末期症状であろう。しかし、大学病院で直ちに緊急手術をしてもらい、かろうじて退院ができるまでに回復をしました。救急隊員の方々をはじめ、大学病院の皆さんのお陰である。その一連の経験は、私の一生にとって、まったく未経験のことであって、考えてみれば有り難いことである。

 私の人生における素晴らしい人たちとの出会いが、この入院で実現した。いちいち「○○さん」とは書かないが、すべてを貴重な思い出として、ここに記しておきたい。
 中には、単に聞いた話、自分なりに知った話などがあって、内容に間違いがあるかもしれない。そのような場合は,今後何とかして修正をしていきたいと思う。
 また、自分自身がわからなかったことなどは、調べて【】内にメモをしておいた。何かの参考になるかもしれないと考えたからです。


胃腸器・内科クリニックの訪問

 古稀を過ぎたころから、どうも身体の調子がよくない。
 問題は、大きく二つある。
 一つは、腸などの内蔵。大腸ガンになるのではないかという心配。
 そして、もう一つは脚の膝(ひざ)。痛くて歩けないことがあるからである。
 どうも ここのところ、よく転ぶ。おそらく、三半規管の故障かもしれない。意識はあるが、平衡感覚を失っているので、起き上がれない。回りの人の話し声などは聞こえる。中には、「救急車を呼びましょうか?」などと言ってくれる人もいた。幸い、まだ転んだときに頭を打っていない。仰向けに転んだりすると、大変なことになりそうである。
 膝の痛いのは、通販のグルコサミンEXなどで凌(しの)いできた。しかし、治りそうもない。
 そのように、具合が悪くなり始めたので、妻の意見もあって、近くのクリニックを訪問した。
 内科と整形外科である。
 しかし、その内科では私の疑問や回答、そして触診などはしてもらえずに、その日は『酸化マグネシウム「重質」カマグG 0.67g』というハトロン紙に入った30日分(約100袋)を処方されて帰った。つまり、便秘の下剤である。
 それから救急車によって大学病院に搬送されたのは、数日後であった。
 膝の痛みについては、近所の整形外科に行ってみた。四時間近くも待たされる大繁盛の医院である。リハビリの一環として、電気マッサージと水によるマッサージをしている。それらは、とても気持ちがいい。しかし、院長の話によると、痛み止めを飲んで痛さを取るか、膝から水を抜いて痛みを取ることしかないようだ。
 膝の痛みのほうは、内臓の故障の間は問題なかった。自分自身の体重が、かなり減ったからであろう。一時は100kg程度有った体重も、66.5kgと激減。脚にかかる負担が小さくなったためかもしれない。

【三半規管(さんはんきかん または さんぱんきかん)】 内耳にある器官で、互いに直角をなす半円形の管(半規官)三個。平衡感覚をつかさどる。

イワン・イリッチの死

 イワン・イリッチという実在の人もいたようであるが、ここではトルストイの小説『イワン・イリッチの死』の内容である。私は、その主人公イワン・イリッチのような自分自身で考えた疑問や苦痛の果てに苦しんで死ぬのはいやである。そこで、もっと明るいことを考えて、助けていただいた自分の生死(しょうじ)に立ち向かって生きて行きたい。そこで、自分なりの態度で、明るく今回の事態に対処したのである。考え方も、今までと大きく変わったのである。
 つまり、あまり小さなことにこだわらずに、明るく将来を考えて、対処していきたいと考えるようになった。

 私が、この小説を読んで感じたこと。著者(トルストイ)は「死んだ経験がないのに、よくそこまで気持ちを表現できたものだということ。最後のくだり。


【イワン・イリッチの死】 一人の俗人が病になって、苦しみながら最後に死を受け入れる。そして、曰く「自分は山を登っているものだと思い込みながら、実際は坂を下っていたようなものだ。」


立てば芍薬座れば牡丹

 病院に入院すると、看護婦さんたちがいる。彼女らは、たいがい美人である。昔風に言えば「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」である。中には、宝塚のトップスターにでもなれるような容姿端麗の人も多い。
 しかし、そのような人たちが、なぜこの仕事を選んだのだろうか? むろん、ご本人の希望もあったでしょう。また、ご家族のご意見なども関係したかもしれない。
 いずれにしても、美しい人たちである。

【立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花】 美人の姿を形容することば。芍薬(しゃくやく)……ボタン科の多年草。観賞用に古くから栽培された。牡丹(ぼたん)……中国原産。中国では「花王」と称する。観賞用・薬用。百合(ゆり)……六十種類ほどあるが、園芸品種も多い。

名札を付ける

 本人かどうかを確認するために、名札を右手に付けた。点滴をするときなどに、本人かどうかを確認されることがある。しかし、文字が小さいので、実際には眼鏡がないと自分では読めない。もう1ポイント大きくしてくれたらよいと思った。


高齢者・老人の増加

 臼井大一郎先生の話によると、多摩市には独り暮らしの老人が三万人もいるという。
 いずれも、一人で生活をしているので、事故が起きる確率は大きい。なるべく、そのようなことにならないためにも、私なりにこの『入院入門』のような注意事項やメモを残しておきたいと思った次第。

【多摩市の人口】
 なお、平成25年(2013年)11月20日の時点で、多摩市の人口と世帯数の統計は、
  人口(人)  男(人)  女(人)  世帯
  146,324   72,043   74,281  67,595
となっている。

 つまり、単純に考えると「世帯に入っていない男女」が、かなりいる。そして、世帯に入っていないで独りで生活をしているということは、今回の私のようなリスクを生活にもっているということである。
 例えば、風呂の入浴など。湯船の中で倒れてしまえば、おそらくアウトであろう。助ける者が誰もいないからである。また、救急車を呼ぶことさえもできない。
 そんなわけで、私は妻に「私が入院をして独りのときは、自宅の風呂に入ってはいけない」と言っている。その代わり、費用はかかるがスーパー銭湯や温泉に行くのである。費用がかかっても、安心を考えると安いと思う。そこで、もしも倒れても、救急車を呼んでくれるだろう。
 つまり、自宅で独りで入浴するよりも安全な入浴ができることになる。


独り生活の危険性

 高齢者のひとり生活には危険がいっぱい。
 例えば、風呂に入るときやトイレなども注意しなければならない。また、ガスの利用から火事の危険性もある。
 独り住まいの場合の立ち居振る舞いについては、すべてが危険を伴っている。
 風呂に入っていて、倒れたらアウトである。自分で、救急車を呼ぶこともできないでしょう。
 また、トイレで力(りき)むときは、血圧が上がります。そんなために、脳梗塞の引き金になってしまうことがあるようです。実際に、冬期にトイレで倒れる人は意外に多いらしい。現在は、トイレがかつてのように母屋から離れた場所にないので、だいぶ安全になったと思います。

 いざというときのために、救急車の呼び出しや、入院をするときの道具・着替えなどをボストンバッグや紙袋に用意をしておく必要があります。つまり、ケータイ電話・その充電器・眼鏡・洗面具・歯ブラシなどの日常品と肌着などの着替えなどである。
 それらは、いったん自分が入院をしてしまえば、誰かが取りにくるしか手元には来ない。そのようなことを考えて、独り暮らしのときは、常に注意をしておくべきである。救急車に乗せられるときに、紐で繋げた一連の鞄・紙袋類を携行できるようにしておきたい。自分で運べなくても、救急隊員の方にお願いをするとよいでしょう。


脳梗塞にならない工夫

 脳梗塞になって、アウトになる人が増えているという。高齢になると血圧が高くなって、どうしても血液の梗塞を起こしやすくなるらしい。そこで、血圧を高くしないで、安全な日々を送らなければならない。血圧が高いときは、内科に通って、血圧降下剤を服用したほうが安全である。
 いちばん悪いのは、薬をまったく飲まないのと、ある期間薬を服用していて、やめてしまうことらしい。つまり、
(1) 薬を飲むならば一生飲み続ける
(2) 飲まないならば、まったく飲まない
のいずれかであって、
(3) ある期間、飲んでいたのを何らかの理由で止めてしまった
というのが、いちばん問題になって、危険らしい。
 脳梗塞にならない注意として、そんなことを平素からよく認識しておく必要があるでしょう。


記録を残しておこう

 今回の貴重な経験の記録を自分なりに残しておこう。
 自分自身のメモや思い出とするほかに、妻や親しい人たちの参考になるかもしれない。しかし、「いつ、どこで、どうしたなど」というような具体的な記録は残さずに、簡単に記しておきたい。人物の名前が出てくるのは、ごく私の親しい人だけである。.例えば、臼井大一郎先生や渡邊五郎師である。
 したがって、大学病院の救急看護室に運び込まれて、そこで多くの方々のお世話になったわけであるが、いちいちお名前は記さない。それでも、記述内容が多くの方々の参考になると考えたからである。


五観の偈(ごかんのげ)

 渡邊五郎師から聞いた話である。
 五観の偈(ごかんのげ)とは、食事をするときに唱える偈文(げぶん)である。ふつう、手を合わせて次のようなことを言う。
(1) この食事がどうしてできたかを考えて、食事ができるまでに関係をした多くの人々の働きに感謝をします。
(2) 自分の行いが、この食事をいただくに値するものかどうかを反省します。
(3) 心を正しく保って、誤った行いを避けるために、貧(どん)など三つの過ちを持たないことを誓います。
(4) 食とは良薬なのであって、身体を養い、正しい健康を得るために頂くのです。
(5) 今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。
 渡邊五郎師が、VITA七階の『風』(ふう)で食事をなさるのを遠くのテーブルから何回かお見受けした。厨房から昼食のトレイを持って来られると、ていねいに五観の偈(ごかんのげ)をなさる。
 師は、僧籍をもっておられぬと思うが、それでもその光景は、私にとって天台座主(てんだいざす)がそこに座っておられるようなイメージであった。それほど、穏やかではあるが、厳か(おごそか)なのである。

【貪】 痴・嗔・貪(ち・しん・どん)の一つ。つまり、愚痴・怒り・貪(むさぼ)りなどのこと。

大自然をお迎えする儀式

 私は、以前から自分のする食事自体について、次のように考えてきた。
 食事は、そもそも食材という形で、大自然の一部を自分の身体にお迎えするのである。野菜にしてもそうであるが、魚・肉などもすべてそうである。そして、そのセレモニーともいうのが、食事であると考える。そして、食事によって自分自身が自然と合体するのである。何とも有り難いことではないか。
 しかし、そのような大事なセレモニーであるにもかかわらず、片手をちょっと翳す(かざす)くらいで簡単に済ましてしまうことが多かった。何とも恥ずかしい次第である。


今までの食事……食べる量

 今までは、味わわないで食べていることが多かった。噛まないことに、慣れてしまっていたのである。恥ずかしいことである。味わって、よく噛んで感謝の気持ちで食べることが、日々大切である。むろん、食前や食後に五観の偈(ごかんのげ)を忘れてはいけない。
 単に、腹が減ったから食べるなどというのは、かなり愚かなことである。食事の意味を考えると、そんなことではいけない。

 一説によると人間の一生の間に食べる量は決まっているなどと言う。したがって、いっぺんに多く食べる人は、全体の回数が少なく、反対に小食の人は、食べる回数が多くなるという。そのどちらを選ぶかは、個人の性格にもよるだろうが、あまり大食いをしてはいけないことは、何となく私にもわかるような気がする。


感謝の言葉

 今回の自分自身のダウンで、私は大いに反省をした。
 今までのような尊大な生き方ではなく、これからはすべてに感謝をして生きて行こうと反省をして考えたのである。そこで、すべてに「ありがとう」を言う。時には、「ありがとうございました。」、「どうも」などと言うこともある。
 私は、サイゼリアで500円のランチを注文したときも配膳をしてくれたウエイトレスに「ありがとう」と必ず言う。また、吉野家の280円の牛丼のときも、そうである。だから、病院の部屋で「ありがとう」と言っても、自分自身ではあまり抵抗を感じない。すべて心から言うのである。そして、それが自然に言えるようになってしまう。つまり、「ありがとう」の気持ちが、いつも心に芽生える。
 それから、今までによく口に出した「疲れた」「面倒くさい」「どっこいしょ」などという言葉は、慎(つつ)むようにしようと思った。


溲瓶(しびん)が手に和(なご)む

 新しいベッドになって、お漏らしをすると大変だと考え、溲瓶(しびん)の手配を看護婦さんにお願いした。すると、まったく新しい新品の溲瓶(しびん)の手配をしてくれた。その器には、マジックインキで「C5」と書いてあった。
 その溲瓶は、不思議なことに、まったく手に和(なご)んで使いやすい。それからは、粗相(そそう)をすることは一回もなかった。同じプラスチック成形を経て作られた製品であろうが、なぜかそれが手に和んだのである。容器の入口の回りから漏れ出すこともなく、スムーズに流れ込む。親しみさえも感じて、何とも有り難いことだと思った。


卒啄の機(そったくのき)

 卒啄の機(そったくのき)という言葉がある。ちょうど、その時期にタイミングが合うことである。もともとの意味は、卵が孵化をするときに、卵の中にいる雛(ひな)が殻(から)を自分の嘴(くりばし)で破ろうとし、同時に親鳥が外からもつついて、殻を破ろうとする。そのタイミングがピタッと一致して、雛鳥(ひなどり)はこの世に生を受け、外の世界に出ることができるのです。もともと禅語なので、啐啄同機(さいたくどうき)とも言います。
 私が手術の前に「痛い・痛い」と喚(わめ)いたのは、この卒啄の機(そったくのき)と同じだったのではないでしょうか。つまり、身体の内側からもまだ痛いところがあって、それを外側から手術で取り除いていただくことを何となく願っていたのかもしれません。
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点滴とは?

 入院をすると、ふつう点滴が始まります。そもそも点滴とは何だろうか?
 点滴とは、点滴静脈注射と言って、ボトルやバッグに入れて吊した薬剤を注射針から少量ずつ、ふつうは一滴ずつ投与する方法です。つまり、経静脈投与(静脈注射、静注と略すことがある)の一種であり、単に点滴とも称される。
 しかし、入院の間に点滴をしている患者は、移動をするときに点滴液を吊(つる)した柱を持ち運ばなければならず、倒れたりすると危険であるし、移動に不便である。
 あまりに点滴の種類が多いので、亡くなった大岩先生は、
 「看護婦さん、その点滴はなんでしょうか?」
と尋ねるそうである。そして、メモ用紙に控えておく。それを後で見ると、文字がぐにゃぐにゃしていて何がなんだか読めないのであるが、そうすることによって間違いを減らすことができると言っておられた。その頃、すでに十五年くらい前のことで、大岩先生はよく武蔵境の日赤に入院をされていた。


血糖値

 血糖値の測定を日々してくれる。左右いずれかの指に小さい穴を空けて、血液を取り出す。そのときは、チクッとする。そして、別の容器に取って、直ちに血糖値を測定する。
 ときには、低血糖になっていることもある。そのようなときは、ブドウ糖の粉を飲まされる。それは、甘くて美味(おい)しかった。
 血糖値は、血液内のブドウ糖の濃度。健康な人の場合、空腹時血糖値は80~100mg/dlくらいであり、食後は少し高い値になる。
 血糖値が下がったときに、飴(あめ)を舐(な)めるのも一つの方法である。そんなために、平素から飴を用意している人もいるようだ。


おしめ(襁褓)とおむつ(お襁褓)

 おしめが「襁褓」と書くのに対して、おむつは「お襁褓」である。
 同じ字を用いているのが、不思議である。


拘禁服

 ベッドから足を投げ出すと気持ちがいい。そこで、私はいつもそうしていた。しかし、看護婦さんはそれを「いけない」と言う。そして、ベッドに組み込むアラーム板のような器具を取り付けた。すると、以後は足を投げ出すと看護室のアラームが鳴って、看護婦さんがやってくる。つまり、ベッドを抜け出そうとする者がいるというのである。
 それでは、なぜベッドを抜け出すといけないのか? おそらく歩行の際に転倒をしたりして、危険なのであろう。転倒をすると、せっかく縫合をした箇所が開いてしまって、再縫合をすることになる。そのようにすると、傷口が大きくなるので、回復に時間がかかってしまうかららしい。
 あまり多く出ようとする患者には、拘禁服を着せると言う。私は経験のために、それを着てみようと考えたが、どうも気持ちのよいものではなさそうなので、ベッドから足を投げ出すのをやめてしまった。
 子供の場合もそうであるらしいが、拘禁服は上下が続いて一体となっているそうだ。おそらく、自由があまりなく窮屈なものであろう。襁褓(おしめ)なども、しっぱなしで不潔かもしれない。大小便ができないので、気持ちが悪いと思われる。私には、そんなにまでして、歩行を禁じているのが不思議であった。
 なお、私のベッドに取り付けたアラーム板は、別な人が必要とするので、次の日に取り外しをして持って行ってしまった。


大便・小便は汚いか?

 大便には大腸菌が多く含まれているので、不潔である。
 しかし、小便は腎臓で作られるので、本人に病気でもない限り、出たばかりは無菌であって、むしろ清潔である。山で遭難をしたり、地震などで地中に埋められた人が、自分の尿を飲んで助かったという話をよく聞く。宇宙飛行士なども、自分たちの小便のリサイクルをしているようである。
 そんなことも、常識として知っておくほうがよいでしょう。


髭の話

 渡邊五郎師が見舞いに来てくれたときに、ふと漏らしたお言葉。
 二週間以上剃(そ)らなかった私の無精髭(ぶしょうひげ)を見て、じょうだんに「髭を伸ばしたらどうか」とおっしゃった。その話は、それでお終(しま)いなのであるが、私の髭は何とも立派なものである。
 髭が伸びてくると、先が三本に分かれてくる。つまり、針葉樹林の木のようにである。そして、その先も、さらに三本。まったく木を小さくしたような構造である。触れてみるとザリザリと抵抗を感じる。そんなわけで、退院をする前の日に、カミソリで剃(そ)るのではなくバリカンで刈(か)ってもらった次第。


爪と手の甲

 爪と手の甲には注意が必要である。
 右手の親指の爪が剥(は)がれてしまい、下が白くなってしまった。つまり、爪が皮膚から浮いてしまって、そこが黒くなってしまう。退院後に、その部分を切ってしまったら、次第に治っていくみたい。入院中は、身体に別の故障を持ちたくないので、我慢をしていた。
 また、何もしないのに右手の甲に黒い痣(あざ)が一面にできた。これも、軽い内出血のようで、気にしなかったのだが、退院の日には治っていた。
 何かと入院中は体調を崩してしまう。そして、それなりに具合の悪いところが出てくるようであるが、あまり大げさに考えないほうが、よい場合が多い。とにかく、本来の病気に打ち勝つんだという気力が必要であろう。
 細かいことに気をかけないということも、病気を治すためには必要なのかもしれない。


歯は早く清掃しなさい

 看護婦さんから教えられた。
 食事が済んだ後に、看護婦さんから「歯を磨きましたか?」と聞かれた。私が、「まだです」と言うと「歯に棲んでいる菌は、ものすごい速さで侵蝕を始めるので、一時も早く磨いたほうがよい。」と教えられた。それ以後、私は食事がすむと直ちに歯を磨くようにしている。
 それは、退院後の今も続いている。外食をしたときは、どうしても歯磨きが疎かになる。そこで、歯ブラシを持参して外食をするようにしようと思う。
 また、入院中は歯科医に行けない。そこで、回数を増やして入念に磨くようにする。つまり、食後とお茶を飲んだ後などである。歯全体と歯の隙間などを丁寧に磨くのである。歯というよりは、むしろ口腔(こうくう)内の清掃と言っても、よいだろう。


足の裏揉み(うらもみ)・指広げ

 血行をよくする方法を考えた。
 入院中にベッドで寝ていると、どうしても運動不足になってしまう。
 そこで、時間が空いたときに胡座(あぐら)のような形になって足の裏揉み(うらもみ)をする。人によって異なると思うが、胡座になると右足の左側と左足の右側がくっつく。それぞれ裏から見た左右である。そのようにして、足の裏を手の親指で揉むのである。つまり右の足裏を右手の親指、左の足裏を左手の親指。かなり強く揉んでも大丈夫。痛いくらいでよいのかもしれない。
 その後、右足の親指、中指、そして次々と小指まで。引っ張るようにして指を広げる。両手を使うので、右足が済んでから左足を行う。
 そんなことをすると足の血行がよくなって、運動不足が解消できるかもしれない。
 入院をすると、足が衰えていくみたいである。歩くとフラフラするときがあるから、そのことがわかる。少しでも足や下半身を鍛えておくほうが、退院をするときに有利であろう。


脹ら脛(ふくらはぎ)揉み

 脚の裏揉みをしたら、ついでに脹ら脛揉みをするとよいでしょう。
 脚の裏揉みをした姿勢で、左右の脚の脹ら脛を左右の手で軽くマッサージすることができる。あまり揉んだことのない箇所なので、気持ちがいいかもしれない。そこを揉むことによって、運動不足を解消できるかもしれない。とにかく、気持ちのよいことは事実であるから、ときどき脹ら脛を揉むこともよいかもしれない。


爽健美茶(そうけんびちゃ)・evian(えびあん)

 好き好きはあるだろうが、基本的なことを知っておく必要がある。
 私の場合、妻がファミリーマートという病院内の売店で、買ってきてくれる。爽健美茶(そうけんびちゃ)・evian(エビアン)の小瓶(330ml)である。
 爽健美茶(そうけんびちゃ)には、「カフェイン・ゼロ」と書いてある。
 evian(エビアン)には、「カルシウム・マグネシウムがバランスよく閉じ込められています。」と書いてある。そして、煮沸をしていない生水(なまみず)である。
 私は、この二本で一日を過ごす。
 日本の清涼飲料水は、すべて法令によって高温滅菌をしているので、いわゆる生水はないだろう。富士山麓の水と言っても、いわゆる生水ではない。それに比べるとエビアンは、法令の違いもあって生水のままである。そのために、かつて製品の中に黴(かび)が生えて問題になったことがある。仕方のないことかもしれない。また、せっかくのカルシウム・マグネシウムなども、日本人の体内では消化できないのではないだろうか?


水分の補給……水の飲み方

 生きて行くためには、空気・水・食べ物などが必要。水も、身体に不足をすると体調が維持できない。
 その水の飲み方にも注意をしなければいけない。
 できたら、生水を飲むようにしたい。湯冷ましやペットボトルなどは、いったん水を煮沸しているから、衛生的には安全であっても、あまり好ましくないでしょう。なぜならば、人類は過去の時代に、井戸や川から飲み水を得ていて、それらがいわゆる生水であったからである。

 また、いっぺんに沢山の水をガブ飲みするのは、身体にこのましくないでしょう。西式健康法の本に「生水は盃の量くらいにしてチビチビと数回に分けて飲む」とありました。


腰の痛みと肩の凝り

 手術をした後の傷がかなり大きいのだから、痛いのであろう。絶えられないくらいの痛みと凝りである。実際に、ベッドから起き上がれないのである。痛みのために、立てない。ベッドの手摺りにつかまって、寝返りをするのであるが、なかなか起き上がれない。そんな日が長く続くと、やがて足が萎(な)えてしまって、寝たきりになってしまうのではないかと心配である。
 私の場合、痛みが弱くなってきたら、それに引き続いて激しい肩凝りが始まった。これも、なかなか絶えられないくらいであった。単純に凝るといっても、凝り固まってしまう感じである。そして、首を左右に曲げるのも痛みを伴うのである。
 考えてみれば、膝で身体を支えられること自体がありがたいことである。また、関節が自由に曲がることも素晴らしいことだと思う。人間の身体は、ちょっとした事故で、思うように動かなくなるらしい。そして、再び元のようになるには、それなりのリハビリテーションが必要になるようだ。
 健康で通常の身体は、何とも素晴らしいものと理解ができた。


膝の痛み……リリカカプセル

 内蔵が悪いと感じながら、しばらくして足も具合が悪いことに気付いた。
 長年、O脚で歩いたために、膝の関節がすり減ってしまったらしい。そこで、倒れて入院をする前は、内科と整形外科に通院していた。
 その整形外科で、処方された薬とともにもらった「リリカプセルを服用される方へ」という案内には、「リリカプセルは、過剰に興奮した神経から発信される痛みの信号を抑え、痛みをやわらげるお薬です。」とあって、次のような説明があった。

 リリカプセル服用にあたってのご注意
 ●このお薬は、めまいや眠気、意識消失があらわれることがあります。
 -特に高齢の方は、転倒の危険がありますので、充分に注意してください。
 -服用中は自動車などの運転や危険を伴う機械の操作を避けてください。
 ●人により体重が増えることがありますので、肥満の兆候があらわれた場合は、ご相談ください。
 ●腎臓が悪い方、透析を受けている方、心臓が悪い方、妊娠中または授乳中の方は、必ずご相談ください。
 ●アルコールはお薬の作用を強めることがありますので、注意してください。

 ●このお薬は、痛いときだけに服用するお薬ではありません。
  ある一定期間服用を続けることで、効き目を発揮します。
 ●このお薬は、効き目があらわれるまで数日から一週間ほど時間がかかることがあります。効き目があらわれるまで、医師の指示通りに服用を続けてください。
 ●少なめの量から開始し、徐々に量を増やしていくことがあります。
 ●ご自分の判断で服用を中止したり、服用量や服用回数を変更せず、必ず医師にご相談ください。
 ●服用を急に中止すると、頭痛、下痢などがあらわれることがあります。
 ●服用を忘れた場合は、気がついたときにできるだけ早く一回分を服用してください。
 ●誤って多く服用した場合はご相談ください。
 ●ほかにお薬を服用している場合(薬局で買ったお薬も)、必ずお伝えください。

 しかし、これだけの注意を守ることは、なかなか大変である。
 そんなわけで、私はこのリリカプセルを服用することをやめてしまった。何となく、予期していないことが起こる恐ろしさがあったからである。


歩け・歩くな

 単純に考えると、どうであろうか?
 手術が終わって、一段落したころのことである。先生や看護婦さんたちは「歩きなさい」「歩いては、いけません」などと、よくおっしゃった。まったく、反対の指示であるが、それは次のような意味合いがあったことと思う。
 「歩きなさい」とは、言葉通り「歩いてリハビリテーションをしたり、健康を回復しなさい」という意味。
 そして、「歩いては、いけません」とは、「歩行のときに転んだり、躓(つまず)いて外傷を負ったり、傷口を開いてしまう危険が多いので、注意をしなさい」ということであろう。
 そこで、私は歩くのを減らしてしまった。腹の傷口が広がらないようにと考えたからである。それでなくとも腹の傷口が痛むのに、再縫合すると大変なことになると心配をしたから。その代わり、手術をした腹部を大切にして足腰は別の方法で弱めないように注意をすることにした。


腹部の痛さについて……阿修羅王・幻肢

 腹部の自分自身の身体には、実際にはない箇所の痛さについて。
 手術をしていただいた腹部の痛さについては、何とも耐えがたい。朝に点滴で痛み止めをしてもらっても、すぐに痛くなるのである。その痛みについて、少し書いておきたい。
 実際には、腹部や肩の上の部分は自分の身体にはないはずであるが、あたかも興福寺にある国宝・重要文化財阿修羅像(あしゅらぞう)のような感じである。手が何本かあって、それぞれに痛むのである。私は、三面六臂(さんめんろっぴ=三つの顔に六本の腕)ではないが、痛む感じが分散をしている。
 また、三葉虫の感じにも似ている。自分の右半分が虫になってしまって、その各指が痛むのである。カフカの『変身』に出てくるグレゴリー・ザムザのようにである。
 何で、そのような苦痛があるのかがわからない。痛さというより、むしろ拷問の感じである。咳払いをするだけでも、痛いのである。肩の部分を妻に揉んでもらうと、痛みは少し和(やわ)らぐのである。しかし、その激しい痛みも退院をして二・三日すると和らいできた。そして、痛みというよりも肩が凝(こ)るようになったのである。

 怪我などをして失われた身体の部分が痛んだり、意識したりするのを幻肢という。例えば右手を失った人が、右手の親指が痛いなどという。実際には、すでにその部分はないのであるが、そういう感じがするのである。やはり、脳にある記憶をする部分が作用をするのではないだろうか? この幻肢の現象に似た小さい感覚が、私の腹部にも、ときどき現れるのである。すでに、その部分は手術によって切り取られているというのに。……


虫が這う(はう)感覚

 虫が這っているような感覚。
 ときどき、体内を虫が這(は)っているような感覚を覚える。また、感覚だけでなく目に見えるような錯覚をすることがある。
 あるとき、点滴の液中に小さな黒い虫が泳いでいるような目の錯覚をした。ゴマの半分くらいの大きさの黒い虫が見えた。そんなはずはないのであるが、実際には感覚として私には感じられた。


薬の再配置

 これは、大変な作業であろう。
 退院をする数日前に、看護婦さんが来て、今までに飲んだ薬は何かと質問された。今までに通った病院で処方された薬である。
 最後のものは、桜ヶ丘の耳鼻咽喉科クリニックで院外処方として求めたものである。どこで、どうしたのかと問われたので、実際の記憶通りに答えると、その日からその薬が処方された。
 つまり、今まで飲んでいた薬を病院でも飲むわけである。それが、ちゃんと続いていたので驚いた。前の日に飲んだ薬が用意されていたので、その作業は大変だったのではないかと思う。


薬のネット販売

 薬がネットワークで買えるようになるらしい。
 臼井大一郎先生が見舞いのときに持ってきてくれた新聞「読売新聞夕刊11月6日(水曜日)」によると、次の23品目である。
  アラセナS(口唇ヘルペス用薬)
  リアップX5(発毛剤)
  イノセアバランス(胃腸薬)
  オキナゾールL100(膣カンジダ用薬)
  フェミニーナ膣カンジダ錠(膣カンジダ用薬)
  パブロン点鼻クイック(アレルギー用薬)
  ナザールAR(アレルギー用薬)
  コンタック鼻炎スプレー(アレルギー用薬)
  ロキソニンS(解熱鎮痛剤)
  ナシビンMスプレー(アレルギー用薬)
  エンベシドL(膣カンジダ用薬)
  ストナリニ・ガード(アレルギー用薬)
  アレジオン10(アレルギー用薬)
  エルベインコーワ(生理痛用薬)
  アレキザール鼻炎(アレルギー用薬)
  アレグラFX(アレルギー用薬)
  アイフリーコーワAL(アレルギー用薬)
  ナロンメディカル(解熱鎮痛薬)
  コンタック鼻炎Z(アレルギー用薬)
  ストナリニZ(アレルギー用薬)
  エパデールT(中性脂肪異常改善薬)
  エパアルテ(中性脂肪異常改善薬)
  アンチスタックス(むくみ等改善薬)
 販売禁止の劇薬5品目は、
  ガラナボーン(勃起障害等改善薬)
  ハンビロン(勃起障害等改善薬)
  ストルビンMカプセル(勃起障害等改善薬)
  マヤ金蛇聖(勃起障害等改善薬)
  エフゲン(殺菌消毒薬)
であり、ネット販売は禁止されるが、薬局などで薬剤師による対面販売のみが認められる。


薬の常備

 薬を常備しておくことも必要でしょう。
 『方丈記』か『徒然草』に、「衣食住の用意のほかに、いざというときの薬も用意しておく必要がある」という記述があったと思う。
 最低必要源の薬が何であるかを知って、それを常備しておきたい。外出するときにも、携帯したいものである。


照明と保安電力

 夜間の照明と保安電力。
 スイッチを勝手に切ってはいけない。無人の部屋でも、心電計などのデータが映っている場合があるが、それはセンターの親機と連動をしているらしい。部屋の照明などもそうであるが、スイッチは看護婦さんに言って、切ってもらうとよい。
 また、夜間時の部屋の照明などは自分が危篤状態でもないかぎり必要がないでしょう。
 つまり、なるべくムダな電気代などの節約をしたい。私は、日常からテレビを見ないので、部屋にあるテレビや小型冷蔵庫などを利用するカードを買わなかった。そんなわけで、夜も早くから眠る落ち着いた一日が続いた。


配膳と給湯(きゅうとう)

 朝7時になるとアナウンスがある。
 そして、配膳を看護婦さんがしてくれる。しかし、足が悪かったり、手が不自由でない場合は、自分で取りに行くのがよいのではないでしょうか。
 また、給湯(きゅうとう)についても自動販売機か自分で薬缶(やかん)から移すようにするとよい。あまり、細かい雑な仕事を看護の人にしていただくのは恐縮である。


病院の食事

 病院の食事は、ユニークである。
 ラマダーン(ラマダン)というのがあって、その月の日の出から日没までの間、断食をする。そして、その断食が終わったときは、いっぺんに大食いをしてはいけないということを何かで読んだことがある。空腹時に大食いをすると、胃腸をこわすからである。
 私の場合、病院でいただいた食事は、あたかも離乳食とでも言ったような内容であった。身体に少しずつ慣らしていこうという計画らしい。
 入院をしても、私の場合は最初、食事など出ない。二・三日して、ようやく食べてもよいという許可が出る。しかし、食事ではない。氷り三つである。冷蔵庫で凍らせた角砂糖くらいの大きさの氷、むろん甘味などない。水も飲んではいけない。ただ、その氷を口に含んで溶かすのである。そんな日々が幾日か続いて、ようやく食事になる。
 しかし、食事は粥(かゆ)を主体としたもので、何とも質素なもの。私は、ただそれだけでは、腹が減ってしかたがない。つまり、量が少ないのである。
 食事の味付けには、砂糖・塩などや化学調味料はあまり使っていないらしく、全体に薄味であった。
 食事の後には、ヨーグルトなどが付いている。カスピ海ヨーグルト、ブルガリアヨーグルトなどがあったが、いずれも本物ではない。
 粥は薄いものから、次第に濃くなって、最後は全粥(ぜんがゆ)であった。おそらく、腸などの内臓に負担をかけないためではなかろうか。看護婦さんの中には、小型の聴診器をもっていて、内臓の音を聞いてくれることがある。そして、「よく動いています。」などと言ってくれたことがあった。おそらく、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が正常に働いているということでしょう。
 もしも、その時期に消化の悪いものを大量に食べれば、再びアウトになってしまうのではないかと思う。よくよく注意をしなければならないと思う。回復時には、腸の負担の少ない粥(かゆ)が必要なのではないだろうか。
 数日を過ぎると、少量の食事でも、満腹をする食べ方がわかった。それは、ゆっくりと時間をかけて食べるのである。噛める物は、よく噛めばよいのであるが、全体にやわらかく噛まなくてもよいようになっている。
 食後には、できたら30分ほどの横臥がしたい。消化を助けるためである。


病いは口より入り、災いは口より出ず

 昔から「病いは口より入り、災いは口より出ず」などと言います。
 まったく、その通りだと私は思っています。ちょっとした軽い気持ちで言ったことが、トラブルの原因になったり、人間関係を悪くしてしまうことがあります。「災い」はともかく、問題は「病い」です。
 私は大食いで、食べ物に意地汚いので、つい過食をしてしまいます。そして、それが問題になるのです。少量の食べ物をよく噛んでいただけばよいのですが、つい過食をしてしまいます。つまり、健康に関する基本的な考えが、まだできていないのです。
 そこで、何とかして小食にならねばなりません。間食やおやつなども、控えねばならないでしょう。
 また、レストランでやっているライスの二倍盛りや麺の倍盛りなども、あまりよい結果にはならないことを認識して、やめるようにしなければなりません。
 いくら食べても腹が減るというのは、困ったことですが、今までの習慣で自分自身の胃腸が大きくなっているためだと思います。少しずつ慣らしていけば、少ない食事でも満腹できるようになると思います。現在の地球に70億人ほどの人口があっても、その20パーセントが飢饉の状態と言います。そんなことを考えると、腹一杯食べて満足をするということは、身勝手なことかもしれません。


入院時の散髪

 退院の前日に散髪をした。
 病室内では髭を剃れないので、伸びてしまった。私の髭は、なかなか頑固で強力である。そこで、室内の散髪を申し込んだ。NPO全国介護理美容福祉協会の発行した「訪問理美容申込書(本人控え)」には、「カット(洗髪を含む) 3,500円と書いてある。洗髪のみならば、2,000円だけれども、カットをしないと伸びたままである。
 そこで、案内が来て「歩けるか」というので「はい」と答えると、洗面台のある部屋に行って、カットをしてくれた。髭の伸びた箇所は、散髪用の電気カミソリを当てて、短くしてくれた。洗髪をしっかりしてくれたので、終わったらだいぶサッパリして、気持ちがよかった。


五分粥の事実

 この五部粥が、非常に大切なのである。
 退院のその日まで、食事は粥であった。おそらく、それが胃腸に負担をかけない最善の食べ物なのであろう。そんなわけで、退院後も粥を主食にした。家で焚(た)くと、病院のときのものよりも、美味(おい)しく炊けた。おそらく、米がよいものだからでしょう。
 なるほど、粥は胃腸に負担をかけないようだ。粥でないものを食べると、腹の調子がおかしくなったりする。もしも、消化の悪いものを大食いしたら、再び入院というようなことになるような気がする。
 そこで、私はひもじいのを我慢して、簡単な食事に甘んじた。
 伊達政宗の次のような言葉を思い出した。
 「この世に客に来ていると考えれば、不自由も我慢できる。たとえ、朝晩の食事がまずくても、おいしいと言って食べるくらいは何でもないことだ。


寝痣(ねあざ)を作らないようにする

 私の場合、ベッドや蒲団で長く寝たままの姿勢でいると、どうしても尻の部分に痣(あざ)ができてしまう。そして、それは次第に痛くなってきて、慢性化をしてしまう。胼胝(たこ)とも言うらしい。座るときの姿勢や下着による摩擦が原因ではないかと考えられるが、かなり痛いことは事実である。あまり動かないで、じっとしているとできてしまう。
 そこで、寝たままの姿勢でも、ときどきもそもそと動いて臀部の位置を変える。また、座って胡座(あぐら)を組んだりもしてみる。身体の一箇所を圧迫しないためである。


寝るときの姿勢

 寝るときの姿勢も、なかなか大切である。
 寝るときの姿勢は、それぞれ異なるでしょう。
 私は、ふつう右側を下、北枕にして眠る。すると、ベッドや蒲団から立ち上がるときに、右手が使える。必ずしも、それがよいとは思わないが、長年の習慣である。
 なお、その姿勢は、お釈迦様が涅槃(ねはん)に入ったときの姿勢である。インドでは、ふつう北が高くなっているので、死んだ場合は北に枕を置くのであろう。


入院後の状態

 入院後の状態は、入院する前とずいぶん違う。
 食事の量が少ないことと、運動不足でフラフラする。歩いていると、転びそうである。何となく生きているのが精一杯という感じ。さらに、日中にすることがないので、夜間に熟睡できない。ベッドの上で、うつらうつらしているというのが、日々の現実の状態である。
 退院をしてから、食事の量を倍ぐらいにした。むろん、毎回食事の時は粥を全粥の状態で用意する。釜(かま)が粥も作れるタイプのもので、全粥も簡単にできる。
 食べ物は、粥が主体。粥をやめると胃腸に負担を感じ、痛くなることがある。


退院後の問診

 退院後の問診に行った。予約時間ぴったりに呼ばれて、外科の診察室に入る。
 ひととおり状態を尋ねられて、よくなっていると言われた。しかし、私は便秘が激しくて、困っていると言った。すると、下記の薬を処方してくれた。
 薬の名称                色・形・記号     効能・効果
 備考

(1) マグラックス錠250mg          胃酸を中和したり、便秘などに用いたりします。 
 胃炎の症状を改善したり、便をやわらかくするので便秘に用いたりします。
(2) ビオフェルミン配合剤          腸の調子を整えるお薬です。            
 腸内で乳酸菌をふやし、有害な菌の繁殖をおさえて腸内の細菌のバランスを正常にすることで腸の調子を整えます。
 そして、便がゆるいときは(1)の粒を減らし、便が硬いときは(2)の粉を減らすようにと言われた。そうは言っても、いままでの薬があまり効かない。いきおい、便の出が悪くなって苦しいほどである。何とか、これらの薬で治してしまいたい。
 以上で、他の検査・触診などは、何もなかった。簡単な問診だったと思う。
 そして、次回の問診の日にちなども、とくに指定されなかった。おそらく、具合がよかったら来なくてもよいといわんばかりであった。

 実際には、退院後に胸が痛くなることがある。そして、同時に息苦しいのである。そんなことで、そのことを相談しようと考えていたのだが、その話をする間もなく、面談は終わってしまった。


退院後の問題……環境が変わると

 退院をすることになって、自宅へ戻ると、それまでの入院生活から大きく環境が変わります。すると、いろいろな問題が生じます。
 食べ物や生活習慣などが、病院と自宅では大きく異なることによるのでしょうか。

(1) 空気について
(2) 水について
(3) 食べ物について
(4) 睡眠について
などについては、病院と自宅では大きく違っています。

 空気については、病院の中では空調が完備していて、室温まで管理されています。自宅では、戸外の空気と同じで、とくに浄化をしているわけではありません。しかし、私は空気は健康に大切な要素であるから、フィルターが大きな、つまり大型の空気浄化気を利用しています。BALMUDAという高さが70cmもあるものです。それを在室中は、24時間中回しておきます。
 冬期の室温については、ガスの暖房機を利用します。そして、起きているときには、室温を20℃に保ちます。

 水は、浄水器を用いて、飲み水や調理用の場合、水道水から化学薬品や塩素などを除外します。
 食べ物に関しては、化学薬品や防腐剤の含まれていない現地生産の米や野菜を特別注文して仕入れています。
 それでも、食べる全体量が入院のときと比べて、かなり増えたようです。腹が減って仕方がないからです。そして、満腹になると眠くなってしまいます。病院の食事は、カロリー計算がなされていて、完全であったため、自分自身で管理をすると、つい満腹するようになってしまったからでしょう。

 退院後の睡眠は、何となく眠りが浅くなったような気がします。また、起床時に疲れが残るようです。そんなわけで、仕事をしていても、ついうつらうつらしてしまうことが多くなりました。やはり、栄養などによる体調の変化でしょうか。


退院後の注意(1)……再発をしないために

 病院に入院していた生活から、退院をしてふつうの生活に戻るときには、かなりの注意が必要です。生活環境が大きく変わることと、自由になったことの気持ちの緩(ゆる)みから、つい油断をしてしまうからです。そして、その結果、元の木阿弥になってしまいます。
【元の木阿弥】 戦国時代の城主 筒井順昭(つついじゅんしょう)は病死をしたために、その遺言どおりその死を隠した。そして、替え玉として盲人の木阿弥を寝室に寝かせておいた。その後、城主の死を公表したので、木阿弥は用済みになる。つまり、城主から元の木阿弥に戻ったという。
 油断をすると、体調を崩して再び入院をすることになったり、場合によっては救急車に乗せられて、再手術をすることになったりするからです。
 そうならないためには、かなりの注意が必要です。

 高齢者の場合は、とくに食べ物に関する注意が必要です。ブッダ(仏陀)ほどの偉大な人でも、八十歳になって食中毒で亡くなったと言います。


退院後の注意(2)……退院後の身体の変化

 退院をして、気付くことは自分自身の身体が以前と異なることです。
 例えば、
(1) 力が入らない
(2) 重い物が持てない
(3) 身体のバランスがとれない
などです。
 極端に言えば、身体がふにゃふにゃになった感じです。自分自身の立ち居振る舞いでさえ、自由にならないのです。立ち上がるときなども、何か掴(つか)まる必要があるのです。
 当然のことながら、重い荷物などは持てません。筋力が弱まったというか、力が出ないのです。
 歩くときも、そうなのですが、身体の重心がとりにくくなっています。そんなために、身体のバランスがとれなくて、後ろにひっくり返りそうになるのです。もしも、うしろに倒れて、後頭部を打つと大変なことになるでしょう。そんなために、くれぐれも注意が必要です。


退院後の注意(3)……食べ物・水と生活習慣

 退院後は、自宅で生活をするために、食べ物と生活習慣には、とくに注意が必要です。
(1) 食べ物や水には、化学薬品が混入していないもの
(2) 防腐剤などを体内に入れない注意をする
 スーパーなどで売られている食品は、目に鮮やかで美味(おい)しそうです。しかし、小品である以上、保管や中毒防止のための薬品が入っているはずです。
 そして、化学薬品や防腐剤は健康な身体に対しても、大きな負担をかけるでしょう。とくに、退院後は、それらに対して細心の注意が必要です。
 私は、水については水道水をそのまま利用しないで、ハーレーで浄化してから利用します。直接飲むもの以外にも、煮物などもそうしています。
 化学薬品に関しては、化学薬品症候群が参考になるかもしれません。
 rikの「化学薬品症候群」

 生活習慣としては、細かく動くことが大切です。
 散歩や歩行なども、日課として行うようにしたい。歩かない生活を続けると、ともすると膝や腰の故障を併発してしまうようです。


退院後の注意(4)……片づかない・ゴミ屋敷

 退院後は、体力が喪失しているから、気力がない。その結果、部屋や身の回りが片づかない。いきおい、どこに何があるかわからなくなってしまう。さらに、ひどいときはゴミ屋敷の始まりである。そうなってはいけないと自分ではわかっているが、身の回りのことに手が付かないのである。そうなってしまうと、放置をするだけで、部屋中がゴミ屋敷である。日々の整理をしっかりすることを忘れてはいけない。

 気力の問題であろうが、跡の整理ができないというのは、精神的圧迫を感じるのは事実である。私の場合は、大物家具の整理や細かい書類などの整理が、どうしてもうまくいかない。そして、そのために精神的に圧迫を感じるのである。そして、それを投げ出してしまうと、部屋がゴミ置き場のような感じになってしまう。日々何とかして、身の回りを小ぎれいにしておく必要がある。

 退院後は、気力がないままに、つい放置をしておく。それが後になって、問題になることを忘れてはいけない。


退院後の注意(5)……合併症など

 退院後に、思いも寄らなかった問題が自分自身の身体に起こった。
 その主な症状は、
(1) 疲れが取れない
(2) 膝がガクガクする
(3) 目がキラキラする
などである。
 疲れが取れないのは、おそらく睡眠不足などが原因ではないだろうか。腰が痛かったりして、夜間によく眠れない日が続くのである。
 膝がガクガクするのは、膝の関節が弱ってしまったためかもしれない。リハビリとして、なるべく歩くようにしているが、それでも膝の痛みは残ってしまう。温泉などに入ったりして、膝を冷やさないようにするのであるが、あまり効果がない。
 目がキラキラするのは、視神経の疲れによって、そのような症状が現れるのであろう。以前にも、かなり疲労が貯まったときに、よく現れた症状である。飛蚊症などにも、注意をする必要がある。

 個人差があるだろうが、一般に退院後に起こりやすい合併症は
(4) 神経痛  膝や腰に出てくる
(5) 頭痛  肩凝りなどを伴うことがある
(6) 便秘  かなりしつこい便秘であって、なかなか解消しない
(7) 冷え性  寒い時期には、身体が冷えてしまって、冷え性になることがある
などが起こりやすいというので、注意をしなければいけない。


記憶力の減退に注意をしよう

 退院後は、環境が以前に戻るので、何かと注意が必要です。
 人名地名などの失念、置き忘れ度忘れなどが生じます。入院時の状態から、ふつうの状態に戻ることによって、以前の注意力が必要になるためかもしれません。どうしても入院時の気力の衰えが、影響をするのです。
 また、何事をするのも億劫になってしまいます。そして、ついつい放置するままに、部屋の中が片づかずにゴミ屋敷のような状態になってしまいます。一つずつ片付ければよいのですが、気乗りがしなくなっているから、つい手が回りません。
 酒を飲む人は、飲み過ぎないようにしないといけません。ついつい深酒をしてしまって、アル中になってしまうからです。いわゆる飲んべえの人は、とくに注意をする必要があります。
 さらに悪いのは、記憶力の減退から、人格の喪失になってしまうことです。いったい自分が何のために生きているかなどを忘れてしまうのです。
 退院をした直後は、全人格に変化を生じます。人が生まれ変わったような感じになってしまいます。そこで、一日も早く入院前の自分を取り戻すようにしなければなりません。


持ち物の管理

 持ち物をなくさないように注意する必要がある。
 例えば、病院の診察券・シルバーパスなどのバス券である。いったん無くすと、再発行が面倒であるし、また悪用される恐れもある。したがって、自分自身で紛失をしない工夫が必要である。
 そのために私は、20枚くらい入るカード入れに整理をして入れ、紐を付けて首にかけている。そして、カードのほうはYシャツの左のポケットに入れておく。バスなどに乗ったときは、それを右手で取り出して、いちばん上に入れてあるカードをそのまま見せればOK。そんな方法で、いままでに紛失したことが一度もない。
 紛失をすると、それぞれの管轄部署が異なるので、あちこちへ行かねばならない。なるべく面倒なことは避けるべきである。とくに、病み上がりの身体が不自由なときは、注意力も散漫になっているので、置き忘れや管理には気を付けなければならない。
 診察カードに添付する健康保険証などは返却をされたら、カード入れの所定の場所に戻すので、受け取るのを忘れないようにできる。



再入院の心配……再入院をしないために!

 退院しても、すぐに再入院をする人が多いという。私は、そのようになりたくなかったので、細心の注意をした。
 しかし、退院をしてしばらくすると体調が悪い。食生活から激しい便秘を起こしたのである。その苦しさは筆舌に耐えがたいものである。何回もトイレに行って、苦しい思いをする。しかし、便が出ないのである。
 そこで、最初に行った胃腸器科・内科で処方された
 『酸化マグネシウム「重質」カマグG 0.67g』という
ハトロン紙に入った粉状の薬と、退院後の問診のときにもらった
マグラックス錠250mg          胃酸を中和したり、便秘などに用いたりします。 
 胃炎の症状を改善したり、便をやわらかくするので便秘に用いたりします。
を続けて飲んでみた。しかし、あまり効果はなく、苦しいばかりだった。
 また、コーヒーが便秘によいというので、挽いた豆からコーヒーを湧かして飲んでみた。すると、私の場合、何となく便秘を解消するようでもあった。

 そのうち、もしかしたら自分は脱腸をしたのではないかという心配がおこった。
 脱腸は、鼠径ヘルニアとも言われ、腸が飛び出している状態で、正常な位置から動いている。私は手術で腸の一部を切り取ったので、もしかしたらとも考えました。そして、ある日、大便が出かかったときに、お尻からバナナの大きさほどのものが飛び出しているので、恐る恐るティッシュで引き出してみました。すると、大便だけでしたので、ひとまず安心をした次第です。
 また、腸捻転という病気があるそうです。
 腸捻転(ちょうんねんてん)とは、腸が捻(ねじ)れてしまう病気で、腸閉塞や循環障害を起こす症状である。
 しかし、私の手術には、そのような状態ではないらしく、その後大量の便が出て、個人的な心配は何とか解消をした。私は、再入院入門をしたくなかったのである。


橘さんの意見

 私たちの住んでいる団地の管理人の人で、橘さんという方がいらっやる。以下は、その方のご意見である。
 あまり柔らかい物ばかり食べていても、体調はよくならない。しばらくすると、牛蒡(ごぼう)などの繊維質のものも、必要なのである。そして、牛蒡の入ったスープを作って下さった。
 そのときに、橘さんは「明日は、どかんと便が出ますよ」と冗談のようにおっしゃった。
 すると、その通りになったのである。
 私は、知恵のある人は、いろいろなご体験を経て、博学になっているものだと、つくづく感心をした。
 今までのように、退院後だからと言って、粥(かゆ)ばかり食べていたのでは、体調が狂ってしまって、便秘が治らないのではないかと思った。思い切って、少しずつ以前の食事に戻していくのがいいのではないかと考え直した。
 そして、自分の身体をあまり大事にするということも、考え物であるとに気付いた。
 すべて、橘さんのお陰である。


サプリメントの利用

 現代の食材から、どうしても必要な栄養を取れない場合がある。そこで、サプリメントを利用する。
 例えば、
(1) グルコサミン
(2) ブルーベリー&ルティン
(3) 青汁
などである。
 (1)は、膝などの関節の摩耗を防ぐと言っているが、材料はおそらくカニやエビの殻(から)などの固い部分を粉状にしたものではないだろうか。
 (2)のブルーベリーは、目によいと言われて、古くから愛用された。
 (3)の青汁は微少栄養素で、現代の食事から補給できなくなったものを含んでいる。
 そのような次第で、自然の食べ物で補給できない栄養素をサプリメントとして、補給するのである。
 とくに退院後の食生活でバランスが崩れたときに、利用をすると健康を回復できるのではないだろうか。


便秘の資料

 渡邊五郎師が便秘の資料を送ってくださった。
 そこには、「便秘は『食』の力で治す!」とあって、次のようなことが書かれていた。
 先進国で売れている薬の上位は、風邪薬と便秘薬。
 先進国で便秘が増えた理由……穀物を精製しすぎるために、食物繊維の摂取量が減ったため。そのために、便の量が少なくなってしまって、食べた物が大便として排泄されるまでに、48時間から72時間もかかっている。
 便秘によって便が腸内に長く停滞すると、大腸ガンを発生する危険性がある。腸に問題がない限り、食生活や生活のリズムを整えれば、便秘は必ず治る。

 二日に一回の便通でも、残便感がなければ便秘ではない
 ふつう食べ物が口から入ると、ほぼ24時間後に直腸に達し、排便される。しかし、個人差があるので、二日に一回の排便でも便量が多く、残便感がなければ、便秘ではない。逆に一日に一回排便していても、お腹(なか)が張ったり、すっきりしないという残便感があるときは、宿便が腸内にあるので便秘症。

 便秘のいちばんの原因は?
 食べ物の残りを直腸に送る胃・大腸反射は、朝食後にもっとも強くおこり、排便をうながす。したがって、朝食を抜くと、胃・大腸反射が弱くなって、便秘になりやすい。
 そんなわけで、まず朝食をきちんと摂ることが必要。

 朝食後にトイレに入る習慣を
 朝起きて、すぐにまずコップの一杯の水をゆっくりと飲む。それから朝食を摂り、トイレに入る習慣をつける。排便ができなくても、続ける。3~4日失敗に終わっても、あきらめずに続ける。

 「弛緩(しかん)性便秘」は食物繊維不足の食事が原因
 弛緩(しかん)性便秘には、機械的に刺激を与えて,腸の蠕動(ぜんどう)運動を高めることが大事。
 そのために、一回の食事ごとに食物繊維のものを加え、一日の食物繊維の摂取量を20グラム以上にする。
 一日に20グラム以上の食物繊維を摂るには、野菜果物の他に、海藻きのこ豆類穀物などを摂るとよい。
 油料理を摂らないと、便秘になる。脂肪は腸内の老廃物のすべりをよくして、排便を促す。鮮度のよい植物油を一日大匙一杯ぐらいは摂る。

 小豆(あずき)とひじきは、便秘の妙薬
 あずきを一日一回、よく噛んで食べ、一週間続けると効果が現れる。あずきに含まれているビタミンB1が、腸の神経機能の栄養となり、食物繊維との相乗作用で排便を促す。
 ひじき・切り干し大根・ごぼう・きのこ・こんにゃくなどの食物繊維の多い食品の油料理を適度に摂る。ひじきは、わかめの2~3倍の食物繊維を含んでいるから、腸内の老廃物を全部包んで排泄する。

 「痙攣(けいれん)性便秘」の人は、食物繊維の摂りすぎに注意
 痙攣性便秘の場合は、食物繊維を摂りすぎると、腸の痙攣が激しくなって、逆に便秘になる。


リハビリテーション

 リハビリテーションは、とくに注意が必要である。やり方が悪いと、再入院ということになってしまうからである。
 食べ物と運動に注意をした日々が続く。歩くことを中心とした日々の運動と、食べ物に関する注意が、相当の期間は続くであろう。
 何とかリハビリテーションに成功をして、再入院をしたくないと思った。
 再入院を何回かするうちに、亡くなってしまう人もいると聞いたからである。


入院時の様子

 自分自身では、まったく無意識のまま自宅から大学病院に搬送された。担架(たんかで)で運び出すときも、救急車に乗せられるときも記憶にない。かなり重傷であったらしい。そして、病院に運び込まれた日に、手術を受けることになった。
 その入院診療計画書には、次のようにあった。
  科   名   外科   病   室  C3431号室
  病名・症状  腹膜炎・虫垂穿孔  腹膜内膿しょう(しょうは、易にやまいだれ)
  治療計画   手術
  検査内容及び日程  採血、レントゲン他適宜行います
  手術内容及び日程  緊急手術(洗浄ドレナージ他)
  推定される入院期間  平成25年10月28日~平成 年 月 日
  特別な栄養管理の必要性  無
  その他(看護、リハビリテーション等の計画)  日常生活に関わる身の回りのお世話、全身状態の観察、点滴管理、清潔ケアなどを行います。
 そして、注1)と注2)があって、(主治医氏名)と(本人・家族)がある。(本人・家族)には、私のサインがあって、おそらくコピーされた別の紙には、「すべておまかせします」というような文言があったのではないでしょうか。
注1) 病名等は、現時点で考えられるものであり、今後検査等を進めていくにしたがって変わり得るものである。
注2) 入院期間については、現時点で予想されるものである。

 私が病院に搬送されてから、自分はかなり重傷だと考えて、「痛い・痛い」と大声で喚(わめ)いたこと、もしかしたら助からないのではないかと思ったこと、そして手術に入って再び意識をなくした。
 そして、気付いたときは天上の大きな丸いライトが点(とも)されて自分がベッドに寝ていることに気付いた。何とか助かったと思って、執刀をしてくださった主治医を始め病院の皆さんに、心から感謝の気持ちでいっぱいである。実際には、もう助からないと感じていたからである。


入院後の状態

 退院後は、いろいろと問題が生じた。しばらくの間、入院していたのだから、環境が変わったためかもしれない。
 まず、気力がないことである。
 次に、体力が衰えてしまったこと。例えば、座った状態から立てないのである。例えば、風呂に入ってしばらく流し場で座ってしまうと、立ち上がれなくなってしまう。手摺りが近くにあればよいのであるが、湯船の向こう側にあって手が届かない。立てないので、妻に引き起こしてもらうのである。そんなわけで、風呂ではベッタリと座らないことにしている。当分の間は、頭を洗ったり、身体の下半身を洗うのは、立ったままでできるシャワーにした。
 さらに、ベッドや蒲団から立ち上がるときも、手の支えが必要。そんなことは、今までになかったことである。筋肉の機能は、使わないと衰えてしまうようだ。
 歩くときにも、足がフラフラとする。しっかりと地についていないという感じ。おそらく転びやすい状態なのであろう。そこで、杖を持って外出ということになる。
 そんな不便な日々が、退院後にしばらく続く。
 また、入院時から引き続いて、何となく記憶力が弱くなったような気がする。度忘れや記憶違いが増えたのである。物の名前なども、忘れてしまって即座に出ないことが多い。やはり、一時的なことでしばらくして元に戻ることを願っている。自分が呆(ぼ)けてしまったとは、思いたくないからです。


温泉の利用

 リハビリテーションの一環として、温泉を利用することを考えた。近くに、天然温泉極楽湯というのがあるので、そこを利用する。湯は、いわゆる黒湯と言って、地下から汲み上げただけである。実際には、「ナトリウム・塩化物・炭酸水素泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)」と言うのである。
 それでも、何となく自然の感じがして、身体が温まって休まる。
 そして、ときどきその源泉に漢方の諸薬を入れてある。それが、身体を温める。
 バーデンバーデンのようなところがあればよいのだが、熱海・湯河原・箱根くらいまで行かないと無理である。そこで、近場のスーパー銭湯や温泉を利用する。費用は1000円以下で入れるので、健康のことを考えると安上がりであろう。
 冬期であっても入浴後、しばらくの間は身体がポカポカして気持ちがよい。


飲み水について

 水道水を直接飲むのは、塩素などの化学物質が含まれているので、好ましくない。そこで、私はハーレー浄水器を利用している。しかし、その浄水器も長く使っていると、菌が浄水器の内部に自生してしまう。一週間に一度くらいは、高温を逆流させてタンク内を消毒する必要がある。
 もしも、浄水器がないときは、蛇口から出した水をしばらく放置しておくと、塩素などはなくなってしまうのではないだろうか。
 お茶や清涼飲料水などのペットボトルばかりを利用すると、いわゆる生水でないので、健康には好ましくないでしょう。日本の市販の飲料水は、すべて高温で殺菌することが義務づけられているからです。


ビールについて

 水の代わりにビールを飲む人がいる。ヨーロッパの食堂で、水を注文しないで、ビールを注文する人がいる。おそらく、そのほうが費用が安くて安全だからであろう。ビールを5パーセントのアルコールで消毒した水と考えると、それもよい方法かもしれない。ビールについて


再入院をしないために

 多くの人は、再入院をするようである。そして、それを繰り返し、亡くなってしまう人も多いらしい。残念なことである。私は、何とかして再入院をしないで済ましたい。
 そのためには、日々の食事と運動に注意をする必要があると思う。運動は、歩くことが大切。あまり疲れない範囲で、戸外の安全な道を歩く。そして、食事は毎回粥をメインとした小食。腹が減ったときは、食べる回数を増やす。おそらく、入院のときの二倍くらい食べているのではないか。
 そして、粥をやめて普段の食事に戻すタイミングが難しい。早く粥をやめると、胃腸に負担がかかる。逆に、いつまでも粥を食べていると、普段の生活に戻れない。少しずつ様子を見ながら、慎重に進めるべきであろう。
 二回目に倒れると、入院自体が大事になるので、細心の注意が必要であろう。


疲れから出る症状

 退院後、ふつうの生活をしていても、いろいろな不都合が生じる。
 例えば、
(1) 脚の膝が痛くなる
(2) 目がチカチカする
(3) 頭がキリキリと痛い
などである。
 リハビリテーションとして、歩く距離が多すぎると膝が疲れてしまって、痛くなるときがある。
 目がチカチカするのは、パソコンのし過ぎなどによる目の疲労であろう。もしかしたら、眼精疲労という症状かもしれない。
 頭がキリキリするのは、脳血栓やくも膜に異常をきたす予兆かもしれない。とくに、後頭部を引っ張られるように感じたら注意が必要であろう。


互いの安否について

 独り暮らしには、心配なことが多い。倒れてしまったら、そのままアウトになることが多いでしょう。とくに、風呂の入浴には注意が必要です。そこで、親しい者どうしで、互いに一日に一回くらい電話をして、安全を確認したらどうでしょうか。
 ケータイ電話を利用すると、外出先でも通話はOK。安全で確実な方法であり、費用もあまりかからないので、よい安否確認方法だと私は思う。


高血圧・糖尿病は治しておこう

 高血圧や糖尿病には注意が必要。それらは、他の病気を誘発させたり、悪化させるからである。
 高齢者の三人に一人は、高血圧で問題を起こしているという。血圧が120よりも高くなると、脳梗塞の危険性が増す。とくに、血液がドロドロしていると、梗塞を起こしやすい。130以上のときは、薬を飲んだほうがよいかもしれない。また、日頃の運動・食事・睡眠などもじゅうぶんにとって、身体をあまり疲労させないことも大切である。
 脳梗塞は、人生の未来を変えてしまう恐ろしい病気である。最近は、高齢者だけでなく若い人にも増えている。何とかして、ならないように注意をしなければならない。なってしまうと、何がなんだかわからないままに、いわゆる廃人になるので、常日ごろからの注意が必要である。また、いったんなってしまうと、リハビリなどをしても完全には戻らないと言う。
 糖尿病も、ふだんから注意をして、治しておきたい。それには、やはり運動と食事。生活習慣には、とくに注意が必要である。高齢になると、だらしなくなることが多い。生活に区切りをつけて、機敏な一日を過ごすように努め、血圧計を購入して、血圧などは日々計り、記録をするようにしたい。


肩凝り・便秘にはふだんから気を付ける

 肩凝りや便秘には、困ったものである。肩が凝りだすと、体調まで悪くなってしまう。むろん、作業の能率も悪化するでしょう。
 便秘も、そうである。しかし、下剤を多く飲むと、腹が下って、便を漏らしたりするので注意が必要である。無理のないように、日々自己管理が必要です。とくに便秘のときは、食べ物に注意をする。やはり、粥(かゆ)がよいらしい。粥と言っても、そればかりを続けていると、胃腸の消化力が低下してしまうらしい。ある程度の期間が過ぎたら、平常の食事に戻したほうがよいらしい。
 また、運動不足もいけない。歩くと、便秘が解消することも多いらしい。また、お茶や水を飲んでも、便秘が治るとも言う。
 そのように考えると、普段の生活ができるということは素晴らしいことである。体調が悪く、作業ができないということは、困ったことである。体力が弱って、立ち上がれないこともあるからです。何とかリハビリテーションなどに励んで、日々の生活ができるように戻る努力をしたい。


大井川の渡し(1)

 大井川は南アルプス南部、静岡県・長野県・山梨県の県境付近にある間ノ岳に源を発し、赤石山脈・白根山脈の間を南下している。静岡県焼津市大井川と榛原郡吉田町の境界から駿河湾に注ぐ。駿府城の外堀の役目を果たすために、架橋はおろか船による渡しも厳禁されていた。そのために大名・庶民を問わず、大井川を渡河する際には、馬や人足を利用して、輿(こし)や肩車で渡河する川越(かわごえ)が行われた。
 このため、大井川は東海道屈指の難所とされ、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」などと詠(うた)われた。
 そんなわけで、大井川を越すためには、蓮台(れんだい)に乗るか、人足(にんそく)の肩に乗せられて渡るのである。その人足達を雲助(くもすけ)などと言ったりする。そんな中で、問題が発生する。例えば、川の中ほどまで渡ったときに、人足が言うのである。
 「お客さん、今日は特別に水かさが多いようです。そこで、さっき五文で請け負ったのですけれど、倍の十文にしていただきたいのです。……私どもにも、家に帰ると養う者がいるんです。したがって、危険を犯したくないのです」などと言う。最初に言わずに、途中になってから言うので、契約をした客にしてみれば、困ったことである。持ち合わせがなかったり、予算を他に考えていたりしたからである。
 さらに、人足は言う。
 「もしも、ご理解いただけないときは、ここで降りていただきましょう」
 そんなわけで、客はまったくなすすべもなく、不承不承OKすることが多かったと言う。
 何となく、そのようなことが病院でも言える場合があるようだ。差額ベッドとでも言うのだろうか。


大井川の渡し(2)

 臼井大一郎先生の父上。
 倒れて搬送されたのが、信濃町駅前にある大きな病院。その特別室に入ったそうである。30年以上も以前のことだが、当時の費用で一日に100万円以上。臼井大一郎先生の母君も、驚いて心配をされたそうだ。しかし、幸か不幸か二日で亡くなられてしまい、何とか費用は問題にならなかったという。
 もしも、一ヶ月以上も続いたら、大変なことであったろう。一ヶ月もその入院が続いたら、当時の金で3DKのマンションが買える費用である。また、小さな一戸建ての住宅でも手に入るほどの費用であったからである。


大井川の渡し(3)

 佐藤先生の場合。
 私が、まだ蒲田の専門学校で講師をしていたときのこと。講師の待合室になっている控え室があって、行くと先生方が話をしている。やはり、30年以上も前のことであるから、記憶がはっきりしない。もしかしたら、間違っているかもしれない。
 その先生は、脳梗塞で横須賀にある総合病院に救急搬送された。そして、入院をしたのである。
 あまり大きな病院ではなかったようであるが、やはり病室のことで問題が起きた。つまり、費用の安い部屋が空いていなくて、高い部屋に入ることになった。それが、最初に考えた費用よりも数倍高額だったので、奥さまを初めとして家族は困ってしまった。予算がないからである。
 そんなわけで、いろいろと話し合いがあった結果、先生は病院を抜け出すことにしたらしい。奥さまに車を持ってきてもらい、裏口から自分の用意してきた荷物を積み出して、帰宅をしてしまったのである。
 しかし、治療の費用や処置などがあるので、いったいどうするのでしょうか。私は、面白おかしく話をしている先生の気持ちがわからなかった。それなりの病院でも、入院部屋の問題だけが話題になっていて、治療技術などの問題には触れていなかったからである。
 その後、私はその学校の講師をやめてしまって、その後佐藤先生がどのような処置をなさったかは、聞いていないので、知らない。


お先に失礼

 妻が不在のときに、自分自身が倒れる危険性は意外に大きい。
 トイレに入って、力んだとたんに脳梗塞を起こすことも考えられる。そして、そのままアウトになってしまう。妻が帰ったときには、トイレで前屈みに倒れて死んでいる自分を発見するでしょう。
 そのようなことに備えて、私は次のようなメモを用意しておきます。

 『悦子さま
 お先に失礼!
 長い間、お世話になりました。心から感謝をしています。
 おそらく、あなたはまだ十年くらいは大丈夫と思います。
 どうぞ、健康に留意して、楽しい日々をお過ごし下さい。
 さようなら。
  康太』

 医学は、ものすごい進化で発展をしている。近い将来には、ナノロボットを血液中に送って、治療に当たることができるようである。小さい素子で、腫瘍の治療などに有効らしい。
 先日、永山の多摩保健所で肝炎の検査を申し込んだ。私は、肝炎の他に緑膿菌・歯周菌・クリプトコッカスなどの検査もできるのかと思ったが、肝炎だけの検査だと言う。おそらく、費用の問題なのでしょう。それでも、しないよりはよいので申し込んだ次第。


Kuroda Kouta (2011.02.20/2014.02.22)