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 やさしい文章技法3

 三章 ワードプロセッサの利用


この章(ページ)に含まれる節

     1  ワープロの技術と操作
     2  辞書の追加と改良
     3  絞り込み(折りたたみ機能、ランク機能)の活用


 

1 ワープロの技術と操作

     小説を作る機械?
     いかに多くの情報量が保存できるか=1メガバイトという大きさ
     プリントアウト様式の設計=1ページのトリミング
     ローマ字入力とカナ入力
     旧仮名遣いや旧字のインプット
     検索をするときの注意
     バージョンアップについて
     マルチボリュームファイルとボリュームマルチファイル
     文書ファイルのメンテナンス


小説を作る機械?

 スイフト『ガリバー旅行記』に、「小説を作る機械」のことが書かれています。その機械とは、単語を取り出しながら文章を作ろうとするのですが、どうもうまくいかないようです。なぜならば、無限に多い材料の中から有意義なものを抽出すること自体が大作業になってしまうからです。このページでは、もともと老化予防や自己開発を目的として文章技法を学ぼうとしているのですから、自動化をしてしまったら意味がありません。

 もっともテーマやモチーフなどについては、後になって書く人のほうが前に書いた人による制約が生じるので、範囲が狭められているのは事実かもしれません。音楽の作曲についても言われることですが、テーマやモチーフが次第に枯渇をしてしまうのは、もしかしたら作家や作曲家にとって事実でもあって、切実な困った問題のようです。
 しかし、ここではそのようなことを問題にしたり、解決しようとしているのではありません。とにかく、各自の空間で実際に作ってみるのがよいのです。


いかに多くの情報量が保存できるか=1メガバイトという大きさ

 1枚のCD-Rには、約700MB(メガバイト)の情報が入ります。そして、1枚のフロッピィディスクには、ふつう1メガバイト強の情報が入ります。ここでは、1バイトが1文字を示すものとして考えてみましょう。(ふつうの漢字や平仮名などは2バイトです。)
 まず、1メガバイトという大きさです。

  キロが10の3乗、つまり1000(実際は1024)
  メガが10の6乗、つまり1000000

 これは百万です。なお、このメガという単位は1メガトンの爆弾などというときにも用います。
 百万バイト=百万文字と考えてもよいでしょう。したがって、1メガバイトは大ざっぱに言って、四百字詰め原稿用紙1250枚相当の文字量です。これは、かなりの大作と言えるでしょう。


プリントアウト様式の設計=1ページのトリミング

 縦書きの場合の一行は、せいぜい四十三文字ぐらいでしょう。それ以上になると、読みにくくなるからです。もしも、さらに行数を増やす必要があるときは、二段組みにします。大きな本では、さらに三段組みというもの見受けられます。行間、つまり行と行の間は少なくとも半行から1行分の空きがないと読みにくくなります。行ずれというか、同じ行を2回読んだり、1行を飛ばしてしまうからです。行間を詰めると、当然のこと文字量は増えます。しかし、ホームページや印刷物では好ましくありません。

 一例をあげましょう。
 横書きでもよいが、ふつう文学に関するものは縦書きのほうが自然です。ワードプロセッサでインプットするときは、むしろ横書きのほうが操作しやすくて、よいかもしれません。その場合、最後にプリントアウトをするときに縦書きのデザインにすればよいのです。
 1行40文字、1ページ15行として、これを袋綴じにします。つまり、2ページ分を一枚の用紙に印刷するのです。この場合、1ページに600文字分が入ることになります。これは四百字詰め原稿用紙に換算すれば、1枚半の大きさです。すなわち、袋綴じ5枚分(10ページ分)は四百字詰め原稿用紙15枚分に相当します。


ローマ字入力とカナ入力

 ローマ字入力とカナ入力には、互いに一長一短があります。私はタッチ数が増えても、利用するキーの数が少なくなるので、ローマ字入力を用います。慣れの問題もあるのでしょうか。


旧仮名遣いや旧字のインプット

 古い文章をそのまま引用しようとすると旧仮名遣い(旧かな遣い)だったり、旧字があったりします。また、ときにはJISでない漢字などもあるので、注意が必要です。
 「を」は、ふつう助詞に使いますので、まったく問題はないのですが、「ゐ」(わ行の「い」です)や「ゑ」(わ行の「え」です)も必要なことがあります。私の漢字変換フロントエンドプロセッサ(ATOK17)では「wi」「we」として変換をすればOKです。それでも出ないときは、JISコードを調べたり、あるいはパターン入力をして該当文字を探したりしなければならないでしょう。
 インプット時に旧仮名遣いや文語体で行うと、変な変換になってしまうこともあるので気をつけてください。
  届きぬ < 「トド来ぬ」
などなってしまったことがあります。

 文語体のタイトルでも、
  美しき水車小屋の娘
などは、何ら問題がなくインプットできます。しかし、
  母の教へ給ひし歌
などとすると、もうダメです。現代かな遣いにして「おしえ」が「教え」として、「え」を「へ」にするのですが、「たまいし」のほうは「玉石」になったりして思うようにはいきません。


検索するときの注意

 「からす」という言葉を検索したら、「数年前からすでに……」という部分が抽出されてしまいました。また、「ろば」を探していたら「そろばん」も検出しました。つまり、キーワードの設定を正しくして、絞り込む必要があるのです。


バージョンアップについて

 ソフトウエアやアプリケーションは、かなり速いテンポでバージョンアップが行われます。そして、その案内がくるのです。ふつう、その折りに新しいバージョンに置き換えるのです。むろん、性能や操作性は向上しているでしょう。しかし、バージョンアップに関しては問題がないわけでもありません。
 まず、分厚いマニュアルを読むためにかなりの時間が必要です。操作性が向上することによって、使い勝手も異なってくるでしょう。今までの習慣や手慣れた標準作業を変更する必要が生じるかもしれません。いくら性能がよいものでも、使いこなせなかったら意味がないのです。また、いくら新しいものでも、自分に不要な機能を満載していたら役には立ちません。
 そんなことを考えると、必ずしもバージョンアップをする必要はないでしょう。むしろ、手に馴染んだものを使いこなすほうがよいかもしれません。いちばん新しいものが、最もよいという錯覚。聖書には「新しい葡萄酒を古い革袋に入れてはいけない」とあります。自分に見合ったものが、いちばんいいのです。


マルチボリュームファイルとボリュームマルチファイル

 一つのファイルに数個の作品が入っているのをマルチボリュームファイルといいます。比較的小さな作品をまとめたものが、その一例です。これに反して、一つの作品が数個のファイルに分割して入っているのをボリュームマルチファイルといいます。つまり、大きな作品です。この場合、それぞれのヘッダー部分には、工夫が必要になります。


文書ファイルのメンテナンス

 文書ファイルはホームページビルダーやワープロで更新するほかにも、ファイルとしてメンテナンスする必要があります。ファイルの内容ばかりではなく、格納するフォルダやファイル名(文書名)などを、常に現状と見合ったものとすることが必要です。


2 辞書の追加と改良

     辞書への登録
     単語登録の方法
     辞書への登録=単語登録と熟語登録
     辞書登録単語のきまり(一例)
     動詞になる名詞=サ変名詞
     誤変換をしないように辞書を追加する
     辞書の育成と辞書のメンテナンス


辞書への登録

 単語登録と熟語登録ができます。
 固有名詞やよく用いる四字熟語なども短い読みで登録をしてしまうと、インプットが大幅に楽になります。


単語登録の方法

 送りがなの問題があります。動詞が二つ続いた熟語の場合です。「読み書きする」「読書き」などの考え方については、@@@を参照してください。


辞書への登録=単語登録と熟語登録

(1) かなだけの言葉は、次のようになります。
   テレホンカードは「てれか」
   レモンスカッシュは「れもす」(ふつうに言う「れすか」ではありません)
(2) かなと漢字の言葉は、
   アメリカ合衆国は「あがつ」(この場合「つ」は「っ」でなくてよい。促音は大きくしてインプットしやすくする)
   ロシア連邦は「ろれん」
(3) 漢字の合成語や日本語の氏名
   木村鷹太郎(きむら たかたろう)は「きたか」。(「きむたか」ではありません)
   安全保障は「あんほ」。(「あんぽ」ではない)
   労働組合は「ろうくみ」。(「ろうそ」ではない)
   常不軽菩薩は「じょうふけいぼさつ」または「じょうふきょうぼさつ」
   感情移入は「かんい」とせずに「かに」としてある
 なぜならば、ローマ字入力の場合「kani」と入力するからである。つまり「ん」を確定しないと「かに」となるから、そのまま読みに利用してキータッチ数を減らしているのです。

 単語登録をするまえは、「じょうふきょうぼさつ」が「情婦教菩薩」、「じょうふけいぼさつ」が「情婦形菩薩」になりました。なお、常不軽菩薩の話は『法華経常不軽菩薩品』にあります。
 私はそのように登録をしていますので、例えば「ふきょう」とすると「父母恩重経」や「フルート協奏曲」が出てきます。また、「おきょう」とすると「お経」の他に「オーボエ協奏曲」が出ます。


辞書登録単語のきまり(一例)

 いちおう私が行っている原則のようなものを次に示してみましょう。どうぞご参考になさって、あなたもご自分のルールを作成してください。

【読みの与えかた】
◇カタカナで読みが5文字以上(つまる音と「ー」を含む)の語は、最初の3文字をとる。
 ただし、つまる音を含むときは、字数が異なることもある。
(例)アセンブラ→あせん
   コンピュータ→こんぴゅ(4字になる場合)
   コミュニケーション→こみゅ(3字になる場合)
   マニュアル→まにゅ
   メッセージ→めっせ
   ヨーロッパ→よーろ
   スクラップ→すくら

◇カタカナで読みが4文字の語は、最初の2文字をとる。
(例)アナログ→あな
   システム→しす

◇カタカナで3文字以下は、原則として短縮登録をしない。そのままの綴りでカタカナに変換できないものは変換用登録をする。
(例)ネスト→ねすと(変換用の読みを登録)
   ヌル→ぬる(同)

◇カタカナの複合語は、3文字にする。原則として最初の語から2文字を次の語から1文字をとる。「ン」や「ー」の付くときは、そのほうの2文字を残す。もしも両方にあるときは、最初のほうを用いる。
(例)アウトプットデータ→あでー(「あうで」ではない)
   アクセスタイム→あくた(「あたい」ではない)
   アナログコンピュータ→あこん(「あなこ」ではない)
   インテリジェント端末→いんたん(「いんた」「いたん」ではない)
   インプットデータ→いんで(「いんでー」ではない)
   キーボード→きーぼ(「きーぼー」ではない)
   コンピュータコントロール→こんこ(「こんこん」ではない)
   スラッシュ→すら(「スラッ」にしにくい)
   データベース→でーべ(「でーべー」ではない)
   マシンコード→まこー(「ましこ」ではない)
   リターンキー→りたき(「りたーき」「りきー」ではない)
   レモンスカッシュ→れもす(「れすか」ではない)

◇対等の言葉や項目は、2文字ずつ残してもよい。
(例)シリアル/パラレル→しりぱら

◇カタカナと漢字の複合語は、原則として3文字とする。「ン」「ー」の付くときは、漢字のほうを優先する。「りゃ」「りゅ」「りょ」「でぃ」などは、それで1文字とする。
(例)アナログ計算機→あけい
   アクセス方法→あほう
   システム技術→しすぎ
   コンパイラ言語→こげん(「こんげん」でない)
   漢字コード→かんこ(「かんこー」でない)
   データ回線→でかい(「でーかい」でない)
   ヨーロッパ旅行→よーりょ(「よりょ」でない)
   ディスプレイ画面→でぃすが
   ディスプレイ装置→でぃそう

◇カタカナと漢字の複合語は、漢字部分とカタカナ部分に分解する。
(例)高度情報通信システム→こうし

◇漢字の複合語はそれぞれの読みの最初をとる。ふつう4文字になるが、3文字や2文字の場合もある。
(例)衛星通信→えいつう
   演算装置→えんそう
   仮想記憶→かき(2文字の場合)
   利用技術→りぎ(同)

◇長い熟語でも2つの部分にして、読みをつける。
(例)言語プロセッサ→げんぷ
   言語処理プロセッサ→げんぷ

◇常用の略語は、その読みにしたがった。
(例)(株)、株式会社→かぶ

◇3つ以上の複合語は、最初の2つで読みをつくる。しかし、強い結びつきのあるときは、そのほうをとる。
(例)中央処理装置→ちゅうしょ(中央+処理装置)
   伝送制御文字→でんも(伝送制御+文字)

◇複合語の読みが変化するときは、そのままにする。「ん」は「n」のままで進める。
(例)エンドユーザ→えにゅー(enyu-)


動詞になる名詞=サ変名詞

 動詞として用いることのできる名詞があります。そのまま「……する」というような利用ができる名詞のことです。例えば、
   利用、利用する、利用させる、利用できる
などがそうです。これらは、「サ変名詞」として登録をすればよいのです。


誤変換をしないように辞書を追加する

 ワードプロセッサで「小中学生」と打とうと思ったら、「焼酎学生」と出たのでびっくりしました。変な変換(誤変換)は、かなり多いようです。そのようなときは、熟語全体で登録をしてしまうと問題がなくなります。例えば、「読んだろうか」として「読んだ老化」「四だろうか」などと出てきたり、「来ていない」として「規定内」と出ると、修正が面倒だからです。


辞書の育成と辞書のメンテナンス

 必要に応じて、辞書を少しずつ増やしていきます。つまり、辞書の中にも自分自身の知的空間の広がりを作っていくのです。また、不要になった単語や熟語を削除する必要もあるでしょう。辞書は常にメンテナンスして、使い勝手のよい状態にしておきたいものです。


3 絞り込み(折りたたみ機能、ランク機能)の活用

     折りたたみ機能の活用
     全体の構成を常に考える


折りたたみ機能の活用

 一太郎でいうランク機能のことで、章、節、項などの作成が楽になります。
 また、並べ替え、パーツの育成(節を章へ、項を節へ)、パーツの縮小(育成の逆)なども簡単にできます。何よりもいいことは、断片を一つのまとまった意見・思想に育てることができたり、全体像の配慮をしながら部分が作れることでしょう。


全体の構成を常に考える

 ランク機能は折畳み機能ともいいます。文にランクを設定して、整理をするのです。
 メモ(モチーフ)から作品までの行程に利用をすると便利です。ランクを絞り込んで、常に全体の構成を確認しておくことも可能です。インプットしたり、修正をしたい位置にジャンプするには、いったんランクを絞って該当個所を知るとよいでしょう。


Kuroda Kouta (2004.02.29/2011.02.03)