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この資料に関するコメント

 旧約聖書から抜粋(2)


2 脱出の書(Exodus・出エジプト記) 全


第一章


【ヘブライ人の繁栄】

01 ヤコブと共に一家を挙げてエジプトへ来たイスラエルの子らの名前は、次のとおり。
02 ルベン・シメオン・レビ・ユダ・
03 イサカル・ゼブルン・ベニヤミン・
04 ダン・ナフタリ・ガド・アシェル。

05 ヤコブから出た子、孫の数は全部で七十人。ヨセフは、すでにエジプトにいた。
06 やがて、ヨセフもその兄弟たちも、その世代の人々も皆、死んだ。
07 イスラエル人は子を産み、おびただしく数を増し、ますます強くなって国中に溢れた。

【エジプト人から虐待される】

08 そのころ、ヨセフのことを知らない新しい王が出て、エジプトを支配していた。
09 そして、国民に警告をした「イスラエル人という民は、もはや我々にとってあまりに数多く、強力になりすぎた。
10 抜かりなく取り扱い、これ以上の増加を食い止めよう。もしも戦争が起これば、敵側に付いて我々と戦い、この国を乗っ取るかもしれない」

11 そこで、エジプト人はイスラエル人の上に強制労働の監督を置き、重労働を課した。イスラエル人は、ファラオの物資貯蔵の町、ピトムとラメセスを建設した。
12 しかし、虐待されればされるほど彼らは増え広がった。エジプト人は、ますますイスラエル人を嫌悪するようになった。
13 そして、さらにイスラエル人を酷使した。
14 粘土こね・煉瓦焼き・農作業などの重労働によって彼らの生活を脅かしたのである。彼らが従事した労働は、いずれも過酷を極めた。

【助産婦への命令】

15 エジプト王は、二人のヘブライ人助産婦に命じた。一人はシフラ、もう一人はプア。
16 「お前たちがヘブライ女の出産を助けるときには、子供の性別を確かめ、男の子ならば殺し、女の子ならば生かしておけ」
17 助産婦は、いずれも神を畏れていたので、エジプト王が命じたとおりにはせず、男の子も生かしておいた。

18 エジプト王は、彼女たちを呼びつけて問い正した「どうして言うとおりにしないのだ。お前たちは、男の子を生かしているではないか?」
19 助産婦は、ファラオに答えた「ヘブライ女は、エジプト人の女性とは違います。彼女たちは丈夫で、助産婦が行く前に産んでしまうのです」
20 神は、この助産婦たちに恵みを与えた。民は数を増し、はなはだ強くなった。
21 助産婦たちは神を畏れていたので、神は彼女たちにも子宝を恵んだ。

22 ファラオは全国民に命じた「生まれた男の子は、一人残らずナイル川に放り込め。女の子は皆、生かしておけ」


第二章


【モーセの誕生】

01 レビ家 出身のある男が、同じレビ人の娘を娶(めと)った。
02 女は身ごもり、男の子を産んだ。その子がかわいかったので、三か月ほど隠しておいた。
03 しかし、もはや隠しきれなくなったので、パピルスの篭を用意した。そして、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。
04 その子の姉は遠くに立って、どうなることかと様子を見ていた。

【ファラオの王女に拾われる】

05 すると、ファラオの王女が水浴びに来た。その間、侍女たちは川岸を行き来していた。王女は、葦の茂みの間に篭を見つけたので、侍女に取って来させた。
06 開けてみると赤ん坊がおり、男の子で泣いていた。王女は、不憫(ふびん)に思い「これは、きっとヘブライ人の子です」と言った。

【母親が乳母にになる】

07 その子の姉は、ファラオの王女に申し出た「この子に乳を飲ませるヘブライ人の乳母を呼んできましょうか?」
08 王女は「そうしておくれ」と頼んだ。そこで、娘はその子の母を連れて来た。
09 「この子を連れて行って、私に代わって乳を飲ませておやり。手当ては、私が出しますから」と言った。母親は、その子を引き取って乳を飲ませた。

10 母親は、その子が大きくなると、王女のもとへ連れて行った。こうして、彼は王女の子となった。王女は、彼をモーセと名付けて言った「水の中から、私が引き上げた(=マーシャー)のですから」

【モーセは同胞の作業を見る】

11 モーセが成人したころ、同胞たちが重労働をしているのを見た。そこでは、一人のエジプト人が同胞のヘブライ人を鞭で打っていた。
12 モーセは、辺りを見回して誰もいないのを確かめると、そのエジプト人を打ち殺して死体を砂に埋めた。

13 翌日、また行くと、今度はヘブライ人どうしが二人で喧嘩をしていた。モーセは「どうして自分の仲間を殴るのか?」と悪い方を窘(たしな)めた。
14 すると「誰が、お前を我々の監督や裁判官にしたのか。お前は、あのエジプト人を殺したように、私を殺すつもりか?」と言い返した。モーセは、あの事が知れたのかと恐れた。

【モーセはミディアン地方に逃げて、ツィポラと結婚する】

15 ファラオがこの事を聞き、モーセを殺そうとして捜した。しかし、モーセは逃れてミディアン地方にたどりつき、井戸の傍らに腰を下ろしていた。

16 ミディアンの祭司には、七人の娘がいた。彼女たちはそこへ来て、水を汲んで大桶を満たし、羊の群れに飲ませようとしていた。
17 そこへ、羊飼いの男たちが来て、娘たちを追い払った。モーセは立ち上がって、娘たちを救い、羊の群れに水を飲ませてやった。

18 娘たちが、父レウエルのところに帰ると、父は「どうして今日はこんなに早く帰れたのか?」と尋ねた。
19 彼女たちは、言った「一人のエジプト人が、羊飼いの男たちから私たちを助け、水を汲んで羊に飲ませてくれました」

20 父は、娘たちに言った「その人は、どこにいるのだ。どうして、お前たちはその人をほうっておくのだ。呼んで来て、食事を差し上げなさい」
21 モーセは、この人のもとに止まる決意をした。そこで、父親は娘のツィポラをモーセと結婚させた。
22 彼女は男の子を産み、モーセは彼をゲルショムと名付けた。彼が「自分は異国にいる寄留者(=ゲール)だ」と言ったからである。

【虐げを聞く神】

23 それから長い年月が経ち、エジプト王は死んだ。その間、イスラエル人は重労働のために呻(うめ)き、叫んだ。助けを求める彼らの叫び声は、神に届いた。
24 神はその嘆きを聞き、アブラハム・イサク・ヤコブとの契約を思い出した。
25 神は、イスラエル人を顧み、心に留めた。


第三章


【モーセの召し出し】

01 モーセは、舅(しゅうと)であるミディアンの祭司エトロの羊の群れを飼っていた。あるとき、その群れを荒野の奥へ追って行き、神の山ホレブに来た。

02 そこで、柴の間に燃え上がっている炎の中に、天使が現れた。彼が見ると、柴は火に燃えているのに、なぜか燃え尽きない。
03 モーセは、言った「行って、この不思議な光景をよく見届けよう。どうして、柴は燃え尽きないのだろうか?」

04 神は、モーセが見に来るのをご覧になった。そして、柴の間から声をかけ〈モーセよ、モーセよ〉と言った。彼は「はい」と答えた。
05 神は、言った〈近づいてはならない。履物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は、聖なる土地だ〉
06 続けて言った〈私はあなたの父の神である。アブラハム・イサク・ヤコブの神である〉 モーセは、神を見ることを恐れ、顔を覆った。

07 神は、言った〈私は、エジプトにいる私の民の苦しみを見た。監督者のもとで叫ぶ彼らの声を聞き、その痛みを知った。
08 それゆえ、私は降って行き、エジプト人から彼らを救い出す。そして、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人・ヘト人・アモリ人・ペリジ人・ヒビ人・エブス人の住む所へ彼らを導く。

09 イスラエル人の叫び声が、私のもとに届いた。また、エジプト人が彼らを圧迫する状態を見た。
10 行きなさい。私は、あなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエル人をエジプトから連れ出すのだ〉

11 モーセは神に言った「私は何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行って、しかもイスラエル人をエジプトから導き出さねばならないのでしょうか?」
12 神は言った〈私は、必ずあなたと共にいる。それが、あなたを遣わすしるしである。あなたが、民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕えるのだ〉

【神の名】

13 モーセは、神に尋ねた「私は、イスラエル人のところへ参ります。そこで彼らに『あなたたちの先祖の神が、私をここに遣わされたのです』と言えば、彼らは『その名は何か?』と問うにちがいありません。彼らに、何と答えるべきでしょうか?」
:14 神は言った〈私はある。私はあるという者だ〉 さらに〈イスラエル人にこう言うがよい。《私はある》という方から遣わされたのだと〉
15 神は、さらに続けてモーセに命じた〈イスラエル人に言うがよい。あなたたちの先祖の神、アブラハム・イサク・ヤコブの神である神が、私をあなたたちのもとに遣わした。これこそ、とこしえに私の名。これこそ、世々に私の呼び名。

16 さあ、行って、長老たちを集めて、言うがよい《あなたたちの先祖の神、アブラハム・イサク・ヤコブの神である主が私に現れて言った。私はあなたたちを顧み、あなたたちがエジプトで受けてきた仕打ちをつぶさに見た。
17 あなたたちを苦しみのエジプトから、カナン人・ヘト人・アモリ人・ペリジ人・ヒビ人・エブス人の住む乳と蜜の流れる土地へ導き上ろうと決心した》と。
18 彼らは、あなたの言葉に従うであろう。あなたは長老たちを伴い、エジプト王のもとに行って彼に言いなさい《ヘブライ人の神、主が私たちに出現しました。どうか、三日の道のりの荒野に行かせて、私たちの神、主に犠牲を捧げさせてください》

19 しかし私は、強い手を用いなければ、エジプト王が行かせないことを知っている。
20 私は、自ら手を下して、あらゆる驚くべき業をエジプト中で行い、これを打つ。その後初めて、王はあなたたちを去らせるだろう。
21 そのとき、この民にエジプト人の好意を得させるようにしよう。出国に際して、あなたたちは何も持たずに出ることはない。
:22 女は皆、隣近所や同居の女たちに金銀の装身具や外套を求め、それを自分の息子・娘の身に着けさせ、エジプト人からの分捕り物としなさい〉


第四章


【不思議をする能力】

01 モーセは、逆らって「それでも彼らは『神が、お前などに現れるはずがない』と信用せず、私の言うことを聞かないでしょう」と言った。
02 神は、彼に〈あなたが手に持っているものは何か?〉と言った。彼は「杖です」と答えた。
03 神は〈それを地面に投げよ〉と言った。彼が、杖を地面に投げると蛇になったので、モーセは飛びのいた。

04 神は、モーセに〈手を伸ばして、尾をつかめ〉と言った。モーセが、手を伸ばして尾をつかむと、それは手の中で杖に戻った。
05 〈こうすれば、彼らは先祖の神、アブラハム・イサク・ヤコブの神、主があなたに現れたことを信じる〉

06 神は、さらに〈あなたの手をふところに入れなさい〉と言った。モーセが手をふところに入れ、出してみると、驚いたことに手は重い皮膚病にかかり、雪のように白くなっていた。
07 神が〈手をふところに戻すがよい〉と言ったので、ふところに戻した。再び出してみると、元の肌になっていた。

08 〈たとえ、彼らがあなたを信用せず、最初のしるしが告げることを聞かないとしても、後のしるしで告げることは信じる。
09 しかし、この二つのしるしのどちらも信ぜず、またあなたの言うことも聞かないならば、ナイル川の水をくんできて乾いた地面にまくがよい。川からくんできた水は、血に変わるであろう〉

【アロンとの協力】

10 それでもなお、モーセは神に言った「ああ、神よ。私はもともと弁が立ちません。あなたが僕(しもべ)にお言葉をかけてくださった今でも、やはりそうです。全く私は口が重く、舌の重い者なのです」
11 神は、彼に言った〈一体、誰が人間に口を与えたのか。一体、誰が口を利けないようにし、耳を聞こえないようにし、目を見えるようにし、また見えなくするのか。神なる私ではないか。
12 さあ、行くがよい。この私が、あなたの口と共にあって、あなたが語るべきことを教えよう〉

13 モーセは、なおも言った「ああ神よ。どうぞ、誰か他の人を見つけて、お遣わしください」
:14 神はついに、モーセに向かって怒りを発して言った〈あなたには、レビ人アロンという兄弟がいるではないか。私は、彼が雄弁なことを知っている。その彼が、あなたに会おうとして、こちらに向かっている。あなたに会ったら、心から喜ぶであろう。
15 彼によく話し、語るべき言葉を彼の口に託すがよい。私は、あなたの口と共にあり、また彼の口と共にあって、あなたたちのなすべきことを教えよう。
16 彼は、あなたに代わって民に語る。彼はあなたの口となり、あなたは彼に対して神の代わりとなる。
17 あなたは杖を手に取って、しるしを行うがよい〉

【モーセはエジプトに帰る】

18 モーセは、舅のエトロのもとに帰って「エジプトにいる親族のもとへ、帰らせてください。まだ元気でいるかどうか、見届けたいのです」と言った。エトロは「無事で行きなさい」と言った。
19 神は、ミディアンでモーセに言った〈さあ、エジプトに帰るがよい、あなたの命をねらっていた者はすべて死んでしまった〉
20 モーセは、妻子をろばに乗せ、手には神の杖を携えて、エジプト国を目指して帰って行った。

21 神は、モーセに言った〈エジプトに帰ったら、私があなたの手に授けたすべての奇跡を、心してファラオの前で行うがよい。しかし、私が彼の心を頑(かたく)なにするので、王は民を去らせないであろう。
22 あなたは、ファラオに言うがよい。神は、こう言った《イスラエルは私の子、私の長子である。
23 私の子を去らせて私に仕えさせよと命じたのに、お前はそれを断った。それゆえ、私はお前の子、お前の長子を殺すであろう》と〉

;24 途中、ある所に泊まったとき、神はモーセと出会い、彼を殺そうとした。
25 ツィポラは、とっさに石刀を手にして、息子の包皮を切り取った。それをモーセの両足に付けて「私にとって、あなたは血の花婿です」と叫んだ。
26 すると、神は彼を放した。彼女は、そのときの割礼のゆえに「血の花婿」と言ったのである。

27 神は、アロンに向かって「さあ、荒野へ行って、モーセに会いなさい」と命じた。彼は出かけて行って、神の山でモーセと会い口づけをした。
28 モーセは、自分を遣わした神の言葉と、命じたしるしをすべてアロンに告げた。
29 モーセは、アロンを伴って出かけ、イスラエル人の長老を全員集めた。
30 アロンは、神がモーセに語った言葉をことごとく語り、民の面前でしるしを行った。
31 すると、民は信じた。また、神が親しくイスラエル人を顧み、彼らの苦しみをご覧になったということを聞き、ひれ伏して礼拝した。


第五章


【ファラオに会う】

01 モーセとアロンは、ファラオのもとに行った。そして、言った「イスラエルの神、主がこう言いました『私の民を去らせて、荒野で私のために祭りを行わせなさい』と」
02 ファラオは「神とは、何者なのか? その言うことを聞いて、なぜイスラエルを去らせねばならないのか。私は神など知らないし、イスラエルを去らせはしない」と答えた。
03 二人は、言った「ヘブライ人の神が、私たちに出現しました。どうか、三日の道のりの荒野を行って、私たちの神に犠牲を捧げさせてください。そうしないと、神はきっと疫病か剣で、私たちを滅ぼすでしょう」

04 エジプト王は、彼らに命じた「モーセとアロン、お前たちはなぜ彼らを仕事から引き離そうとするのだ。お前たちも、自分の労働に戻るがよい」
05 さらに、言った「この国にいる者の数が増えているのに、お前たちは、彼らに労働をやめさせようとするのか」

【圧迫が増す】

06 ファラオはその日、民の監督者と下役の者に命じた。
07 「これからは、今までのように、彼らに煉瓦を作るための藁(わら)を与えるな。藁を自分たちで集めさせよ。
08 しかも、今まで彼らが作ってきた同じ煉瓦の数量を課し、減らしてはならない。彼らは、怠け者なのだ。だから、自分たちの神に犠牲を捧げに行かせてくれなどと叫ぶのだ。
09 この者たちは、仕事をきつくすれば、偽りの言葉に心を寄せることはなくなるだろう」

10 監督者と下役の者は出て行き、民に向かって「ファラオはこう言われる『今後、お前たちに藁を与えない。
11 お前たちはどこにでも行って、自分で藁を見つけて取って来い。ただし、仕事の量は少しも減らさない』」と言った。

12 民はエジプト中に散って、藁の切り株まで集めた。
13 監督者たちは「藁があったときと同じように、その日の割り当てをその日のうちに仕上げろ」と言って、せきたてた。
14 ファラオに任命された監督者たちは、監督として置いたイスラエル人の下役の者らに「どうして、今までと同じ決められた量の煉瓦をその日のうちに仕上げることができないのか?」と言って、彼らを打った。

15 イスラエル人の下役の者らは、ファラオのもとに行って訴えた「どうしてあなたは僕(しもべ)たちに、このようにされるのですか。
16 僕らには、藁が与えられません。それでも、煉瓦を作れと言われて、僕らは打たれているのです。間違っているのは、あなたの民の方です」
17 ファラオは、言った「この怠け者めが。お前たちは怠け者なのだ。だから、神に犠牲を捧げに行かせてくださいなどと言うのだ。
18 すぐに、行って働け。藁は与えない。しかし、割り当てられた量の煉瓦は必ず仕上げよ」

【下役がモーセに苦情を言って、モーセは神に訴える】

19 イスラエル人の下役の者たちは「煉瓦の一日の割り当ては減らすな」と命じられて、自分たちが苦境に立たされたことを悟った。
20 彼らが、ファラオのもとから退出して来ると、待ち受けていたモーセとアロンに会った。
21 彼らは、二人に抗議した「どうか、神があなたたちに現れてお裁きになるように。あなたたちのお陰で、我々はファラオとその家来たちに嫌われてしまった。我々を殺す剣を彼らの手に渡したのと同じです」

22 モーセは、神のもとに帰って訴えた「わが神よ。あなたはなぜ、この民に災いをくだすのですか。私を遣わしたのは、一体なぜですか?
23 私が、あなたの名によって語るため、ファラオのもとに行ってから、彼はますますこの民を苦しめています。それなのに、あなたはご自分の民を全く救い出そうとされません」


第六章


【モーセの使命】

01 神は、モーセに言った〈あなたは、私がファラオにすることを見るであろう。私の強い手によって、ファラオはついに彼らを去らせる。私の強い手によって、ついに彼らを国から追い出すようになる〉

02 神は、改めてモーセに言った〈私は、主である。
03 私は、アブラハム・イサク・ヤコブに全能の神として現れたが、神という私の名を知らせなかった。
04 私はまた、彼らと契約を立て、彼らが寄留していた寄留地であるカナンの土地を与えると約束した。
05 私はまた、エジプト人の奴隷となっているイスラエル人のうめき声を聞き、私の契約を思い起こした。
06 それゆえ、イスラエル人に言いなさい。私は、神である。私はエジプトの重労働の下からあなたたちを導き出し、奴隷の身分から救い出す。腕を伸ばし、大いなる審判によって、あなたたちを贖う。
07 そして、私はあなたたちを私の民とし、私は、あなたたちの神となる。あなたたちはこうして、私があなたたちの神、主であり、あなたたちをエジプトの重労働の下から導き出すことを知る。

08 私は、アブラハム・イサク・ヤコブに与えると、手を上げて誓った土地にあなたたちを導き入れ、その地をあなたたちの所有として与える。私は主である〉
09 モーセは、そのとおりイスラエル人に語ったが、彼らは厳しい重労働のために意欲を失って、モーセの言うことを聞こうとはしなかった。
10 神は、モーセに言った。
11 〈エジプトの王ファラオのもとに行って、イスラエル人を国から去らせるように説得しなさい〉
12 モーセは、神に訴えた「ご覧のとおり、イスラエル人でさえ私の言うことを聞こうとしないのに、どうしてファラオが唇に割礼のない私の言うことを聞くでしょうか」
13 神は、モーセとアロンに語って、イスラエル人とエジプトの王ファラオに関する命令を与えた。それは、イスラエル人をエジプト国から導き出せというものであった。

【モーセとアロンの系図】

14 イスラエルの民の家系の長(おさ)は、次のとおり。
 イスラエルの長男ルベンの子らは、ハノク・パル・ヘツロン・カルミ。これらが、ルベンの氏族である。
15 シメオンの子らは、エムエル・ヤミン・オハド・ヤキン・ツォハルおよびカナンの女から生まれたシャウル。これらが、シメオンの氏族である。
16 レビの子らの名は、家系に従うと次のとおり。ゲルション・ケハト・メラリ。レビの生涯は、百三十七年であった。
17 ゲルションの子らは、氏族に従うとリブニとシムイ。
18 ケハトの子らは、アムラム・イツハル・ヘブロン・ウジエル。ケハトの生涯は、百三十三年であった。
19 メラリの子らはマフリとムシ。これらが、家系に従ったレビの氏族である。

20 アムラムは、叔母ヨケベドを妻に迎えた。彼女の産んだ子が、アロンとモーセである。アムラムの生涯は、百三十七年であった。
,21 イツハルの子らは、コラ・ネフェグ・ジクリ。
22 ウジエルの子らは、ミシャエル・エルツァファン・シトリ。

23 アロンは、アミナダブの娘でナフションの姉妹であるエリシェバを妻に迎えた。彼女の産んだ子が、ナダブ・アビフ・エルアザル・イタマル。
,24 コラの子らは、アシル・エルカナ・アビアサフ。これらが、コラ人の氏族である。
25 アロンの子エルアザルは、プティエルの娘の一人を妻に迎えた。彼女の産んだ子が、ピネハス。以上が、氏族ごとのレビ人の家長である。

【モーセとアロンの使命】

26 神が「イスラエル人を部隊ごとにエジプト国から導き出せ」と命じたのは、このアロンとモーセである。
27 そして、イスラエル人をエジプトから導き出すよう、エジプトの王ファラオの説得に当たったのも、このモーセとアロンである。
28 神が、エジプト国でモーセに語ったとき、
29 神は、モーセに言った「私は、主である。私があなたに語ることをすべて、エジプトの王ファラオに語りなさい」
30 しかし、モーセは神に言った「ご覧のとおり、私は唇に割礼のない者です。どうしてファラオが、私の言うことを聞き入れましょうか?」


第七章


【神がモーセとアロンに命ずる】

01 神は、モーセに言った〈私は、あなたをファラオに対しては神の代わりとし、あなたの兄アロンはあなたの預言者となる。
02 私が命じるすべてのことをあなたが語れば、あなたの兄アロンが、イスラエル人を国から去らせるよう、ファラオに語るであろう。
03 しかし、私はファラオの心を頑なにするので、私がエジプト国でしるしや奇跡を繰り返したとしても、
04 ファラオは、あなたたちの言うことを聞かない。私はエジプトに手を下し、大いなる審判によって、私の部隊、私の民イスラエル人をエジプト国から導き出す。
05 私が、エジプトに対して手を伸ばし、イスラエル人をその中から導き出すとき、エジプト人は、私が主であることを知るようになる〉

06 モーセとアロンは、神が命じたとおりに行った。
:07 ファラオに語ったとき、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。

【杖を蛇にする】

08 神は、モーセとアロンに言った。
09 〈もしも、ファラオがあなたたちに向かって『奇跡を行ってみよ』と求めるならば、あなたはアロンに『杖を取って、ファラオの前に投げよ』と言うと、杖は蛇になる〉
10 モーセとアロンはファラオのもとに行き、神の命じたとおりに行った。アロンが自分の杖をファラオとその家臣たちの前に投げると、杖は蛇になった。

11 そこで、ファラオも賢者や呪術師を召し出した。エジプトの魔術師もまた、秘術を用いて同じことを行った。
12 それぞれ自分の杖を投げると、蛇になった。しかし、アロンの杖の蛇は、彼らの杖の蛇を飲み込んだ。
13 それでも、ファラオの心は頑なになり、彼らの言うことを聞かなかった。神が、言ったとおりである。

【川の水が血になる】

14 神は、モーセに言った〈ファラオの心は頑迷で、民を去らせない。
15 明朝、ファラオのところへ行きなさい。彼は、水辺に下りて来る。あなたは、蛇になったあの杖を手に持ち、ナイル川の岸辺に立って、彼を待ち受けなさい。
16 そして、彼に言いなさい。ヘブライ人の神、主が私をあなたのもとに遣わして《私の民を去らせ、荒野で私に仕えさせよ》と命じたのに、あなたは今に至るまで聞き入れない。

17 そこで、神はこう言った《このことによって、あなたは、私が主であることを知る》と。私の手にある杖で、ナイル川の水を打つと、水は血に変わる。
18 川の魚は死に、川は悪臭を放つ。エジプト人は、ナイル川の水を飲むのを嫌がるようになる〉

19 神は、さらにモーセに言った〈アロンに言いなさい《杖を取り、エジプトの水という水の上・河川・水路・池・水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい》と。エジプト国中、木や石までも血に浸るであろう〉
20 モーセとアロンは、神の命じたとおりにした。彼は杖を振り上げて、ファラオとその家臣の前で、ナイル川の水を打った。川の水は、ことごとく血に変わった。
21 川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。こうして、エジプト国中が血に浸った。

22 ところが、エジプトの魔術師も秘術を用いて、同じことを行った。それで、ファラオの心は頑なになり、二人の言うことを聞かなかった。神が、言ったとおりである。
23 ファラオは王宮に引き返し、このことをも心に留めなかった。
24 エジプト人は皆、飲み水を求めて、ナイル川の周りを掘った。ナイルの水が飲めなくなったからである。
25 神が、ナイル川を打たれてから、七日経った。

【蛙の災害の予告】

26 神は、モーセに言った〈ファラオのもとに行って、言いなさい。神は、こう言った《私の民を去らせ、私に仕えさせよ。
27 もしも、あなたが去らせることを拒むならば、私はあなたの領土全体に蛙の災いを引き起こす。
28 ナイル川に蛙が群がり、あなたの王宮を襲い、寝室に侵入し、寝台に上り、更に家臣や民の家にまで侵入し、かまど・こね鉢にも入り込む。
29 蛙は、あなたも民もすべての家臣をも襲うであろう》と〉


第八章


【蛙の災害の実行】

01 神は、さらにモーセに言った〈アロンに、こう言いなさい。杖を取って、河川・水路・池の上に手を伸ばし、蛙をエジプト国に這い上がらせよ〉
02 アロンが、エジプトの水の上に手を差し伸べると、蛙が這い上がってきて、エジプト国を覆った。
03 ところが、魔術師も秘術を用いて同じことをし、蛙をエジプト国に這い上がらせた。

04 しかし、ファラオはモーセとアロンを呼んで「神に祈願して、蛙が退くようにしてもらいたい。そうすれば、民を去らせ、神に犠牲を捧げてよい」と言った。
05 モーセは、ファラオに答えた「あなたのお望みの時を言ってください。いつでも、あなたたちのために祈願して、蛙をあなたの家から除き、ナイル川以外には残らないようにしましょう」
06 ファラオが「明日」と言うと、モーセは答えた「あなたの言われるとおりにしましょう。あなたは、我々の神、主のような神が他にいないことを知るようになります。
07 蛙は、あなたがたの王宮、家臣や民の間から退いて、ナイル川以外には残らないでしょう」

08 モーセとアロンは、ファラオのもとから出て来た。そして、モーセはファラオを悩ました蛙のことで神に訴えた。
09 神は、モーセの願いどおりにした。蛙は、家からも庭からも畑からも死に絶えた。
10 人々は、その死骸を幾山にも積み上げたので、国中に悪臭が満ちた。
11 ファラオは一息つく暇ができたので、また心を頑迷にした。そして、再び二人の言うことを聞き入れなくなった。神が仰せになったとおりである。

【ぶよの災害】

12 神は、モーセに言った〈アロンに言いなさい『杖を差し伸べて土の塵を打ち、ぶよにして、エジプト全土に及ぼせ』と〉
13 彼らは、言ったとおりにした。アロンが、杖を持った手を差し伸べ土の塵を打つと、土の塵はすべてぶよとなり、エジプト全土に広がって人と家畜を襲った。
14 魔術師も、秘術を用いて同じようにぶよを出そうとしたが、今度はできなかった。ぶよは、人と家畜を襲った。
15 そこで魔術師は、ファラオに「これは、神の指の働きです」と言った。しかし、ファラオの心は頑なになり、彼らの言うことを聞かなかった。神が、仰せになったとおりである。

【あぶの災害】

16 神は、モーセに言った〈明朝、早く起きて、水辺に下りて来るファラオを出迎えて、彼に言いなさい。神は、こう言った《私の民を去らせ、私に仕えさせよ。
17 もしも、あなたが私の民を去らせないならば、私はあなたたち全員にあぶを送る。エジプトの人家にも、人が働いている畑地にも、あぶが満ちるであろう。
18 しかし、私の民の住むゴシェン地方には、あぶを入り込ませない。あなたはこうして、神がこの地のただ中にいることを知るようになる。
19 私は、私の民をあなたの民から区別して贖う。明日、このしるしが起こる》と〉

20 神は、そのとおり行った。あぶの大群が、ファラオの王宮や家臣の家に入り、エジプトの全土に及んだ。国は、あぶのゆえに荒れ果てた。
21 ファラオは、モーセとアロンを呼び寄せて「行って、あなたたちの神に、この国の中で犠牲を捧げるがよい」と言った。
22 モーセは、答えた「そうすることはできません。我々の神、主に捧げる犠牲は、エジプト人の厭(いと)うものです。もし、彼らの前でエジプト人の厭うものを捧げれば、我々を石で打ち殺すでしょう。
23 我々の神、主に犠牲を捧げるには、神が命じたように、三日の道のりを荒野に入らねばなりません」

24 ファラオが「よし、私はあなたたちを去らせる。荒野であなたたちの神、主に犠牲を捧げるがよい。ただし、あまり遠くへ行ってはならない。私のためにも祈願してくれ」と言った。
25 モーセは、答えた「では、あなたのもとから退出したら、さっそく神に祈願しましょう。明日になれば、あぶはファラオとその家臣と民の間から飛び去るでしょう。ただ、二度と、神に犠牲を捧げるために民を去らせないなどと言って、我々を欺かないでください」
26 モーセは、ファラオのもとから退出すると、神に祈願した。
27 神は、モーセの願いどおりにした。あぶは、ファラオと家臣と民の間からすべて飛び去り、一匹も残らなかった。

28 しかし、ファラオは今度もまた心を頑迷にして、民を去らせなかった。


第九章


【家畜が死ぬ】

01 神は、モーセに言った〈ファラオのもとに行って、彼に告げなさい。ヘブライ人の神は、こう言った《私の民を去らせて、私に仕えさせよ》と。
02 もしも、あなたが去らせるのを拒み、なおも彼らを止めておくならば、
03 神の手が、はなはだ恐ろしい疫病を野にいる家畜・馬・ろば・らくだ・牛・羊に臨ませる。
04 しかし神は、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを区別する。イスラエル人の家畜は、一頭たりとも死ぬことはない。
05 神はまた時を定め、明日、この地でこれを行う〉

06 翌日、神はこの事を行われたので、エジプト人の家畜はすべて死んだ。しかし、イスラエル人の家畜は一頭も死ななかった。
07 ファラオが、人を遣わして見させたところ、イスラエルの家畜は一頭といえども死んではいなかった。それでも、まだファラオの心は頑迷で、民を去らせなかった。

【はれ物ができる】

08 神は、モーセとアロンに言った〈竈(かまど)の煤(すす)を両手に取って、それをファラオの前で、天に向かってまき散らすがよい。
09 それは、エジプト全土を覆う細かい塵となって、エジプト全土の人と家畜に降りかかり、膿(うみ)の出る腫れ物(はれもの)となるであろう〉
10 二人は、竈の煤を取ってファラオの前に立ち、モーセがそれを天に向かってまき散らした。すると、膿の出る腫れ物が人と家畜に生じた。
11 魔術師もこの腫れ物のために、モーセの前に立つことができなかった。腫れ物は、魔術師だけでなくエジプト人すべてに生じた。

12 しかし、神がファラオの心を頑なにされたので、彼は二人の言うことを聞かなかった。神が、モーセに仰せになったとおりである。

【雹(ひょう)が降る警告をする】

13 神は、モーセに言った〈明朝早く起き、ファラオの前に立って、彼に言いなさい。ヘブライ人の神、主はこう言った《私の民を去らせ、私に仕えさせよ。
14 今度こそ、私はあなた自身とあなたの家臣とあなたの民に、あらゆる災害をくだす。私のような神が、地上のどこにもいないことを、あなたに分からせるためである。
15 実際、今までにも私は手を伸ばし、あなたたちを疫病で打ち、すべて地上から絶やすこともできたのだ。
16 しかし私は、あなたに私の力を示して、私の名を全地に語り告げさせるため、あなたを生かしておいた。

17 あなたはいまだに、私の民に対して高ぶって、彼らを去らせようとしない。
18 明日の今ごろ、かつてエジプトが始まってから今日までなかったほどの非常に激しい雹を降らせる。
19 それゆえ、人を遣わして、あなたの家畜で野にいるものは皆、避難させるがよい。野に出ている家畜は人と共に、すべて雹に打たれて死ぬだろう》と〉

【雹の被害】

20 ファラオの家臣のうち、神の言葉を畏れた者は、自分の僕と家畜を家に避難させた。
21 しかし、神の言葉を心に留めなかった者は、僕と家畜を野に残したままであった。
22 神は、モーセに言った〈あなたの手を天に向かって差し伸べ、エジプト全土に、人にも家畜にも、野のあらゆる草の上にも雹を降らせるがよい〉
23 モーセは、天に向かって杖を差し伸べた。すると、雷と稲妻が大地に向かって走った。神は、エジプトの地に雹を降らせたのである。
24 雹が降り、その間を絶え間なく稲妻が走った。それは非常に激しく、このような雹が全土に降ったことは、エジプト国始まって以来であった。
25 雹は、エジプト全土で野にいるすべてのもの、人も家畜も残らず打った。雹はまた、野のあらゆる草を打ち、野のすべての木を打ち砕いた。

26 ただし、イスラエル人の住むゴシェンの地域には雹は降らなかった。

【ますます頑迷なファラオ】

27 ファラオは人を遣わし、モーセとアロンを呼び寄せて言った「今度ばかりは、私が間違っていた。正しいのは神であり、悪いのは私と私の民である。
28 神に祈願してくれ。恐ろしい雷と雹はもうたくさんだ。あなたたちを去らせよう。これ以上ここに止まることはない!」
29 モーセは、言った「町を出たら、早速両手を広げて神に祈りましょう。雷はやみ、雹はもう降りません。あなたは、大地が神のものであることを知るでしょう。
30 しかし、あなたもあなたの家臣も、まだ主なる神を畏れるに至っていないことを、私は知っています」

31 亜麻と大麦は壊滅した。大麦はちょうど穂の出る時期で、亜麻はつぼみの開く時期であったから。
32 小麦と裸麦は、何とか壊滅を免れた。穂の出る時期が遅いからである。
33 モーセは、ファラオのもとから退出し町を出ると、両手を広げて神に祈った。すると、雷も雹もやみ、大地に注ぐ雨もやんだ。
34 ファラオは、雨も雹も雷もやんだのを見て、またもや過ちを重ね、彼も彼の家臣も心を頑迷にした。
35 ファラオの心は頑なになり、イスラエル人を去らせなかった。神がモーセを通して仰せになったとおりである。


第十章


【いなごを送るという警告】

01 神は、モーセに言った〈ファラオのもとに行きなさい。彼とその家臣の心を頑迷にしたのは、私である。彼らの中で、私がしるしを行うためである。
02 私がエジプト人をどのようにしたか、どのようなしるしを行ったかをあなたが子孫に語り伝え、私が主であることを知るためである〉

03 モーセとアロンは、ファラオに言った「ヘブライ人の神、主はこう言った『いつまで、あなたは私の前に身を低くするのを拒むのか。私の民を去らせ、私に仕えさせなさい。
04 もしも、あなたが私の民を去らせることを拒み続けるならば、明日、私はあなたの領土にいなごを送り込む。
05 いなごは地表を覆い尽くし、地面を見ることもできなくなる。雹の害を免れた残りのものを食い荒らし、野のすべての木を食い尽くす。
06 そして、王宮、家臣のすべての家、エジプト中の家に満ちる。それは、先祖たちもこの土地に住み着いたときから今日まで、見たことがないほどのものである』と」 彼は身を翻してファラオのもとから退出した。

【家臣の諫めも聞かないファラオ】

07 すると、家臣はファラオに進言して言った「いつまで、彼らは私たちを陥れる罠となるのでしょうか。即刻あの者たちを去らせ、彼らの神、主に仕えさせてはいかがでしょう。エジプトが滅びかかっているのが、まだお分かりになりませんか?」
08 モーセとアロンが、ファラオのもとに呼び戻されると、ファラオは二人に言った「行って、あなたたちの神、主に仕えるがよい。誰と誰が行くのか?」
09 「若い者も年寄りも、一緒に参ります。息子・娘・羊・牛すべてが行きます。神の祭りは、我々全員のものです」と、モーセは答えた。
10 ファラオは、二人に言った「よろしい。私が、お前たちを家族ともども去らせるときは、神がお前たちと共におられるように。お前たちの前には、災いが待っているのを知るがよい。

【頑ななファラオにいなごの災害】

11 いや、行くならば、男たちだけで行って、神に仕えるがよい。それが、お前たちの求めていたことだ」 ファラオは、自分の前から彼らを追い出した。
12 神は、モーセに言った〈手をエジプトの地に差し伸べ、いなごを呼び寄せなさい。いなごはエジプト国を襲い、地のあらゆる草、雹の害を免れたすべてのものを食い尽くすであろう〉
13 モーセが、エジプトの地に杖を差し伸べると、神はまる一昼夜、東風を吹かせた。朝になると、その東風がいなごの大群を運んで来た。
14 いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体に広がった。このようないなごの大群は、前にも後にもなかった。
15 いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くした。木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも、緑のものは何一つ残らなかった。

16 ファラオは、急いでモーセとアロンを呼んで頼んだ「あなたたちの神、主に対し、またあなたたちに対しても、私は過ちを犯した。
17 どうか、もう一度だけ過ちを赦して、あなたたちの神、主に祈願してもらいたい。こんな死に方だけは、しないで済むように!」
18 モーセは、ファラオのもとを退出して、神に祈願した。
19 神は風向きを変え、強い西風とした。いなごは吹き飛ばされて、葦の海に追いやられた。そして、エジプトの領土には、いなごが一匹も残らなかった。
20 しかし、神がファラオの心を頑なにしていたので、ファラオはイスラエル人を去らせなかった。

【暗闇が広がる】

21 神は、モーセに言った〈手を天に向かって差し伸べ、エジプトの地に闇にして、人々がそれを触(さわ)れるほどにしなさい〉
22 モーセが、手を天に向かって差し伸べると、三日間エジプト全土が暗闇になった。
23 人々は、その間、互いに見ることも、自分のいる場所から立ち上がることもできなかった。しかし、イスラエル人が住んでいる所には、光があった。

24 ファラオは、モーセを呼び寄せて「行って、神に仕えるがよい。ただし、羊と牛は残しておけ。妻子は連れて行ってもよい」と言った。
25 モーセは、答えた「いいえ。あなた御自身からも、生け贄と全焼の供え物をいただいて、我々の神、主に捧げたいと思います。
26 我々の家畜も連れて行き、蹄(ひづめ)一つ残さないでしょう。我々の神、主に仕えるためには、その中から選ばねばなりません。そこに着くまでは、どれを神に捧げるべきか分からないのです」
27 しかし、神がまたファラオの心を頑なにされたので、ファラオは彼らを去らせようとはしなかった。
28 ファラオが「引き下がれ。二度と私の前に姿を見せないよう気をつけよ。今度会ったら、生かしてはおかない」と言った。
29 モーセは、答えた「よくぞ言いました。二度と会おうとは思いません」


第十一章


【次の災いの予告】

01 神は、モーセに言った〈私は、なおもう一つの災いをファラオとエジプトにくだす。その後、王はあなたたちをここから去らせる。いや、そのときには、一人残らずここから追い出そうとする。
02 民に告げ、男も女も、それぞれ隣人から金銀の装飾品を求めるがよい〉
03 神は、この民に対して、エジプト人の好意を得るようにした。モーセも、エジプト国ではファラオの家臣や民に大いに尊敬を受けていた。

04 モーセは、言った「神は、こう告げた『真夜中ごろ、私はエジプトの中を進む。
05 そのとき、エジプト国中の初子はすべて死ぬ。王座に座るはずのファラオの初子から、石臼をひく女奴隷の初子まで。家畜の初子も、すべて死ぬ。
06 大いなる叫びが、エジプト全土に起こる。そのような叫びは、かつてなかったし、再び起こることもない』

07 しかし、イスラエル人に対しては、犬さえも人や家畜に向かって吠えません。あなたたちは、神がエジプトとイスラエルを区別していることを知るでしょう。
08 あなたの家臣は、すべて私のもとに来て『あなたたちは皆、出て行ってください』とひれ伏して、頼むでしょう。その後で、私は出て行きます」 そして、モーセは憤然とファラオのもとから退出した。
09 神は、モーセに言った〈ファラオは、あなたたちの言うことを聞かない。私は、エジプト国に大きな奇跡を行わなければならない」

10 モーセとアロンは、ファラオの前で奇跡をすべて行ったが、神がファラオの心を頑なにされたため、ファラオはイスラエル人を国から去らせなかった。


第十二章


【過ぎ越の祭り】

01 エジプト国で、神はモーセとアロンに言った。
02 〈この月を正月とし、年初めの月としなさい。
03 イスラエルの集団に、次のように告げなさい《今月の十日、人はそれぞれ父の家ごとに、すなわち家族ごとに小羊を一匹、用意しなければならない。
04 もし、家族が少人数で小羊一匹を食べきれない場合には、隣の家族と共に人数に見合うものを用意し、めいめいの食べる量に見合う小羊を選ばねばならない。
05 その小羊は、傷のない一歳の雄でなければならない。用意するのは、羊でも山羊でもよい。

06 そして、この月の十四日まで取り分けておき、イスラエルの集団の会衆が、皆で夕暮れにそれを屠る。
07 その血を取って、小羊を食べる家の入り口の二本の柱と鴨居に塗る。
08 その夜、肉を火で焼いて食べる。また、種なしパンを苦菜(にがな)を添えて食べる。
09 肉は生で食べたり、煮て食べてはならない。必ず、頭も四肢も内臓も切り離さずに、火で焼かねばならない。
10 それを、翌朝まで残しておいてはならない。翌朝まで残ったら、焼却をする。
;11 それを食べるときは、腰帯を締め、靴を履き、杖を手にし、急いで食べる。これが神の過越である。

12 その夜、私はエジプト国を巡り、人であれ、家畜であれ、エジプト国のすべての初子を撃つ。また、エジプトのすべての神々を裁く。私は、主である。
13 あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、私はあなたたちを過ぎ越す。私がエジプト国を撃つとき、滅ぼす者の災いはあなたたちに及ばない。
14 この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を神の祭りとして祝い、代々にわたって、守るべき不変の定めとして祝わねばならない。

【種なしパンの祭り】

15 七日間、あなたたちは種なしパンを食べる。まず、祭りの最初の日に、家から酵母を除く。この日から第七日までの間に、酵母入りのパンを食べた者は、すべてイスラエルから断たれる。
16 最初の日に聖なる集会を開き、第七日にも聖なる集会を開きなさい。この両日には、いかなる仕事もしてはならない。ただし、それぞれの食事の用意はしてもよい。
17 あなたたちは、種なしパンの祭りを守りなさい。なぜならば、まさにこの日に、私はあなたたちの部隊をエジプト国から導き出したからである。それゆえ、この日を代々にわたって守るべき不変の定めとして守らねばならない。

18 正月十四日の夕方から、その月の二十一日の夕方まで、種なしパンを食べる。
19 その七日間、家の中に酵母があってはならない。酵母入りのものを食べる者は、寄留者でも、その土地に生まれた者でも、すべてイスラエルの集団から断たれる。
20 酵母の入ったものは、一切食べてはならない。あなたたちの住む所では、どこでも種なしパンを食べなければならない》〉

【モーセが長老を通じて民に過越を告げた】

21 モーセは、長老をすべて呼んで、命じた「さあ、家族ごとに羊を取り、過越の犠牲を屠りなさい。
22 一束のヒソプを取って、鉢の中の血に浸し、鴨居と入り口の二本の柱にその血を塗りなさい。そして翌朝まで、誰も家から出てはならない。
23 神がエジプト人を撃つために巡るとき、鴨居と二本の柱に塗られた血をご覧になって、その入り口を過ぎ越す。滅ぼす者が家に入って、あなたたちを撃つことがないためである。

24 このことを、あなたと子孫のための定めとして、永遠に守らねばならない。
25 また、神が約束したとおり、与えられた土地に入ったときにも、この儀式を守らねばならない。
26 あなたたちの子供が『この儀式には、どういう意味があるのですか?』と尋ねたときは、
27 こう答えなさい『これが、神の過越の犠牲である。神がエジプト人を撃ったとき、エジプトにいたイスラエル人の家を過ぎ越し、我々を救われたのである』と」 民は、ひれ伏して礼拝をした。
28 それから、イスラエル人は帰って行き、神がモーセとアロンに命じたとおりに行った。

【長男の死によって追い出しをする】

29 真夜中になって、神はエジプト国ですべての初子を撃った。王座にいるファラオの初子から、牢屋につながれている捕虜の初子まで、また家畜の初子もことごとく撃たれた。
30 ファラオと家臣、すべてのエジプト人は、夜中に起き上がった。死人が出なかった家は、一軒もなかった。大きな叫びが、エジプト中に起こった。
31 ファラオは、モーセとアロンを夜のうちに呼び出して、言った「さあ、私の民の中から出て行け。あなたたちも、イスラエル人も。あなたたちが願ったように、行って神に仕えるがよい。
32 羊の群れも牛の群れも、あなたたちが願っていたように、連れて行くがよい。そして、私も祝福してもらいたい」

33 エジプト人は、民をせきたてて、急いで国から去らせようとした。そうしないと自分たちは、すべて死んでしまうと思ったからである。
34 民は、まだ酵母の入っていないパンの練り粉をこね鉢ごと外套に包み、肩に担いだ。
35 イスラエル人は、モーセの言葉どおりに、エジプト人から金銀の装飾品や衣類を求めた。
:36 神は、この民にエジプト人の好意を得させるようにした。したがって、エジプト人は彼らの求めに応じた。こうして、エジプト人の物を分捕ったのである。

【イスラエルの出発】

:37 イスラエル人は、ラメセスからスコトに向けて出発した。一行は、妻子を別にして壮年男子だけで、およそ六十万人だった。
38 その他、種々雑多な人々もこれに加わった。さらに、羊・牛・家畜なども、おびただしい数であった。
39 彼らは、エジプトから持ち出した練り粉で種なし堅パンを焼いた。練り粉には、酵母が入っていなかった。エジプトから追放されたとき、ぐずぐずしていられなかったし、道中の食糧を用意する時間もなかったからである。

:40 イスラエル人が、エジプトに住んでいた期間は、四百三十年。
41 四百三十年を経たちょうどその日に、神の部隊は全軍、エジプト国を出発した。
42 その夜、神は、彼らをエジプト国から導き出すために、寝ずの番をした。それゆえ、イスラエル人は代々にわたって、この夜、神のために寝ずの番をするのである。

【過ぎ越の祭りの掟】

43 神は、モーセとアロンに言った〈過越祭の掟は、次のとおり。外国人は、過越の犠牲を食べてはいけない。
44 ただし、金で買った男奴隷の場合、割礼を施すならば、食べてもよい。
45 滞在している者や雇い人は、食べることができない。
46 一匹の羊は、一軒の家で食べ、肉の一部を家から持ち出してはいけない。また、その骨を折ってはならない。
47 イスラエルの集団が、これを祝わなければならない。

48 もしも、寄留者があなたのところにいて、神の過越祭を祝おうとするときには、男子はすべて割礼を受けた後に、はじめて祝うことが許される。彼はそうすれば、その土地に生まれた者と同様になるからである。しかし、無割礼の者は誰もこれを食べてはいけない。
49 この規定は、その土地に生まれた者にも、あなたたちの間にいる寄留者にも、同じように適用される〉

50 イスラエル人はすべて、神がモーセとアロンに命じたとおりに行った。
51 まさにこの日、神はイスラエル人を部隊ごとにエジプト国から導き出したのである。


第十三章


【種なしパンの定め】

01 神は、モーセに言った。
02 〈すべて初子は、聖別して私に捧げよ。イスラエル人の間で初めに胎を開くものは、すべて人であれ、家畜であれ、私のものである〉
03 モーセは、民に言った「あなたたちは、奴隷の家、エジプトから出たこの日を記念しなさい。神が力強い手をもって、あなたたちをそこから導き出したからである。酵母入りのパンを食べてはならない。
04 あなたたちは、アビブの月のこの日に出発する。
05 神が、あなたに与えると先祖に誓われた乳と蜜の流れる土地、カナン人・ヘト人・アモリ人・ヒビ人・エブス人の土地に、あなたを導き入れられるとき、あなたはこの月にこの儀式を行わねばならない。

06 七日間、種なしパンを食べなければならない。そして七日目には、神のための祭りをする。
07 種なしパンを七日間食べるときに、酵母入りのパンがあってはならない。領土のどこにも、酵母があってはならない。
08 この日、自分の子供に告げなければならない『これは、私がエジプトから出たとき、神が私のために行ったことが原因である』と。
09 あなたは、この言葉を自分の腕や額に付けた記憶のしるしと考えて、神の教えを口承しなさい。神が力強い手をもって、あなたをエジプトから導き出されたからである。
10 あなたは、この掟を毎年定められたときに守らねばなりません。

【初子についての定め】

11 神があなたと先祖に誓ったとおり、カナン人の土地にあなたを導き入れ、それをあなたに与える。
12 そのときは、初めに胎を開くものすべてを神に捧げなければなりません。また、家畜の初子の雄は、すべて神のものである。
13 ただし、ろばの初子の場合は、すべて小羊をもって贖わねばならない。贖わない場合は、その首を折らないといけない。あなたの初子のうち、男の子の場合はすべて、贖わねばならない。

14 将来、あなたの子供が『これには、どういう意味があるのですか?』と尋ねるときは、こう答えなさい 『神は、力強い手をもって我々を奴隷の家、エジプトから導き出した。
15 ファラオが頑(かたく)なで、我々を去らせなかったため、神はエジプト国中の初子を家畜の初子まで、ことごとく撃った。それゆえ私は、初めに胎を開く雄をすべて神に犠牲として捧げ、自分の息子のうち初子を贖うのである』
16 あなたは、この言葉を腕に付けてしるしとし、額に付けて覚えとしなさい。神が力強い手をもって、我々をエジプトから導き出されたからである」

【イスラエル人の脱出】

17 ファラオが民を去らせたとき、神は彼らをペリシテ街道には導かなかった。それは近道であったが、民が戦わねばならぬことを知って後悔し、エジプトに帰ろうとするかもしれないと思ったからである。
18 神は、民を葦の海に通じる荒野の道に迂回をさせた。イスラエル人は、隊伍を整えてエジプト国から出た。
19 モーセは、ヨセフの骨を携えていた。ヨセフが「神は、必ずあなたたちを顧みられる。そのとき、私の骨をここから一緒に携えて出るように」と言って、イスラエルの子らに固く誓わせたからである。

20 一行はスコトから旅立って、荒野の端のエタムに宿営した。
21 神は彼らに先立って進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照らした。それで、彼らは昼も夜も行進をすることができた。
22 昼は雲の柱が、夜は火の柱が、民の先頭を離れることはなかった。


第十四章


【ファラオが追跡をする】

01 神は、モーセに言った。
02 〈イスラエル人に、引き返してミグドルと海との間のピ=ハヒロトの手前で宿営するよう命じなさい。つまり、バアル=ツェフォンの前に、それに面して海辺に宿営するのだ。
03 すると、ファラオはイスラエル人が慌てたために道に迷って、荒野が行く手をふさいだためと思うであろう。
04 私は、ファラオの心を頑なにし、後を追わせる。しかし、私はファラオとその全軍を破って栄光を現す。その結果エジプト人は、私が神であることを知るようになる〉 彼らは、神の言ったとおりにした。

05 イスラエル人が逃亡したという報告を受けると、エジプト王ファラオとその家臣は、民に対する考えを一変して、言った「ああ、我々は何ということをしたのだろう。イスラエル人を労役から解放して、去らせてしまったとは」
06 ファラオは戦車に馬をつなぎ、自ら軍勢を率いた。
07 えり抜きの戦車六百をはじめとし、エジプトの戦車すべてを動員して、それぞれに士官を乗り込ませた。

【ファラオの軍がイスラエル人に追いつく】

08 神が、エジプト王ファラオの心を頑なにしたので、王はイスラエル人の後を追った。イスラエル人は、意気揚々と出て行ったが、
09 エジプト軍は彼らの後を追い、ファラオの馬と戦車、騎兵と歩兵は、ピ=ハヒロトの傍らで、バアル=ツェフォンの前の海辺に宿営している彼らに追いついた。
10 ファラオはすでに間近に迫り、イスラエル人が目を上げて見ると、エジプト軍が背後から襲いかかろうとしていた。イスラエル人は、非常に恐れて神に向かって叫んだ。
11 また、モーセに言った「我々を連れ出したのは、エジプトに墓がないからですか。荒野で、死なせるためですか。一体、何をするためにエジプトから導き出したのですか。
12 我々はエジプトで『ほうっておいてください。自分たちは、エジプト人に仕えます。荒野で死ぬよりも、エジプト人に仕える方がましです』と言ったではありませんか?」

13 モーセは、答えた「恐れるな。落ち着いて、あなたたちのために行われる神の救いを見なさい。あなたたちは、いまエジプト人を見ているが、もう二度と永久に、彼らを見ることはない。
14 神が、あなたたちのために戦う。あなたたちは、静かにしなさい」
15 神は、モーセに言った〈なぜ、私に向かって叫ぶのか。イスラエル人に命じて、出発させなさい。
16 杖を高く上げ、手を海に向かって差し伸べて、海を二つに分けなさい。イスラエルの民は、海の中の乾いた所を通ることができる。

17 私は、エジプト人の心を頑なにするから、彼らはお前たちの後を追って来る。そのとき、私はファラオとその全軍、戦車と騎兵を破って栄光を現す。
18 私がファラオとその戦車、騎兵を破って栄光を現すとき、エジプト人は、私が神であることを知るようになる〉
19 イスラエルの部隊に先立って進んでいた天使は、移動して彼らの後ろを行き、彼らの前にあった雲の柱も移動して後ろに立った。
20 そして、エジプトの陣とイスラエルの陣との間に入った。真っ黒な雲が立ちこめ、光が闇夜を貫いた。両軍は、一晩中、互いに近づくことはなかった。

【水が分かれた海の中を進む】

21 モーセが、手を海に向かって差し伸べると、神は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返した。すると、海は乾いた地に変わって、水は分かれた。
22 イスラエル人は、海の中の乾いた所を進んで行き、水は彼らの右と左に壁のようになった。
23 エジプト軍は彼らを追い、ファラオの馬・戦車・騎兵がことごとく彼らに従って、海の中に入って来た。
24 朝の見張りのころ、神は火と雲の柱からエジプト軍を見下ろし、エジプト軍をかき乱された。
25 戦車の車輪を外し、進みにくくした。エジプト人は、言った「イスラエルの前から退却をしよう。神が、彼らのためにエジプトと戦っている!」

【海を戻してエジプト軍を滅ぼした】

26 神は、モーセに言った〈海に向かって、手を差し伸べなさい。水がエジプト軍の上に、戦車・騎兵の上に流れ返るであろう〉
27 モーセが、手を海に向かって差し伸べると、夜が明ける前に海は元の場所へ流れ返った。エジプト軍は、水の流れに逆らって逃げたが、神は彼らを海の中に投げ込んだ。
28 水は元に戻り、戦車と騎兵、彼らの後を追って海に入ったファラオの全軍を覆ったので、一人も残らなかった。
29 イスラエル人は、海の中の乾いた所を進んだ。そのとき、水は彼らの右と左に壁となっていた。

30 神はこうして、その日、イスラエルをエジプト人の手から救った。イスラエルは、エジプト人が海辺で死んでいるのを見た。
31 イスラエルは、神がエジプト人に行った大いなる業を見た。民は神を畏れて、神とその僕モーセを信じた。


第十五章


::【神を賛美する歌】

01 モーセとイスラエルの民は、神を賛美して次のように歌った。

 「神を讃えて歌おう。神は大いなる栄光にあふれ、馬と乗り手を海に投げ込んだ。
02 神は私の力、私の砦、私の救いとなってくださった。この方こそ私の神。私は讃える。私の父の神、私は崇(あが)める。
03 神こそ戦人(いくさびと)。その名は、主。
04 神は、ファラオの戦車と軍勢を海に投げ込み、えり抜きの戦士が葦の海に沈んだ。
05 深い淵が彼らを飲み込み、彼らは深い底に石のように沈んだ。

06 神よ、あなたの右手は力によって輝く。神よ、あなたの右手は敵を打ち砕く。
07 あなたは偉大な力で敵を滅ぼし、怒りを発して、彼らを藁のように押しつぶした。
08 憤りの風によって、水はせき止められ、流れは土手のように立ち上がり 水が海の中で固まった。
09 敵は言った『彼らの後を追い、捕らえて分捕り品を分けよう。剣を抜いて、欲しいままに奪おう』
10 あなたが息を吹きかけると、海は彼らを飲み込み、彼らは鉛のように深い水底(みずそこ)に沈んだ。

11 神よ、神々の中に あなたのような方が他にあるでしょうか。誰か、あなたのように尊く輝き、誉(ほ)むべき業によって畏れられ、不思議な業を行う方があるでしょうか?
12 あなたが右手を差し伸べると 大地は彼らを呑み込んだ。
13 あなたは、慈愛をもって贖われた民を導き 力をもって聖なる住まいに連れて行った。

14 諸国の民は、これを聞いて震(ふる)え、ペリシテ人は苦しんだ。
15 エドムの首長は驚き恐れ、モアブの頭(かしら)たちはわななき、カナンの住民は動転をした。
16 彼らは、恐怖とおののき、腕の力の前に石のように黙した。神よ、あなたの民が通り過ぎ、あなたの作ったこの民が通り過ぎるまで。
17 あなたはこの民を導き、嗣業の山にそれを植える。神よ、それはあなたの住まいとして、自ら造られた所。神よ、その手によって建てた聖所。
18 神は、代々永遠に治める」

【神を賛美する歌の結び】

19 ファラオの馬が、戦車、騎兵もろとも海に入ったとき、神は海の水を彼らの上に戻した。しかし、イスラエル人は海の中の乾いた所を進むことができた。
20 アロンの姉で女預言者ミリアムが、小太鼓を手に取り、女たちも小太鼓を手に持って、踊りながら彼女の後に続いた。
21 ミリアムは彼らの音頭を取って歌った。
 「神を讃えて歌おう。神は栄光にあふれ、馬と戦車を海に投げ込んだ」

【マラの水】

22 モーセは、イスラエルを葦の海から旅立たせた。彼らはシュルに向かって、荒野を三日の間進んだが、水が見つからなかった。
23 マラに着いたが、そこの水は苦くて飲めなかった。そんなわけで、そこの名はマラ(=苦い)と呼ばれた。
24 民は、モーセに向かって「何を飲んだらよいのか?」と、不平を言った。
25 モーセが、神に向かって叫ぶと、神は彼に一本の木を示した。その木を水に投げ込むと、水は甘くなった。その場所で、神は彼に掟と法とを与えた。そして、彼を試みた。
26 〈もしあなたが、あなたの神の声に必ず聞き従い、彼の目にかなう正しいことを行い、彼の命令に耳を傾け、すべての掟を守るならば、私がエジプト人に下した病をあなたには下さない。私は、あなたを癒す主である〉

27 エリムに着くと、そこには十二の泉があり、七十本のなつめやしが茂っていた。その泉のほとりに、彼らは宿営した。


第十六章


【民の不満に神が答える】

01 イスラエル人の集団はエリムを出発し、そことシナイとの間にあるシンの荒野に向かった。エジプト国を出た年の第二の月の十五日であった。
02 荒野に入ると、イスラエル人の集団はモーセとアロンに向かって、不平を言い始めた。
03 集団は、モーセらに言った「我々はエジプト国で、神の手によって死んだ方がましだった。あのころは、肉の入った大鍋の前に座り、パンを腹いっぱい食べられた。あなたたちは我々をこの荒野に連れ出し、この集団を飢え死にさせようとしている」

04 神は、モーセに言った〈あなたたちのために、天からパンを降らせる。民は出て行って、毎日必要な分だけ集なさい。私は、彼らが指示どおりにするかどうかを試そう。
05 六日目に家に持ち帰ったものを整理すれば、毎日集める分の二倍になっている〉
06 モーセとアロンは、すべてのイスラエル人に向かって言った「夕暮れに、あなたたちは、神があなたたちをエジプト国から導き出したことを知る。
07 朝には、神の栄光を見る。あなたたちが、神に向かって不平を述べているのを、神が聞いたからだ。神は『我々が何者なのか知っていて、我々に向かって不平を述べているのか?』と言っている」

【肉とパンの供与を約束する】

;08 モーセは、さらに言った「神は夕暮れに、肉を与えて食べさせる。朝には、パンで満腹にさせる。神は、あなたたちが神に向かって述べた不平を聞いたからだ。いったい、我々は何者なのか。あなたたちは、我々に向かってではなく、実際には神に向かって不平を述べているのだ」
09 モーセが、アロンに「あなたはイスラエル人の集団に向かって、神があなたたちの不平を聞いたから、神の前に集まれと命じなさい」と言った。
10 アロンは、イスラエル人の集団にそのことを命じた。彼らが荒野の方を見ると、神の栄光が雲の中に現れた。

11 神は、モーセに言った。
12 〈私は、イスラエル人の不平を聞いた。彼らに伝えるがよい《あなたたちは夕暮れには肉を食べ、朝にはパンを食べて満腹する。あなたたちはこうして、私があなたたちの神、主であることを知るようになる》と〉

【うずらとパン】

13 夕方になると、うずらが飛んで来て宿営を覆い、朝になって宿営の周りに露が降りた。
14 この降りた露が蒸発すると、荒野の地表を覆って薄くて壊れやすいものが、大地の霜のように薄く残っていた。
15 イスラエル人は、それを見て「これは、一体何だろう」と口々に言った。彼らは、それが何であるか知らなかった。モーセは、彼らに言った「これこそ、神があなたたちに食物として与えたパンである。

16 神は『あなたたちはそれぞれ必要な分、つまり一人当たり一オメルを集めよ。それぞれ自分の天幕にいる家族の数に応じて、それを取るがよい』」と命じた。
17 イスラエル人は、そのとおりにした。ある者は多く集め、ある者は少なく集めた。
18 しかし、オメル升で量ってみると、多く集めた者も余ることなく、少なく集めた者も足りないこともなく、それぞれが必要な分を集めた。
19 モーセは、彼らに「誰もそれを、翌朝まで残しておいてはならない」と言った。
20 彼らはモーセに聞き従わず、何人かはその一部を翌朝まで残した。しかし、虫が付いて臭くなったので、モーセは彼らに向かって怒った。

【安息日の食べ物と神の叱責】

21 そこで、彼らは朝ごとに、それぞれ必要な分を集めた。日が高くなると、それは溶けてしまったからだ。
22 六日目になると、彼らは二倍の量、一人当たり二オメルのパンを集めた。集団の代表者は、皆でモーセのもとに来て、そのことを報告した。
23 モーセは、彼らに言った「これは、神が仰せられたことである。明日は休息の日、神の聖なる安息日である。焼くものは焼き、煮るものは煮て、余った分は明日の朝まで蓄えておきなさい」
24 彼らはモーセの命じたとおり、朝まで残しておいたが、臭くならず、虫も付かなかった。

25 モーセは、言った「今日は、それを食べなさい。今日は、神の安息日である。野に何も見つからないであろう。
26 あなたたちは、六日間集めた。七日目は安息日だから、野には何もないだろう」
27 七日目になって、民のうちの何人かが野に集めに出てたが、何も見つからなかった。
28 神は、モーセに言った〈あなたたちは、いつまで私の戒めと教えを拒み続けて、守らないのか。
29 よくわきまえなさい。私が、あなたたちに安息日を与えたことを。そのために、六日目に、私は、あなたたちに二日分のパンを与える。七日目には、それぞれ自分の所に居て、その場所から出てはならない〉

【マナを記念に保存する】

30 民はこうして、七日目に休んだ。
31 イスラエルの家では、そのパンをマナと名付けた。それは、コエンドロの種に似て白く、蜜の入ったウェファースのような味がした。
32 モーセは、言った「神が命じたことは、次のことである『その中から正味一オメルを量り、代々にわたって蓄えよ。私が、あなたたちをエジプト国から導き出したとき、荒野で食べさせたパンを彼らが見ることができるためである』」
33 モーセがアロンに「壷を用意して、その中に正味一オメルのマナを入れ、それを神の前に置き、代々にわたって蓄えておきなさい」と言った。
34 アロンは、神がモーセに命じたとおり、それを掟の箱の前に置いて蓄えた。
:35 イスラエル人は、人の住んでいる土地に着くまで四十年にわたってこのマナを食べた。すなわち、カナン地方の境に到着するまで、このマナを食べたのである。
36 なお、一オメルは十分の一エファ。


第十七章


【岩からの水】

01 神の命令により、イスラエル人の集団はシンの荒野を出発して、レフィディムに宿営した。しかし、そこには飲み水がなかった。
02 民が、モーセと争い「飲み水を与えよ」と言うと、モーセは言った「なぜ、私と争うか。なぜ、神を試みるのか?」
03 民は、喉が渇いてしかたなく、モーセに向かって不平を述べた「なぜ、我々をエジプトから導き出したのか。私も子供たちも、家畜までも渇きで殺すためか?」
04 モーセは、神に「私は、どうすればよいのですか。彼らは今にも、私を石で打ち殺そうとしています」と叫んだ。
05 神は、モーセに言った〈長老数名を伴い、民の前を進め。また、ナイル川を打った杖を持って行くがよい。

06 私は、ホレブの岩の上であなたの前に立つ。あなたは、その岩を打て。そこから水が出て、民は飲むことができる〉 モーセは、長老たちの前でそのとおりにした。
07 モーセは、その場所をマサ(=試し)とメリバ(=争い)と名付けた。イスラエル人が「果たして、神は我々の間にいるのか?」と言って、神を試みたからである。

【アマレクを破る】

08 アマレクがレフィディムに来て、イスラエルと戦ったときのこと。
09 モーセは、ヨシュアに言った「男子を選び出し、アマレクとの戦いに出陣させなさい。明日、私は神の杖を手に持って、丘の頂に立つ」
10 ヨシュアは、モーセの命じたとおりして、アマレクと戦った。モーセとアロン、そしてフルは丘の頂に登った。
11 モーセが手を上げている間、イスラエルは優勢になり、手を下ろすと、アマレクが優勢になった。

12 モーセの手が重くなったので、アロンとフルは石を持って来てモーセの下に置いた。モーセはその上に座り、アロンとフルはモーセの両側に立って、彼の手を支えた。その手は、日の沈むまで上がっていた。
13 ヨシュアは、アマレクを打ち破った。

14 神はモーセに言った〈このことを文書にして記念とし、ヨシュアに読み聞かせよ。 《私は、アマレクの記憶を天の下から完全にぬぐい去る》と〉
15 モーセは祭壇を築き、それを「神はわが旗」と名付けた。
16 そして、言った「彼らは、神の御座に背いて手を上げた。神は、代々アマレクと戦う」


第十八章


【エトロたちの来訪】

01 モーセの舅(しゅうと)で、ミディアンの祭司エトロは、神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと、つまり、イスラエルがエジプトから導き出されたことを聞いた。
02 エトロは、モーセが先に帰していた妻のツィポラと、
03 二人の息子を連れてやって来た。息子の一人には、モーセが「私は異国にいる寄留者だ」と言って、ゲルショムと名付け、
04 もう一人には「私の父である神は私の助け、ファラオの剣から私を救ってくれた」と言って、エリエゼルと名付けた息子たちである。
05 エトロは、モーセの息子たちと妻を連れて荒野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。

06 彼は、モーセに「あなたの舅であるエトロが、あなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えた。
07 モーセは出て来て舅を迎え、身をかがめて口づけをした。お互いに安否を尋ねてから、天幕の中に入った。
08 モーセは舅に、神がイスラエルのためにファラオとエジプトに対してしたすべてのこと、民が途中であらゆる困難に遭遇したが、神が彼らを救い出したことを語った。
09 エトロは、神がイスラエルをエジプト人の手から救い出し、彼らに恵みを与えられたことを喜んだ。

10 そして、言った「神を讃えよ。神はあなたたちをエジプト人の手、ファラオの手から救い出した。神は、エジプト人のもとから民を救い出した。
11 今、私は知った。彼らがイスラエルに高慢に振る舞ったときにも 神は他のすべての神々にも勝って偉大であった!」
12 エトロは、全焼の供え物と生け贄を神に捧げた。アロンと長老たちも来て、モーセの舅と共に神の前で食事をした。

【エトロの提案】

13 翌日、モーセは座に着いて民を裁いた。民は朝から晩まで、モーセの裁きを待って並んでいた。
14 モーセの舅は、彼が民のために行っているすべてのことを見て「あなたが民のためにしているこのやり方は、どうしたことか。なぜ、あなた一人だけが座に着いて、民は朝から晩まで、あなたの裁きを待って並んでいるのか」と尋ねた。
15 モーセは、舅に「民は、神に問うために、私のところに来るのです。
16 彼らの間に何か事件が起こると、私のところに来ます。私は、それぞれの間を裁き、神の掟と指示とを知らせるのです」と答えた。

17 モーセの舅は、言った「あなたのやり方は良くない。
18 あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうでしょう。このやり方では、あなたの荷が重すぎる。一人では、負いきれないからだ。
19 私の言うことを聞きなさい。助言をしよう。神が、あなたと共におられるように。あなたが民に代わって、神の前に立って事件について神に述べる。
20 彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教えなさい。

21 民全員の中から、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎む信頼に値する人物を選び、千人隊長・百人隊長・五十人隊長・十人隊長として民の上に立てなさい。
22 平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くするために、彼らに分担をさせなさい。
23 このやり方を実行し、神があなたに命令を与えてくださるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分の所へ帰ることができよう」

【判事となる隊長の設定】

24 モーセは、舅エトロの意見を聞き入れ、その勧めのとおりにした。
25 全イスラエルの中から有能な人々を選び、彼らを民の長である千人隊長・百人隊長・五十人隊長・十人隊長とした。
26 こうして、平素は隊長が判事として民を裁いた。難しい事件はモーセのもとに持って来たが、小さい事件はすべて彼ら自身が裁いた。
27 舅エトロはモーセに送られて、自分の国に帰って行った。


第十九章


【シナイに到着】

01 イスラエル人は、エジプト国を出てちょうど三月目に、シナイの荒野に到着した。
02 彼らはレフィディムを出発して、シナイの荒野に着き、荒野に天幕を張った。イスラエルは、山に向かって宿営した。

【契約についての約束】

03 モーセが神のところに登って行くと、山から神は語りかけて言った〈ヤコブの家に語り イスラエル人に告げなさい。
04 あなたたちは、見た。私が、エジプト人にしたことを。また、あなたたちを鷲の翼に乗せて、私のもとに連れて来たことを。
05 私の声に聞き従い、私の契約を守るならば、あなたたちは、すべての民の間にあって、私の宝となる。世界は、すべて私のものである。
06 あなたたちは、私にとって祭司の王国、聖なる国民となる。これが、イスラエル人に語るべき言葉である〉

07 モーセは戻って、民の長老たちを呼び集め、神が命じた言葉をすべて彼らの前で語った。
08 民は皆、一斉に「私たちは、神が語られたことをすべて行います」と答えた。モーセは、民の言葉を神に取り次いだ。

【約束の準備】

09 神は、モーセに言った〈私は、濃い雲の中にあってあなたに臨む。私が、あなたと語るのを民が聞いて、いつまでもあなたを信じさせるためである〉 モーセは、民の言葉を神に告げた。
10 神は、モーセに言った〈民のところに行き、今日と明日、彼らを聖別し、衣服を洗わせなさい。
11 そして、三日目のために準備をさせなさい。三日目に、民全員の見ている前で、私はシナイ山に降りるからである。
12 民のために、周囲に境を設けて命じなさい《山に登らぬよう、その境界に触れぬよう注意せよ。山に触れる者は、必ず死刑に処せられる。
13 その人に手を触れず、石で打ち殺すか、矢で射殺さねばならない。獣であれ、人であれ、生かしておいてはならない。角笛が長く吹き鳴らされるとき、ある人々は山に登ることができる》〉

14 モーセは、山から民のところに下って行き、民を聖別して衣服を洗わせた。
15 民に命じて「三日目のために準備をしなさい。女に近づいてはならない」と言った。

【神の出現】

16 三日目の朝になると、雷鳴と稲妻と厚い雲が山に臨み、角笛の音が鋭く鳴り響いたので、宿営にいた民は震えた。
17 しかし、モーセは、民を神に会わせるために、宿営から連れ出した。彼らは、山の麓(ふもと)に立った。
18 シナイ山は、煙に包まれていた。神が、火の中を山の上に降りたからである。煙は、炉のように立ち上り、山全体が激しく震えた。
19 角笛の音が鋭く鳴り響いたとき、モーセが語りかけると、神は雷鳴をもって答えた。
20 神はシナイ山の頂に降り、モーセを山の頂に呼び寄せた。そこで、モーセは登って行った。

21 神は、モーセに言った〈あなたは下って行き、民が私を見ようとして境界に触れ、多くの者が死ぬことのないように警告しなさい。
22 また、私に近づく祭司たちも身を清め、私が彼らを撃つことがないようにしなさい〉
23 モーセは、神に言った「民は、シナイ山に登ることができません。境界を設けて、それを聖別せよと、あなたが警告したからです」
24 神は、彼に言った「さあ、下って行き、あなたはアロンと共に登って来なさい。ただし、祭司たちと民は、来てはならない。私が、彼らを撃たないためである」
25 モーセは、民のもとに下って行き、彼らに告げた。


第二十章


::【神が告げた十戒】

01 神は、こう言った。
02 〈私は主、あなたの神、あなたをエジプト国、奴隷の家から導き出した神である。
03 私の他に、神があってはならない。
04 いかなる像も、造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある形も、造ってはならない。
05 あなたは、それらに向かってひれ伏したり、仕えたりしてはならない。私は主、あなたの神。私は、熱情の神である。私を否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問う。
06 私を愛し、私の戒めを守る者には、千代までも慈しみを与える。

07 あなたの神、主の名を偽って唱えてはならない。偽ってその名を唱える者を、神は罰せずにはおかない。
08 安息日を心に留め、これを聖別せよ。
09 六日間働いて、何であれあなたの仕事をする。
10 そして七日目は、あなたの神の安息日である。いかなる仕事も、してはならない。あなたも、息子・娘・男女の奴隷・家畜も、町の中に寄留する人々も同様である。
11 六日間に、神は天・地・海・そこにあるすべてのものを造り、七日目に休んだから、神は安息日を祝福して聖別した。

12 あなたの父母を敬え。そうすれば、あなたの神、主が与える土地に、長く生きることができる。
13 殺してはならない。
14 姦淫してはならない。
15 盗んではならない。
16 隣人に関して、偽証してはならない。
17 隣人の家を欲してはならない。隣人の妻・男女の奴隷・牛・ろばなど隣人のものをいっさい欲してはならない〉

【民の恐れ】

18 民たちは、雷鳴がとどろき、稲妻が光り、角笛の音が鳴り響いて、山が煙に包まれる有様を見た。民は、それを見て恐れ、遠く離れて立った。
19 そして、モーセに言った「私たちに、語ってください。私たちは聞きます。神が、私たちに直接に語らないようにしてください。そうしないと、私たちは死んでしまいます」
20 モーセは、民に答えた「恐れるな。神が来たのは、あなたたちを試すためであり、あなたたちに神に対する畏れをいだかせて、罪を犯させないようにするためである」
21 民は遠く離れて立ち、モーセだけが神のいる雲に近づいた。

22 神は、モーセに言った。〈イスラエル人に、言いなさい。あなたたちは、私が天から語るのを見た。
23 あなたたちは私について、何も造ってはならない。銀の神々も、金の神々も造ってはならない。

【祭壇についての掟】

24 私のためには、土の祭壇を造り、全焼の供え物・和解の供え物・羊・牛を捧げなさい。私の名を唱えるすべての場所で、私はあなたに臨み、あなたを祝福する。
;25 しかし、もしも石の祭壇を造るなら、切り石で築いてはならない。鑿(のみ)を当てると、石が汚されるからである。
;;26 階段を用いて、祭壇に登ってはならない。あなたのおチンチンが、見えてしまうからである〉


第二十一章


【奴隷に関する定め】

01 〈あなたが、彼らに示すべき定めは、次のとおり。
02 ヘブライ人の奴隷を買うときは、六年間奴隷として働かせる。しかし、七年目には無償で自由の身にしなければならない。
03 もし、彼が独身で来たときは、独身で去らねばならない。もし、彼が妻帯者であった場合は、その妻も共に去ることができる。
04 もし、主人が彼に妻を与えて、その妻が彼との間に息子または娘を産んだ場合、その妻と子供は主人に属し、彼は独身で去らねばならない。
05 もし、その奴隷が「私は主人と妻子とを愛していて、自由の身になる意志はありません」と明言する場合には、
06 主人は、彼を神のもとに連れて行く。入り口または入り口の柱のところで、彼の耳を錐で刺し通すならば、彼を生涯、奴隷とすることができる。

07 人が自分の娘を女奴隷として売ったときは、その女は、男奴隷が去るときと同じように去ることはできない。
08 もしも、主人が彼女を一度自分のものと定めながら、気に入らなくなった場合は、彼女が買い戻されることを許さねばならない。主人は彼女を裏切ったのだから、外国人に売ることはできない。
09 彼女を自分の息子のものと定めた場合は、自分の娘と同じように扱わなければならない。
;;10 もし、彼が別の女を娶った場合も、彼女から食事・衣服・夫婦のセックス回数を減らしてはならない。
11 もし、彼がこの三つの事柄を実行しないときは、彼女は金を支払わずに無償で去ることができる〉

【殺人に関する定め】

12 〈人を打って死なせた者は、必ず死刑に処せられる。
13 ただし、故意にではなく、神が彼にそうさせた場合には、私は一つの場所を定める。彼は、そこに逃れることができる。
14 しかし、故意に隣人を殺そうとして暴力を振るうならば、あなたは彼を私の祭壇のもとからでも連れ出して、処刑することができる。
15 自分の父あるいは母を打つ者は、必ず死刑に処せられる。
:16 人を誘拐する者は、彼を売った場合も、自分の手もとに置いていた場合も、必ず死刑に処せられる。
17 自分の父あるいは母を呪う者は、必ず死刑に処せられる〉

【補償・賠償に関する定め】

18 〈人々が争って、一人が他の一人を石・こぶしなどで打った場合には、彼が死なないで、床に伏しても、
19 回復をして、杖を頼りに外を歩くことができるならば、彼を打った者は罰を免れる。ただし、仕事を休んだ分を補償し、完全に治療させなければならない。
20 自分の男奴隷あるいは女奴隷を棒で打ち、その場で死なせた場合は、必ず罰せられる。
21 ただし、一両日でも生きていた場合は、罰せられない。それは、自分の財産だからである。
22 人々が喧嘩をして、妊娠している女を打ち、流産させた場合は、その他の損傷がなくても、その女の主人が要求する賠償を支払わねばならない。仲裁者の裁定に従って、それを支払わねばならない。

::23 その他の損傷があるならば、命には命。
::24 目には目、歯には歯、手には手、足には足。
::25 やけどにはやけど、生傷には生傷、打ち傷には打ち傷をもって償わねばならない。
26 自分の男奴隷あるいは女奴隷の目を打って、目がつぶれた場合、その目の償いとして、その者を自由にして去らせねばならない。
27 自分の男奴隷あるいは女奴隷の歯を折った場合、その歯の償いとして、その者を自由に去らせねばならない〉

【牛による事故の定め】

28 〈牛が男あるいは女を突いて死なせた場合、その牛は必ず石で打ち殺す。また、その肉を食べてはならない。しかし、その牛の所有者には罪がない。
29 もしも、その牛に以前から突く癖があり、所有者に警告がなされていたのに、所有者が警告を守らないで、男あるいは女を死なせた場合は、牛は石で打ち殺され、所有者も死刑になる。
30 もしも、賠償金が要求されたときは、自分の命の代償として、要求されたとおりに支払わねばならない。
31 男の子あるいは女の子を突いた場合も、この規定に準じて処理されねばならない。
32 もし、牛が男奴隷あるいは女奴隷を突いた場合は、銀三十シェケルをその主人に支払い、その牛は石で打ち殺されねばならない。

33 人が水溜めを開けたままにしておくか、水溜めを掘って、それに蓋をしないでおいたため、そこに牛あるいはろばが落ちた場合、
34 その水溜めの所有者はそれを償い、牛あるいはろばの所有者に銀を支払う。ただし、死んだ家畜は彼のものとなる。
35 ある人の牛が、隣人の牛を突いて死なせた場合、生きている方の牛を売って、その代金を折半し、死んだ方の牛も折半する。
36 しかし、牛に以前から突く癖のあることが分かっていながら、所有者が注意を怠った場合は、その牛の代償として牛で償わねばならない。ただし、死んだ牛は彼のものとなる〉

【動物に関する定め】

37 〈人が牛あるいは羊を盗んで、これを屠るか、売るかしたならば、牛一頭の代償として牛五頭、羊一匹の代償として羊四匹で償わねばならない〉


第二十二章


【盗人に関する定め】

01 〈もしも、盗人が壁に穴をあけて入るところを見つけられ、打たれて死んだ場合、殺した人に血を流した罪はない。
02 しかし、太陽が昇っているならば、殺した人に血を流した責任がある。彼は、償わなければならない。もし、彼が何も持っていない場合は、その盗みの代償として身売りをしなくてはならない。
03 もしも、牛であれ、ろばであれ、羊であれ、盗まれたものが生きたままで、彼の手もとに見つかった場合は、二倍にして償わねばならない〉

【弁償に関する定め】

04 〈畑やぶどう畑で家畜に草を食べさせるとき、自分の家畜を放って、他人の畑で草を食べさせたならば、自分の畑とぶどう畑の最上の産物をもって償わねばならない。
05 火が出て、茨に燃え移り、麦束・立ち穂・畑のものを焼いた場合、火を出した者が償わねばならない。
06 銀や物品の保管を隣人に託し、それが隣人の家から盗まれた場合、その盗人が見つかれば、盗人は二倍にして償わねばならない。
07 もしも、盗人が見つからない場合には、その家の主人が神の元に進み出て、自分は決して隣人の持ち物に手をかけなかったと誓わねばならない。
08 牛・ろば・羊・衣服、その他すべての紛失物について言い争いが生じ、一方が「それは、自分の物です」と言うとき、両者の言い分は神の元に出され、神が有罪とした者が、隣人に二倍の償いをしなければならない。

09 隣人に、ろば・牛・羊・その他の家畜を預けたならば、それが死ぬか、傷つくか、奪われるかして、それを見た者がいない場合、
10 自分は決して隣人の持ち物に手をかけなかったと、両者の間で神に誓いがなされねばならない。そして、所有者はこれを受け入れ、預かった人は償う必要はない。
11 ただし、彼のところから確かに盗まれた場合には、所有者に償わねばならない。
12 野獣に噛み殺された場合は、証拠を持って行く。噛み殺されたものに対しては、償う必要はない。
13 隣人から家畜を借りて、それが傷つくか、死んだならば、所有者が一緒にいなかったときには、必ず償わねばならない。
14 所有者が一緒にいたならば、償う必要はない。ただし、それが賃借りしたものであれば、借り賃は支払わねばならない〉

【暴行に関する定め】

15 〈まだ婚約をしていない処女を誘惑し、彼女と寝たならば、必ず結納金を払って、自分の妻としなければならない。
16 もしも、女の父親が彼に与えることを強く拒む場合は、彼は処女のための結納金に相当するものを銀で支払わねばならない〉

【倫理・宗教に関する定め】

17 〈女呪術師を生かしておいてはならない。
18 獣と寝る者は、必ず死刑に処せられる。
19 神ひとりの他、他の神々に犠牲を捧げる者は、断ち滅ぼされる。
20 寄留者を虐待したり、圧迫したりしてはならない。あなたたちが、エジプトの寄留者であったからである。
:21 寡婦や孤児は、苦しめてはならない。

22 もしも、あなたたちが彼を苦しめ、彼が私に向かって叫ぶ場合は、私は必ずその叫びを聞く。
23 そして、私の怒りは燃え上がり、あなたたちを剣で殺す。あなたたちの妻は寡婦となり、子供らは孤児となる。
:24 もしも、あなたが私の民、あなたと共にいる貧しい者に金を貸す場合には、彼に対して高利貸しのようになってはならない。彼から利子を取ってはならない。
:25 隣人の上着を質にとる場合には、日没までに返さねばならない。
26 なぜならば、それは彼の唯一の衣服、肌を覆う着物だからである。彼は、何にくるまって寝ることができるだろうか。もしも、彼が私に向かって叫ぶならば、私は聞く。私は憐れみ深いからである。
27 神を罵(ののし)ってはならない。民の中の代表者を呪ってはならない〉

【初穂・初子に関する定め】

28 〈豊かな収穫と、ぶどう酒の奉献を遅らせてはならない。あなたは、初子を私に献げなければならない。
29 牛と羊についても、同じようにしなければならない。七日間、その母と共に置いて、八日目には私に献げなければならない。
30 あなたたちは、私に属する聖なる者とならなければならない。野外で噛み殺された肉を食べてはならない。それは、犬に投げ与えるべきである〉


第二十三章


【正義と敵の扱い】

01 〈あなたは、根拠のない噂(うわさ)を流してはならない。悪人に加担して、不法を引き起こす証人となってはならない。
02 あなたは、多数者に追随して、悪を行ってはならない。法廷の争いにおいて、多数者に追随して証言し、判決を曲げてはならない。
03 また、弱い人を訴訟において、曲げてかばってもいけない。
04 あなたの敵の牛・ろばなどが迷っているのに出会ったならば、必ず彼のもとに連れ戻さなければならない。
05 もしも、あなたを憎む者のろばが荷物の下に倒れ伏しているのを見た場合、それを見捨てておいてはならない。必ず彼と共に助け起こさねばならない。

06 あなたは訴訟において、乏しい人の判決を曲げてはならない。
07 偽りの発言を、避けねばならない。罪なき人、正しい人を殺してはならない。私は悪人を、正しいとすることはない。
::08 あなたは、賄賂を取ってはならない。賄賂は、目のあいている者の目を見えなくし、正しい人の言い分をゆがめるからである。
09 あなたは寄留者を虐げてはならない。あなたたちは、寄留者の気持を知っている。あなたたちは、エジプトで寄留者であったからである〉

【安息日】

10 〈六年間、自分の土地に種を蒔き、産物を取り入れなさい。
11 しかし、七年目には、それを休ませて、休閑地としなければならない。民の乏しい者が食べ、残りを野の獣に食べさせるがよい。ぶどう畑・オリーブ畑の場合も、同じようにしなければならない。
12 六日間、あなたの仕事を行い、七日目には仕事をやめねばならない。牛・ろばが休み、女奴隷の子や寄留者が元気を回復するためである。
13 私が命じたことをすべて、あなたたちは守らねばならない。他の神々の名を唱えてはならない。それを口にしてはならない〉

【祝日】

14 〈年に三度、私のために祭りをしなければならない。
;15 種なしパンの祭りを守らねばならない。七日間、私が命じたように、あなたはアビブの月の定められた時に種なしパンを食べなければならない。その時、エジプトを出たからである。何も持たずに、私の前に出てはならない。

16 畑に蒔いて得た産物の初物を収穫するとき刈り入れの祭りを行い、年の終わりに畑の産物を取るとき取り入れの祭りを行わねばならない。
17 年に三度、男子はすべて、神の前に出なければならない。
18 私に捧げる生け贄の血を、酵母を入れたパンと共に捧げてはならない。また、祭りの供え物の脂肪を、朝まで残しておいてはならない。
19 あなたは、土地の最上の初物を神の宮に携えて来なければならない。子山羊を、その母の乳で煮てはならない〉

【カナンに入る約束・既定】

20 〈私は、あなたの前に使いを遣わし、道で守らせて、私の備えた場所に導かせる。
21 あなたは、彼に心を留め、その声に聞き従いなさい。彼に、逆らってはならない。彼は、あなたたちの背きを赦さないだろう。彼は、私の名を帯びているから。
22 もしも、あなたが彼の声に聞き従い、私の語ることをすべて行うならば、私は、あなたの敵に敵対し、仇には仇を報いる。
23 私の使いが、あなたの前を行き、あなたをアモリ人・ヘト人・ペリジ人・カナン人・ヒビ人・エブス人のところに導くとき、私は彼らを絶やす。
24 あなたは、彼らの神々にひれ伏し仕えてはならない。その習わしを行ってはならない。彼らを滅ぼし、その石柱を打ち砕かねばならない。

25 あなたたちは、あなたたちの神、主に仕えねばならない。神は、あなたのパンと水を祝福するであろう。私は、あなたの中から病を取り除く。
26 あなたの国には、流産する女も不妊の女もいなくなる。私は、あなたの天寿を全うさせる。
27 私は、あなたに恐れの念を送り、あなたが入って行く土地の民をすべて混乱に陥れる。そして、敵をすべて敗走させる。
28 私はまた、あなたに神への恐れの念を送り、あなたの前からヒビ人・カナン人・ヘト人を追い出す。

29 しかし、一年間は彼らをあなたの前から追い出さない。さもないと、国土は荒れ果て、野獣の数が増し、あなたに向かって来るからだ。
30 私は、彼らをあなたの前から徐々に追い出すので、あなたは子を産み、国土を受け継ぐ。

31 私は葦の海からペリシテ人の海まで、また荒野から大河までをあなたの領地と定める。私は、その土地の住民をあなたたちの手に渡すから、彼らを自分の前から追い出しなさい。
32 あなたは、彼らや彼らの神々と契約を結んではならない。
33 彼らは、あなたの国には住むことができない。彼らが、あなたに神に対する罪を犯させないためである。さもないと、あなたは彼らの神々を拝み、それがあなたにとって罠となるからである〉


第二十四章


【契約】

01 神は、モーセに言った〈あなたは、アロン・ナダブ・アビフ、およびイスラエルの七十人の長老と一緒に神のもとに登りなさい。あなたたちは遠く離れて、ひれ伏さなければならない。
02 しかし、モーセだけは神に近づくことができる。その他の者は、近づいてはならない。民は、モーセと共に登ることはできない〉

03 モーセは戻って、神のすべての言葉とすべての法を民に読み聞かせると、民は声を合わせて「私たちは、神が語った言葉をすべて行います」と言った。
04 モーセは、神の言葉をすべて書き記し、朝早く起きた。そして、山のふもとに祭壇を築き、十二の石の柱をイスラエルの十二部族のために建てた。
05 彼は、イスラエル人の若者を遣わし、全焼の供え物を捧げ、さらに和解の供え物として雄牛を捧げた。
06 モーセは、血の半分を取って鉢に入れ、残りの半分を祭壇に振りかけた。
07 そして、契約の書を取り、民に読んで聞かせた。彼らは「私たちは、神が語られたことをすべて行い、守ります」と言った。

08 モーセは血を取り、民に振りかけて言った「見よ、これは神がこれらの言葉に基づいて、あなたたちと結んだ契約の血である」
09 モーセは、アロン・ナダブ・アビフおよびイスラエルの七十人の長老と一緒に登って行った。
10 彼らがイスラエルの神を見ると、その足の下にはサファイアの敷石のような物があり、それは大空のように澄んでいた。
11 神は、イスラエルの民の代表者たちに向かって手を伸ばさなかったので、彼らは神を見て、食べたり、飲んだりした。

【山上でのモーセ】

12 神が〈私のもとに登りなさい。山に来て、そこにいなさい。私は、彼らを教えるために、教えと戒めを記した石の板をあなたに授ける〉とモーセに言った。
13 モーセは、従者ヨシュアと共に立ち上がった。モーセは、神の山へ登って行った。
14 そのとき、長老たちに言った「私たちが帰って来るまで、ここにいなさい。アロンとフルとがここにいる。何か訴えのある者は、彼らのところに行きなさい」

15 モーセが山に登って行くと、雲が山を覆った。
16 神の栄光がシナイ山の上にあり、雲は六日間、山を覆っていた。七日目に、神は雲の中からモーセに呼びかけた。
17 その神の栄光は、イスラエル人の目には山頂で燃える火のように見えた。
18 モーセは雲の中に入って行き、山に登った。モーセは、四十日・四十夜 山にいた。


第二十五章


【民の奉納品】

01 神は、モーセに言った。
02 〈イスラエル人に命じて、私のもとに奉納品を持って来させなさい。あなたたちは、彼らが心から捧げる私への奉納品を受け取りなさい。
03 彼らから受け取るべき奉納品は、金・銀・青銅・
04 青色の毛糸・紫色の毛糸・緋色の毛糸・亜麻糸・山羊の毛・
05 赤く染めた雄羊の毛皮・じゅごんの皮・アカシヤ材・
06 灯火のための油・聖別の油、香草の香とに用いる種々の香料、
07 エフォドや胸当てにはめ込むラピス=ラズリやその他の宝石類である〉

【住まいと櫃(ひつ)】

08 〈聖なる所を彼らに造らせなさい。私は、その中に住むであろう。
09 私が示す作り方に正しく従って、住まいとすべての祭具を作りなさい。
10 まず、アカシヤ材で箱を作りなさい。その寸法は、縦二・五クビト、横一・五クビト、高さ一・五クビト。
11 純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作る。
12 四つの金環を鋳造し、それを箱の四隅の脚に、すなわち箱の両側に二つずつ付ける。

13 アカシヤ材で棒を作り、それを金で覆う。
14 箱を担ぐために、箱の両側に付けた環に通す。
15 棒はその環に通したまま、抜かずに置く。
16 この箱に、私が与える掟の板を納めなさい。

17 次に、贖いの座を純金で作りなさい。寸法は、縦二・五クビト、横一・五クビト。
18 打ち出し作りで一対のケルビムを作り、贖いの座の両端、
19 つまり、一つを一方の端に、もう一つを他の端に取り付けなさい。一対のケルビムを贖いの座の一部として、その両端に作る。
20 一対のケルビムは、顔を贖いの座に向けて向かい合い、翼を広げてそれを覆う。
21 この贖いの座を箱の上に置いて蓋とし、その箱に私が与える掟の板を納める。

22 私は掟の箱の上の一対のケルビムの間、すなわち贖いの座の上からあなたに臨み、私がイスラエル人に命じることをことごとくあなたに語る〉

【供えの台】

23 〈アカシヤ材で机を作りなさい。寸法は、縦二クビト、横一クビト、高さ一・五クビト。
24 純金で覆い、金の飾り縁を作る。
25 一トファの幅の枠で四本の脚を補強し、枠にも金の飾り縁を作る。
26 四つの金環を作り、それぞれの脚の外側に付ける。
27 それは、枠の高さに付けて、机を担ぐ棒を通す環とする。
28 アカシヤ材で棒を作って金で覆い、机を担ぐ棒とする。

29 皿・柄杓・小瓶・水差しを作り、ぶどう酒の供え物に用いる。これらは、純金で作る。
30 この机に、供えのパンを絶えないようにして、私の前に供えなさい〉

【燭台】

31 〈純金で燭台を作りなさい。燭台は打ち出し作りとし、台座と支柱、萼(がく)と節と花弁は、一体でなければならない。
32 六本の支柱が左右に出るように作って、一方に三本、他方に三本付ける。
33 一本の支柱には、三つのアーモンドの花の形をした萼と節と花弁を付ける。もう一本の支柱にも、三つのアーモンドの花の形をした萼と節と花弁を付ける。燭台から分かれて出ている六本の支柱も同じ。
34 燭台の主柱には、四つのアーモンドの花の形をした萼と節と花弁を付ける。
35 節は、支柱が対になって出ている所に一つ。その次に支柱が対になって出ている所に一つ。その次に一つと、燭台の主柱から出ている六本の支柱の付け根の所に作る。
36 これらの節と支柱は、主柱と一体でなければならず、燭台全体は一枚の純金の打ち出し作りとする。

37 さらに、七個の灯火皿を作り、上に載せて光が前方に届くようにする。
38 また、芯切り鋏と火皿を純金で作る。
39 燭台とすべての祭具とを、重さ一タレントの純金で作る。
40 あなたは、この山で示された作り方によって、注意して作りなさい〉


第二十六章


【住まいの製作】

01 〈住まいを覆う十枚の幕を織りなさい。亜麻のより糸、青・紫・緋色の糸を使って意匠家の描いたケルビムの模様を織り上げなさい。
02 一枚の幕は、長さ二十八クビト、幅四クビトで、すべて同じ寸法。
03 五枚の幕を綴り合わせ、他の五枚も同じようにする。
04 青い糸の輪を作って、一方の綴り合わせたものの端に当たる幕の縁と、もう一方の綴り合わせたものの最後の幕の縁とに並べる。
05 一方の幕について五十の輪、他方の綴り合わせたものの幕にも五十の輪を作り、互いに合わせて付ける。
06 そこに、五十の金の留め金を作り、両方の幕をそれらで留め合わせる。こうして、住まいが一つできる。

07 山羊の毛を使って十一枚の幕を作って、住まいを覆う天幕にしなさい。
08 一枚の幕は長さ三十クビト、幅四クビトで、十一枚の幕はすべて同じ寸法。
09 そのうちの五枚を綴り合わせたものと、残りの六枚を綴り合わせたものを作る。六枚目の幕は、天幕の前面で二重にする。
10 五十の輪を作り、一方の綴り合わせたものの端に当たる幕の縁に付ける。もう一方の綴り合わせたものの端に当たる幕の縁にも五十の輪を付ける。
11 五十の青銅の留め金を作り、それぞれの輪にはめ、天幕を留め合わせて一つに仕上げる。
12 天幕の幕の長さの余る分、すなわち、余分の半幕分は住まいの後ろに垂らす。

13 天幕の幕の長さは一方に一クビト、他方に一クビト余るが、それは南北両側面を覆うために垂らす。
14 最後に、赤く染めた雄羊の毛皮で天幕の覆いを作り、更にその上をじゅごんの皮で覆う。
15 住まいの壁板をアカシヤ材で作って立てなさい。
16 一枚の壁板は、縦十クビト、横一・五クビト。
17 それぞれの壁板に二つの柄を作って、隣りの壁板とつなぎ合わせる。住まいの壁板全部に同じものを作る。
18 住まいの壁板は、南側に二十枚並べる。

19 二十枚の壁板の下にはめる銀の台座を四十個作る。すなわち、一枚の板の下に作る二つの臍(ほぞ)に合うように二個の台座を、それぞれの壁板の下に置く。
20 住まいの他の側面、すなわち北側にも二十枚の壁板を並べる。
21 四十個の銀の台座を作り、壁板一枚につき二個をそれぞれの壁板の下に置く。

22 住まいの後ろ、すなわち西側には六枚の壁板を並べる。
23 さらに、二枚の板を作って両方の隅とする。
24 壁板は、下部では二つずつに分かれるが、上部は一つに連ねられている。両方の隅は同じように作る。
25 西側の壁板は八枚、銀の台座は壁板一枚につき二個、次の一枚にも二個と、次々計十六個となる。

26 アカシヤ材で、横木を作りなさい。住まいの一方の側の壁板に五本、
27 もう一方の側の壁板に五本、また西側、つまり後ろ側の壁板に五本用いる。
28 壁板の中央の高さに位置する横木は、壁板の端から端まで渡す。
29 金箔で壁板を覆い、金環に横木を通す。その横木も金箔で覆う。
30 このようにして、山で示した方式によって住まいを造りなさい〉

【垂れ幕の製作】

31 〈青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸を使って、意匠家の描いたケルビムの模様の垂れ幕を作りなさい。
32 金箔で覆ったアカシヤ材の四本の柱の留め金に掛けなさい。留め金は金、四本の柱の台座は銀。
33 垂れ幕は留め金の下に掛け、その垂れ幕の奥に掟の箱を置く。垂れ幕は、聖所と至聖所とを仕切るのに用いる。
34 至聖所の掟の箱の上に、贖いの座を置く。
35 垂れ幕の手前には机を置き、向かい合わせに燭台を置く。燭台は住まいの南側に、机は北側に。

36 天幕の入り口に掛ける幕も作りなさい。青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸を使ってつづれ織を作る。
37 この幕を掛けるためにアカシヤ材で五本の柱を作り、金箔で覆って留め金は金で作る。また柱のために、五個の青銅の台座を鋳造する〉


第二十七章


【供えの祭壇】

01 〈アカシヤ材で祭壇を造りなさい。縦五クビト、横五クビトの正方形、高さは三クビト。
02 祭壇の四隅に、角(つの)が祭壇から生えているような格好にして、全体を青銅で覆う。
03 灰を取る壷・十能(じゅうのう)・鉢・肉刺し・火皿などの祭具はすべて青銅。
04 祭壇下部には、青銅の網目格子を付ける。その網の四隅に、青銅の環をそれぞれ付ける。

05 網目格子は、祭壇の半分くらいの高さにある張り出し棚に付ける。
06 この祭壇を担ぐために、アカシヤ材の棒を作り、それも青銅で覆う。
07 棒を環に差し込み、祭壇を運ぶときには両側に棒があるようにする。
08 祭壇自体は板で造り、中を空洞にする。山上で示したとおりに造りなさい〉


【住まいの囲い】

09 〈住まいを囲む庭を造りなさい。庭の南側に面して、亜麻のより糸で織った長さ百クビトの囲い幕を張る。
10 二十本の柱と二十個の台座とを青銅で作り、柱の留め金と桁は銀で作る。
11 北側には、長さ百クビトの囲い幕を張り、二十本の柱と二十個の台座とを青銅で、柱の留め金と桁は銀。
12 庭の西側には幅五十クビトの囲い幕を張り、十本の柱と十個の台座。
13 庭の東側の幅も、五十クビトとする。
14 そこに、十五クビトの囲い幕を三本の柱と三個の台座によって、
15 同じく、十五クビトの囲い幕を三本の柱と三個の台座によって左右に張る。

16 庭の入り口には、青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸で織った二十クビトの幕を張り、四本の柱と四個の台座を作る。
17 庭を囲むすべての柱は、銀の桁で繋(つな)ぐ。柱の留め金は銀、台座は青銅。
18 庭の奥行きは百クビト、間口は五十クビト。囲い幕は高さ五クビトで、亜麻のより糸で織る。台座は青銅。
19 住まいで祭儀に用いる祭具、住まいや庭の杭などすべては青銅〉

【純粋な油】

20 イスラエル人に命じ、オリーブから取った純粋の油を灯火用に持って来させ、常夜灯にしなさい。
21 常夜灯は、出会いの住まいにある掟の箱を仕切る垂れ幕の手前に置いて、アロンとその子らが、神の前で夕暮れから夜明けまで灯す。それはイスラエルの人々が、代々守るべき不変の定めである〉


第二十八章


【祭司の服】

01 〈祭司として仕えさせるために、イスラエル人の中から兄弟アロンとその子ら、ナダブ・アビフ・エルアザル・イタマルをアロンと共にあなたの近くに置きなさい。
02 あなたの兄弟アロンに、威厳と美しさがある聖なる祭服を作らねばならない。
03 私が知恵の霊を与えたすべての者たちに説明をして、祭司として聖別されたアロンのために祭服を作らせなさい。
04 作るべき衣類は、胸当て・エフォド・上着・格子縞の長い服・ターバン・飾り帯。あなたの兄弟であるアロンと、その子らが祭司として私に仕えるときの聖なる祭服である。
05 そのために、彼らは金・青・紫・緋色の毛糸、亜麻布を用いる〉

【エフォド】

06 〈金・青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸を使って、意匠家の描いた模様のエフォドを織る。
07 その両端に、二本の肩紐を付ける。
08 付け帯はエフォドと同じように、金・青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸を使って作る。
09 二個のラピス=ラズリを取り、その上にイスラエルの子らの名を彫る。
10 六つの名を第一の石に、残る六つの名を第二の石に、生まれた順に彫る。

11 印章に石の細工人が彫るように、イスラエルの子らの名をその二個の石に彫り、その石を金で縁取る。
12 この二個の石をエフォドの両肩紐に付け、イスラエルの子らのための記念の石とする。アロンは彼らの名を記念として両肩に付け、神の前に立つ。
13 金の縁取りをして、
14 二本の純金の鎖を組み紐のように作る。それを、金で縁取りをしたものに付ける〉

【胸当て】

15 〈金・青・紫・緋色の毛糸、亜麻のより糸を使って、エフォドと同じように意匠家の描いた模様の裁きの胸当てを織りなさい。
16 縦横それぞれ手幅の真四角なものとし、二重にする。
17 それに、宝石を四列に並べて付ける。第一列は、ルビー・トパーズ・エメラルド。
18 第二列は、ざくろ石・サファイア・ジャスパー。
19 第三列、オパール・めのう・紫水晶。
20 第四列、藍玉・ラピス=ラズリ・碧玉。これらの並べて、金で縁取りをする。

21 宝石は、イスラエルの子らの名に基づいて十二個ある。それらの宝石には、十二部族に従ってそれぞれの名が印章のように彫ってある。
22 次に、組み紐状にした純金の鎖を作り、胸当てに付ける。
23 さらに、金環を二つ作って、胸当ての上の端にも付ける。
24 そして、二本の金の鎖を胸当ての端の二個の金環にそれぞれ通す。
25 二本の鎖の両端は、金の縁取り細工に結び付け、エフォドの肩紐の外側に取り付ける。

26 別の二個の金環を作って、おのおのを胸当ての下の端、つまりエフォドと接するあたりの裏側に付ける。
27 さらに、別の二個の金環を作り、それを二本のエフォドの肩紐の下、すなわちエフォドの付け帯のすぐ上、そのつなぎ目のあたりの外側に付ける。
28 胸当ては、その環とエフォドの環を青い紐で結んで、エフォドの付け帯の上に来るようにして、胸当てがエフォドから外れないようにする。
29 アロンが聖所に入るときには、裁きの胸当てにあるイスラエルの子らの名を胸に帯び、常に神の前に記念とする。
30 裁きの胸当てには、ウリムとトンミムを入れる。アロンが神の前に出るときに、その胸にある。神の前でアロンは、イスラエル人の裁きを常に胸に帯びる〉

【上着】

31 〈エフォドと共に着る上着は、青一色の布で作りなさい。
32 上着の真ん中には、頭を通す穴を開けて、その縁(へり)に鎧の(よろい)のような縁取りをして破れないようにする。
33 上着の裾回りには、青・紫・緋色の毛糸で作ったざくろの飾りを付け、その間には金の鈴を付ける。
34 つまり、上着の裾回りに、金の鈴とざくろの飾りが交互に付く。
:35 アロンは聖所で務めをするとき、この上着を着ける。それは、彼が神の前に出るときにも、立ち去るときにも、鈴の音が鳴るようにして、死を招かないためである〉

【純金の薄板】

36 〈純金の花模様の額当てを作り、その上に印章に彫るように、神の聖なる者と彫りなさい。
37 この額当ての両端に、青い紐を付けてターバンに結び、それがターバンの正面にあるようにする。
38 これがアロンの額にあれば、アロンはイスラエル人が捧げる供え物である聖なる供え物に関する罪を負うことになる。また、アロンがそれを常に額に帯びていれば、彼らは神の前に受け入れられる〉

【その他の服装】

39 〈亜麻の長い服を格子縞に織ってターバンを作り、またつづれ織の飾り帯を作りなさい。
40 アロンの子らのためにも長い服を作り、飾り帯を作り、威厳と美しさを添えるターバンを作りなさい。
41 その衣服を兄弟アロンとその子らに着せ、彼らに油を注いで祭司の職に就かせ、彼らを聖別して私に仕えさせなさい。
;42 彼らに亜麻布のズボンを作り、腰から腿までの肌を覆い隠すようにしなさい。
43 アロンとその子らがそれを身に着けていれば、出会いの住まいに入ったとき、また聖所の務めで祭壇に近づいたときに、罪を負って死なない。これは、彼とその後の子らにとって不変の定めである〉


第二十九章


【供え物の指定】

01 〈私に仕える祭司として、彼らを聖別するためにすべき儀式は、次のとおり。若い雄牛一頭と、傷のない雄の小羊二匹を用意する。
02 種なしパン、酵母を使わずにオリーブ油を混ぜて焼いた小麦粉の輪形のパン、オリーブ油を塗った酵母を入れない薄焼きパンなどを上等の小麦粉で作る。
03 それをみな一つの篭に入れ、一頭の雄牛、二匹の雄羊と共に捧げる〉

【祭司職の服装と聖別】

04 〈次に、アロンとその子らを出会いの住まいの入り口のところで、水で清める。
05 式服一そろいから、アロンは長い服・上着・エフォド・胸当てを着て、エフォドの付け帯で締める。
06 頭にはターバンを巻き、その上に聖別のしるしの額当てを付ける。
07 聖別の油を彼の頭に注ぎかけて、聖別する。

08 同様に、アロンの子らを前に進ませ、彼らに長い服を着せる。
09 飾り帯を締め、ターバンを巻く。彼ら祭司職はこうして、不変の定めにより、彼らのものとなる。次に、アロンとその子らの任職式を行う〉

【祭司職の任職式】

10 〈まず、雄牛を出会いの住まいの前に引いて来る。アロンとその子らは、手を雄牛の頭に置く。
11 それを神の前、出会いの住まいの入り口で屠る。
12 その雄牛の血を器に取り、一部を指で祭壇の四隅の角に塗る。残りの血はすべて祭壇の回りに流す。
13 次に、内臓を覆っている脂肪と、肝臓の尾状葉と二つの腎臓とから付着する脂肪を取って、祭壇で燃やして煙にする。
14 雄牛の肉と皮と胃の中身は、宿営の外で焼き捨てる。これが、償いの供え物である。

15 また、雄羊一匹を取り、アロンとその子らが手を羊の頭に置く。
16 それを屠り、血を取って祭壇の四つの側面に注ぐ。
17 雄羊を各部に分割し、内臓と四肢を水で洗い、分割した各部と頭と共に、
18 その雄羊すべてを祭壇で燃やして煙にする。これは神に捧げる全焼の供え物であり、神に燃やして捧げる宥めの香りである。

19 次いで、もう一匹の雄羊を取り、アロンとその子らが手を羊の頭に置く。
20 それを屠り、血を取ってその一部をアロンとその子らの右の耳たぶと、右手の親指と右足の親指とに付け、血を祭壇の四つの側面に注ぐ。
21 祭壇の上の血と聖別の油の一部とを取って、アロンとその衣服、アロンの子らとその衣服に振りまく。彼自身も衣服も、また彼の子ら自身も衣服も、聖なるものとするためである。
22 次に、雄羊から脂肪と脂尾と内臓を覆う脂肪、肝臓の尾状葉と二つの腎臓とそれに付着する脂肪と右後ろ肢を切り取る。これは、任職の雄羊だからである〉

【任職式の取り分】

23 〈パン一個、オリーブ油を混ぜて焼いた輪形パン一個、薄焼きパン一個を、神の前に供えた種なしパンの篭から取る。
24 これらをすべてにアロンとその子らの手に載せ、奉納物として神の前に捧げる。
25 次いで、彼らのからそれらを受け取って、祭壇の上の全焼の供え物の横で煙にして、神を宥める香りとする。これが、全焼の供え物である。
26 あなたは、アロンの任職の雄羊の胸の肉を取り、奉納物として神の前に捧げる。それは、あなたが受け取る分である。

27 あなたは、アロンとその子らの任職のための雄羊の供え物から、奉納物の胸の肉と礼物の右後ろ肢とを聖別しなさい。
28 それは、不変の定めにより、イスラエル人から捧げられた物のうちアロンとその子らの分となる。なぜならば、それは礼物だから。それはイスラエル人が神に対する奉納品として、和解の供え物のうちから捧げる物である〉

【祭服と食べ物】

29 〈アロンの祭服は、後を継ぐ子らが聖別の油を注がれ、祭司職に任命されたときに、子らのものになる。
30 アロンの子らのうちで、後を継いで祭司となり、出会いの住まいの聖所に仕える者が、その祭服を七日間着用する。
31 あなたは、任職の雄羊を取り、その肉を聖なる場所で煮て料理する。
32 アロンとその子らは、料理した肉と篭に入れてあるパンを出会いの住まいの入り口で食べなさい。

33 彼らは、自分たちの任職と聖別の儀式に、罪の贖いとして用いられた供え物を食べる。それは、聖なるものであるから、一般の人は食べてはいけない。
34 任職の供え物の肉やパンが翌朝まで残ったならば、焼き捨てる。それは聖なるものであるから、誰も食べてはいけない。
35 あなたは、私が命じたとおり、アロンとその子らのために七日間任職式を行いなさい〉

【祭壇の聖別】

36 〈罪の贖いのために、日ごとに償いの供え物の雄牛を捧げ、祭壇のために罪の贖いの儀式を行って清め、油を注いで聖別しなさい。
37 七日間、祭壇のために罪の贖いの儀式を行って聖別をすれば、祭壇は神聖なものとなる。祭壇に触れるものはすべて、聖なるものとなる〉

【日々の燔祭】

38 〈祭壇に捧げるべき物は次のとおり。毎日絶やすことなく一歳の雄羊二匹。
39 朝に一匹、夕暮れに他の一匹を捧げる。
40 朝に捧げる雄羊には、四分の一ヒンのオリーブを砕いた油を混ぜた十分の一エファの小麦粉と、四分の一ヒンのぶどう酒の供え物とを添える。
41 夕暮れにも、雄羊に穀物の供え物とぶどう酒の供え物とを加え、燃やして神に捧げる宥めの香りとする。

42 これは代々にわたって、出会いの住まいの入り口で神の前に捧げる日々の全焼の供え物である。私はその場所で、あなたたちと会い、あなたに語りかける。
43 私は、そこでイスラエル人に会う。そこは、私の栄光によって聖別される。
44 私は、出会いの住まいと祭壇を聖別し、またアロンとその子らを私に仕える祭司として聖別する。
45 また、私はイスラエル人の中に宿り、彼らの神となる。
46 彼らは、私が彼らの神、主であることを、彼らの中に宿るために彼らをエジプト国から導き出したものであることを知る。私は彼らの神、主である〉


第三十章


【香の祭壇】

01 〈アカシヤ材で、香をたく祭壇を作りなさい。
02 寸法は縦一クビト、横一クビトの正方形。高さは二クビト。四隅は、角が祭壇から生えているような形にする。
03 祭壇の上面と四つの側面と角とを純金で覆う。側面には、金の飾り縁を作る。
04 二個の金環を作り、それを金の飾り縁の下の両側に相対するように取り付け、担ぎ棒を差し入れる環とする。
05 棒もアカシヤ材で作り、金で覆う。

06 それを、掟の箱を仕切る垂れ幕の手前に置く。この掟の箱の上の贖いの座で、私はあなたと会う。
07 アロンは、その祭壇で香草の香をたく。すなわち、朝ごとに灯火を整えるとき、
08 また夕暮れに灯火を灯すときに香をたき、代々にわたって神の前に香りの供え物を絶やさないようにする。
09 あなたたちは、祭壇の上で規定に反した香や、規定外の全焼の供え物、穀物の供え物、ぶどう酒の供え物などを捧げてはならない。

10 アロンは年に一度、この香をたく祭壇の四隅の角に償いの供え物の血を塗って、罪の贖いの儀式を行う。代々にわたって、年一度、その所で罪の贖いの儀式を行う。この祭壇は、神にとって神聖なものである〉

【献納金】

11 神は、続けてモーセに言った。
12 〈あなたがイスラエル人の人口を調査して、彼らを登録させるとき、登録に際して各自は命の代償を神に支払わねばならない。登録をすることによって、彼らに災いがふりかからないためである。
:13 登録を終えた者はすべて、聖所シェケルで銀半シェケルを神への奉納品として支払う。一シェケルは、二十ゲラに当たる。
14 登録を終えた二十歳以上の男子は、神への奉納品として、これを支払わなければならない。

15 あなたたちの命を贖うために、神への奉納品として支払う銀は半シェケルである。豊かな者がそれ以上支払うことも、貧しい者がそれ以下支払うことも禁じる。
16 あなたが、イスラエル人から集めた命の代償金は、出会いの住まいのために使う。それはによって、イスラエル人が神の前で覚えられて、あなたたちの命を贖う〉

【青銅の洗盤】

17 神は、モーセに言った。
18 〈洗い清めるために、青銅の洗盤とその台を作り、出会いの住まいと祭壇の間に置いて、水を入れなさい。
19 アロンとその子らは、その水で手足を洗い清めなければならない。
20 出会いの住まいに入る際には、水で洗い清める必要がある。死を招かないようにするためである。また、神に全焼の供え物を煙にする奉仕として祭壇に近づくときにも、
21 手足を洗い清める。やはり、死を招かないためである。これは彼らにとっても、子孫にとっても、代々にわたって守るべき不変の定めである〉

【聖別の油】

22 神は、モーセに言った。
23 〈上質の香料を取りなさい。すなわち、ミルラの樹脂五百シェケル、シナモンをその半量の二百五十シェケル、匂い菖蒲二百五十シェケル、
24 桂皮を聖所シェケルで五百シェケル、オリーブ油一ヒン。
25 あなたは、これらを材料にして聖なる聖別の油を作りなさい。すなわち、香料師の混ぜ合わせ方に従って、聖なる聖別の油を作る。

26 それを以下のものに注ぐ。出会いの住まい・掟の箱・
27 机とその祭具・燭台とその祭具・香をたく祭壇・
28 全焼の供え物の祭壇とその祭具・洗盤・その台。
29 あなたがこれらを聖別すると、神聖なものとなる。それに触れたものは、みな聖なるものとなる。

30 アロンとその子らにその油を注いで、彼らを聖別し、祭司として私に仕えさせなさい。
31 イスラエル人に告げて、言いなさい。聖なる聖別の油は、代々にわたって私のために使うべきものである。
32 一般の人の体に注いだり、同じ割合のものを作ってはならない。それは聖なるものであるから、聖なるものとして扱いなさい。
33 類似したものを混ぜ合わせて、一般の人に塗る者は、その民から断たれる〉

【聖なる香料】

34 神は、モーセに言った。〈以下の香料、すなわち、ナタフ香・シェヘレト香・ヘルベナ香と純粋な乳香をそれぞれ同量取りなさい。
35 そして、香を作りなさい。すなわち、香料師の混ぜ合わせ方に従ってよく混ぜ合わせ、純粋な聖なる香を作る。
36 その一部を細かく砕いて粉末にし、粉末の一部を出会いの住まいの中の掟の箱の前に置く。私は、そこであなたに会う。これは、あなたたちにとって神聖である。
37 同じ割合で作った香を、個人的に使ってはならない。それは、神に対して聖なるものとしなければならない。
38 類似したものを作って、香りを楽しもうとする者は、すべてその民から断たれる〉


第三十一章


【職人】

01 神は、モーセに言った。
02 〈私は、ユダ族のフルの孫、ウリの子ベザレルを指名した。
03 彼に神の霊を満たし、どのような工芸に対しても、技術と知恵と知識をもたせた。
04 金・銀・青銅による細工を仕上げて、
05 宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての工作をさせるためだ。

06 私は、ダン族のアヒサマクの子オホリアブを、彼の助手にする。心に知恵あるすべての者に知恵を授け、あなたに命じたものをすべて作らせる。
07 出会いの住まい・掟の箱・その箱の上の贖いの座・住まいのすべての祭具・
08 机とその祭具・純金の燭台・その祭具・香をたく祭壇・
09 全焼の供え物の祭壇・その祭具・洗盤・その台・
10 祭司アロンのために織った衣服・祭服・アロンの子らが祭司として仕えるときの衣服・
11 聖別の油・聖所でたく香である。彼らは、私が命じたとおりに作らねばならない〉

【安息日】

12 神は、モーセに言った。
13 〈あなたは、イスラエル人に告げなさい。あなたたちは、私の安息日を守らねばならない。それは、代々にわたって私とあなたたちとの間のしるしであり、私があなたたちを聖別する神であることを知るためである。
14 安息日を守りなさい。それは、あなたたちにとって聖なる日である。それを汚す者は必ず死刑に処せられる。この日に仕事をする者は、民の中から断たれる。

15 六日間は、仕事をすることができる。七日目は、神の聖なる厳かな安息日である。安息日に仕事をする者は、必ず死刑にされる。
16 イスラエル人は安息日を守り、それを代々にわたって永遠の契約としなさい。
?17 これは、私とイスラエル人との間のしるしである。神は六日間に天地を創造し、七日目に業をやめて休んだからである。
18 神は、このように長々と、シナイ山でモーセと語った。そして、語り終えたときに、神の指で記した二枚の掟の石板をモーセに授けた〉


第三十二章


【金の子牛】

01 モーセが山からなかなか下りて来ないので、民がアロンのもとに集まって「さあ、我々に先立って進む神を造ってください。エジプト国から我々を導き上った人、あのモーセがどうなってしまったのか、分からないからです」と言った。
02 アロンは、彼らに言った「あなたたちの妻・息子・娘らが着けている金の耳輪を外し、私のところに持って来なさい」
03 民は全員、着けていた金の耳輪を外し、アロンのところに持って来た。

04 それを受け取ると、のみで型を作り、若い雄牛の鋳像を造った。すると、彼らは「イスラエルよ、これこそあなたをエジプト国から導き上った神々だ!」と言った。
05 そこで、アロンは祭壇を築いて「明日、神の祭りを行う」と宣言をした。

06 彼らは、次の朝早く、全焼の供え物、和解の供え物を供えた。民は座って飲み食いし、立って戯れた。
07 神は、モーセに言った〈直ちに下山せよ。エジプト国から導き出した民は堕落した。
08 早くも私が命じた道から反(そ)れ、雄牛の鋳像を造って、ひれ伏して生け贄を捧げ《イスラエルよ、これこそあなたをエジプト国から導き出した神々だ》と叫んでいる〉

09 神はさらに、モーセに言った〈私はこの民を見てきたが、実に頑(かたく)なな民である。
10 今は、私を引き止めるな。私の怒りは、彼らに対して燃え上がっている。私は、彼らを滅ぼし尽くし、あなたを大いなる民とする〉

【モーセの祈願・説得】

11 モーセは、主なる神を宥(なだ)めて言った「神よ、どうしてご自分の民に向かって、怒りを燃やされるのですか。あなたが大いなる力と強い手をもって、エジプト国から導き出された民ではありませんか。
12 どうして、エジプト人に『あの神は、悪意をもって彼らを山で殺し、地上から滅ぼし尽くすために導き出した』と言わせてよいでしょうか。どうか、燃える怒りを沈め、ご自分の民にくだす災いを思い直してください。
13 どうか、あなたの僕であるアブラハム・イサク・イスラエルを思い出してください。あなたは、彼らに誓って『私は、あなたたちの子孫を天の星のように増やし、私が与えると約束したこの土地をことごとくあなたたちの子孫に授け、永久にそれを継がせる』と言ったではありませんか?」
14 神は、ご自身が民に下すと告げた災いを思い直した。

【律法の石板を砕く】

15 モーセが身を翻して山を下るときには、二枚の掟の板を持っていた。その板には、表にも裏にも文字が書かれていた。
16 その板は神ご自身が作り、筆跡も神ご自身のものであり、それが板に彫り刻まれていた。

17 同行したヨシュアは、民のどよめく声を聞いて、モーセに「宿営で、戦いの声がします」と言った。
18 モーセは、言った「これは、勝利の叫び声でも、敗戦の叫び声でもない。私が聞くのは、歌っている声だ!」

19 宿営に近づくと、若い雄牛の像と踊りが見えた。モーセは激しく怒って、手に持っていた板を投げつけ、山の麓で砕いた。
20 彼らが造った若い雄牛の像を取って、それを火で焼き、粉々に砕いて水の上にまき散らし、その水をイスラエル人に飲ませた。

21 モーセは、アロンに「この民がいったい何をしたというので、こんな大きな罪を犯させたのか?」と言った。
22 アロンは、答えた「私の神よ、どうか怒らないでください。この民が悪いことは、あなたもご存じです。
23 彼らは、私に『我々に先立って進む神々を造ってください。我々をエジプト国から導き出した人、あのモーセがどうなってしまったのか分からないからです』と、言いました。
24 そこで、私は彼らに『誰でも金を持っている者は、それを外しなさい』と言うと、彼らは私に差し出しました。私がそれを火に投げ入れると、この若い雄牛ができたのです」

【レビ人の熱意】

25 モーセは、民が勝手な振る舞いをしたこと、アロンが彼らに勝手な振る舞いをさせたこと、そして敵対する者の嘲りの種となったことを知った。
26 そこで、宿営の入り口に立ち「誰でも神につく者は、私のもとに集まれ」と言った。レビの子らは、全員彼のもとに集まった。
::27 レビの子らに「イスラエルの神、主が言っている『おのおの、剣を帯びよ。そして、宿営を入り口から入り口まで行き巡り、おのおの自分の兄弟・友・隣人を殺せ』」と命じた。
28 レビの子らは、モーセの命じたとおりにした。その日、民のうちで倒れた者はおよそ三千人であった。
29 モーセは、言った「おのおの自分の子や兄弟に逆らったから、あなたたちは神の祭司職に任命された。あなたたちは今日、祝福を受ける」

【モーセの祈願】

30 翌日になって、モーセは民に言った「お前たちは、大きな罪を犯した。今、私は神のもとに行く。もしかしたら、お前たちの罪のために贖いができるかもしれない」
31 モーセは、神のもとに戻って言った「この民は大きな罪を犯し、金の牛を造りました。
32 もしも、あなたが彼らの罪をお赦しくださるのであれば、どうぞお許しください。しかし、それがかなわなければ、どうかこの私をあなたが書き記された書の中から消し去ってください」
33 神は、モーセに言った〈私に罪を犯した者は誰でも、私の書から消し去る。
34 しかし今は、私があなたに告げた場所に民を導いて行きなさい。私の使いが、あなたに先立って行く。しかし、私の裁きの日には、彼らをその罪のゆえに罰する〉

35 神は、民がアロンに若い雄牛を造らせたので、民を打たれたのである。


第三十三章


【民の心痛】

01 神は、モーセに言った〈さあ、あなたも、あなたがエジプト国から導き出した民も、ここを発って、私がアブラハム・イサク・ヤコブに誓って《あなたの子孫にそれを与える》と言った土地に行きなさい。
02 私は、使いをあなたに先立って遣わし、カナン人・アモリ人・ヘト人・ペリジ人・ヒビ人・エブス人を追い出す。
03 あなたは、乳と蜜の流れる土地に行きなさい。私は、あなたと一緒には行かない。途中で、あなたを滅ぼしてしまわないためである。あなたは、頑なな民である」

04 民は、この悪い知らせを聞いて嘆き悲しみ、飾りを身に着ける者は一人もいなかった。
05 神は、モーセに〈イスラエル人に、告げなさい《あなたたちは、頑なな民である。私がわずかな時間でも、あなたたちの間にいるならば、あなたたちを滅ぼしてしまうかもしれない。直ちに、身に着けている飾りを取り去りなさい。そうすれば、私はあなたたちをどのようにするかを考えよう》〉と言った。
06 イスラエル人は、ホレブ山をたって後、飾りをはずした。

【出会いの住まい】

07 モーセは一つの天幕を別にして、宿営の外の遠く離れた所に張った。そして、それを「出会いの住まい」と名付けた。神に伺いを立てる者は、宿営の外にある出会いの住まいに行くのであった。
08 モーセが、出会い住まいに出て行くときには、民は全員起立し、自分の天幕の入り口に立って、モーセがその住まいに入ってしまうまで見送った。
09 モーセが、その住まいに入ると、雲の柱が降りて来た。そして、住まいの入り口に立ち、神はモーセと語った。
10 雲の柱が住まいの入り口に立つのを見ると、民は全員起立し、おのおの自分の天幕の入り口で礼拝した。

11 神は人がその友と語るように、顔と顔を合わせてモーセに語った。モーセは宿営に戻ったが、彼の従者である若者、ヌンの子ヨシュアはその住まいから離れなかった。

:【モーセの祈願】

12 モーセは、神に言った「あなたは私に『この民を率いて上れ』と言われました。しかし、私と共に遣わされる者をお示しになりません。あなたは、また『私はあなたを名指しで選んだ。私はあなたに好意を示す』と言われました。
13 お願いです。もしあなたが私にご好意を示してくださるのでしたら、どうか今、あなたの道をお示しください。そうすれば、私はどのようにして、あなたが私にご好意を示してくださるかを知りうるでしょう。どうか、この国民があなたの民であることも目にお留めください」
14 神は〈私が自ら同行し、あなたに安息を与えよう〉と言った。

15 モーセは、神に言った「もし、あなたご自身が行ってくださらないのなら、私たちをここから行かせないでください。
16 いったい何によって、私とあなたの民にご好意を示してくださることが分かるでしょうか。あなたが、私たちと共に行ってくださることによってではありませんか。そうすれば、私とあなたの民は、地上のすべての民と異なる特別なものとなるでしょう」
17 神は、モーセに言った〈私は、あなたのこの願いもかなえよう。私はあなたに好意を示し、あなたを名指しで選んだからである〉
18 モーセは「どうか、あなたの栄光をお示しください」と言った。

【顔を見てはいけない対話】

19 神は、言った〈私は、あなたの前にすべての私の善い賜物を通らせ、あなたの前に神という名を宣言する。私は恵もうとする者を恵み、憐れもうとする者を憐れむ〉
20 続けて言った〈あなたは、私の顔を見ることはできない。人は私を見て、なお生きていることはできないからである〉
21 さらに、神は言った〈見よ、一つの場所が私の傍らにある。あなたはその岩のそばに立ちなさい。
22 わが栄光が通り過ぎるとき、私はあなたをその岩の裂け目に入れ、私が通り過ぎるまで、私の手であなたを覆う。
23 私が手を離すとき、あなたは私の後ろを見るが、私の顔は見えない〉


第三十四章


【シナイ山頂でのモーセ】

01 神は、モーセに言った〈前と同じ石の板を二枚切りなさい。私は、あなたが砕いた前の板に書かれていた言葉を、もう一度その板に記そう。
02 明日の朝までにそれを用意し、朝にシナイ山へ登り、山の頂で私の前に立ちなさい。
03 誰も、あなたと一緒に登ってはならない。山のどこにも人の姿があってはならず、山の麓で羊や牛の放牧もしてはいけない〉

04 モーセは、前と同じ石の板を二枚切り、朝早く起きて、神が命じたとおりシナイ山に登った。手には、二枚の石の板を携えている。
05 神は、雲のうちにあって降り、モーセと共にそこに立ち、神の名を宣言した。
06 神は、彼の前を通り過ぎて言った〈主、主、憐れみ深く恵みに富む神、忍耐強く、慈しみとまことに満ち、
07 幾代にも及ぶ慈しみを守り、罪と背きと過ちを赦す。しかし、罰すべき者を罰せずにはおかず、父祖の罪を子・孫に三代・四代までも問う者〉
08 モーセは急いで地にひざまずき、ひれ伏した。
09 そして、言った「神よ、もしご好意を示してくださいますならば、神よ、私たちの中にあって進んでください。確かに頑なな民ですが、私たちの罪と過ちを赦し、私たちをあなたの嗣業として受け入れてください」

【契約の確認】

10 神は、言った〈私は、契約を結ぶ。私は、あなたの民すべての前で驚くべき業を行う。それは、全地のいかなる民にもいまだかつて行われたことのない業である。あなたと共にいるこの民は、すべて神の業を見るであろう。私が、あなたと共にあって行うことは、恐るべきものである。
11 私が、今日命じることを守りなさい。私は、あなたの前からアモリ人・カナン人・ヘト人・ペリジ人・ヒビ人・エブス人を追い出す。
12 よく注意して、あなたがこれから入って行く土地の住民と契約を結ばないようにしなさい。それが、あなたの間で罠とならないためである。

:13 あなたたちは、彼らの祭壇を引き倒し、石柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒しなさい。
14 あなたは、他の神を拝んではならない。神はその名を熱情といい、熱情の神である。
15 その土地の住民と契約を結ばないようにしなさい。彼らが、その神々を求めて姦淫を行い、その神々に生け贄を捧げるとき、あなたを招き、あなたはその生け贄を食べるようになる。
16 あなたが、彼らの娘を自分の息子に娶ると、彼女たちがその神々と姦淫を行い、あなたの息子たちを誘ってその神々と姦淫を行わせるようになる。

17 あなたは、鋳像の神々を造ってはならない。
18 あなたは、種なしパンの祭りを守りなさい。七日間、アビブの月の定めの日に私が命じた種なしパンを食べなさい。アビブの月に、あなたはエジプトを出たからである。
19 初めに胎を開くものはすべて、私のものである。あなたの家畜である牛や羊の初子が雄であるならば、すべて別にしなければならない。
20 ただし、ろばの初子の場合は、小羊をもって贖わねばならない。もし贖わない場合は、その首を折りなさい。あなたの初子のうち、男の子はすべて贖わねばならない。何も持たずに、私の前に出てはならない。

21 あなたは六日の間働き、七日目には仕事をやめねばならない。耕作の時にも、収穫の時にも、仕事をやめねばならない。
22 あなたは、小麦の収穫の初穂の時に、七週祭を祝いなさい。年の終わりに、取り入れの祭りを祝いなさい。
23 年に三度、男子はすべて、主なるイスラエルの神、主の前に出ねばならない。
24 私は、あなたの前から国々の民を追い出し、あなたの国境を広くするが、あなたが年に三度、あなたの神、主の前に出るときに、誰もあなたの土地を侵すことはないであろう。

25 あなたは、私に捧げる生け贄の血を、酵母を入れたパンと共に捧げてはならない。過越祭の生け贄は、翌朝まで残しておいてはならない。
26 あなたは、土地の最上の初物をあなたの神、主の宮に携えて来なければならない。あなたは、子山羊をその母の乳で煮てはならない〉

27 神は、モーセに言った〈これらの言葉を書き記しなさい。私は、これらの言葉に基づいてあなたと、またイスラエルと契約を結ぶ〉
28 モーセは、神と共に四十日・四十夜、そこに止まった。彼はパンも食べず、水も飲まなかった。そして、十の戒めからなる契約の言葉を板に書き記した。

【シナイ山を下る】

29 モーセがシナイ山を下ったとき、その手には二枚の掟の板があった。モーセは、山から下ったとき、自分が神と語っている間に、自分の顔の肌が光を放っているのを知らなかった。
30 アロンとイスラエル人すべてがモーセを見ると、顔の肌が光を放っていた。彼らは、恐れて近づけなかった。
31 モーセが呼びかけると、アロンと集団の代表者は全員彼のもとに戻って来た。モーセは、彼らに語った。
32 その後、イスラエル人が皆、近づいて来たので、彼はシナイ山で神が彼に語ったことをすべて彼らに命じた。

33 モーセは、それを語り終わったとき、自分の顔に覆いを掛けた。
34 モーセは、神の前に行って神と語るときは、いつでも出て来るまで覆いを外していた。彼は出て来ると、神が命じたことをイスラエル人に伝えた。
35 イスラエル人がモーセの顔を見ると、モーセの顔の肌は光を放っていた。モーセは、再び神と語るまでは顔に覆いを掛けた。


第三十五章


【安息日】

01 モーセは、イスラエル人の集団を集めて言った「これは、神が行うよう命じた言葉である。
02 六日間は仕事をすることができるが、第七日はあなたたちにとって聖なる日であり、神の最も厳かな安息日である。その日に仕事をする者は、すべて死刑に処せられる。
03 安息日には、あなたたちの住まいのどこででも、火をたいてはならない」

【聖所への奉納品】

04 モーセは、イスラエル人の集団に告げた「これは、神が命じた言葉である。
05 あなたたちの持ち物のうちから、神のもとに奉納品を持って来なさい。すべて進んで心から捧げようとする者は、それを神への奉納品として携えなさい。すなわち、金・銀・青銅・
06 青色の毛糸・紫色の毛糸・緋色の毛糸・亜麻糸・山羊の毛・
07 赤く染めた雄羊の毛皮・じゅごんの皮・アカシヤ材・
08 灯火のための油・聖別の油と香草の香とに用いる種々の香料・
09 エフォドや胸当てにはめ込むラピス=ラズリやその他の宝石類である。

10 また、あなたたちのうちの、心に知恵のある者をすべて集めて、神が命じた物をことごとく作らせなさい。
11 すなわち、住まい・天幕・覆い・留め金・壁板・横木・柱・台座・
12 掟の箱・それを担ぐ棒・贖いの座・至聖所の垂れ幕・
13 机・それを担ぐ棒・そのすべての祭具・供えのパン・
14 燭台・その祭具・灯火皿・灯油・
15 香をたく祭壇・それを担ぐ棒・聖別の油・香草の香・住まいの入り口に掛ける幕・
16 全焼の供え物の祭壇・それに付く青銅の格子・それを担ぐ棒・そのすべての祭具・洗盤・台・
17 庭の囲い幕・その柱・台座・庭の入り口の幕・
18 住まいの杭・庭の杭・その綱・
19 聖所で仕えるための衣服・祭司アロンのための祭服・その子らが祭司として仕えるための衣服がそれである」

【奉納品が次々と集まる】

20 イスラエル人の集団は、モーセの前を去った。
21 心ある者、進んで心からする者は皆、出会いの住まいの仕事とすべての作業、および祭服などに用いるために、神への奉納品を携えて来た。
22 進んで心からする者は皆、男も女も次々と襟留め・耳輪・指輪・首飾り・すべての金の飾りを携えて来て、金の奉納品として神に捧げた。
23 青・紫・緋色の毛糸・亜麻糸・山羊の毛・赤く染めた雄羊の毛皮・じゅごんの皮を持っている者も皆、それを携えて来た。
24 銀や青銅を奉納品としようとする者は皆、それを神への奉納品として携えて来た。また、アカシヤ材を持っている者は皆、奉仕の仕事のためにそれを携えて来た。

25 心に知恵を持つ女は皆、自分の手で紡ぎ、紡いだ青色の毛糸・紫色の毛糸・緋色の毛糸・亜麻糸を携えて来た。
26 心ある者、知恵に満ちた女たちは皆、山羊の毛を紡いだ。
27 指導者たちは、エフォドや胸当てにはめ込むラピス=ラズリやその他の宝石類・
28 香料・灯油・聖別の油・香草の香を携えて来た。
29 モーセを通じて、神が行うようお命じになったすべての仕事のために、進んで心からするイスラエル人は、男も女も皆、随意の供え物を神に携えて来た。

【彫刻・意匠芸術家】

30 モーセは、イスラエル人に言った「神は、ユダ族のフルの孫、ウリの子ベザレルを名指しで呼んだ。
31 彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識を持たせた。
32 金・銀・青銅による細工に意匠をこらし、
33 宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての細かい工芸に従事させて、
34 さらに、人を教える力を与えた。神は、彼とダン族のアヒサマクの子オホリアブに、
35 知恵の心を満たした。そして、すべての工芸に従事させ彫刻師・意匠を考案する者、さらに、青・紫・緋色の毛糸、亜麻糸を使ってつづれ織や縁取りをする者など、あらゆる種類の工芸に従事する者とし、意匠を考案する者とした。


第三十六章


【聖所建設芸術家】

01 ベザレルとオホリアブ、そして知恵・英知を神から授けられて聖所の建設のすべての仕事を行うに必要な知識を与えられた知恵のある者は、すべて神が命じたとおり、作業に当たらねばならない」
02 モーセは、ベザレルとオホリアブ、そして神から心に知恵を授けられた知恵のあるすべての者、心動かされたすべての者をこの仕事に従事させるために呼び集めた。
03 彼らは、イスラエル人が聖所建設の仕事を行うために携えて来たすべての奉納品を、モーセから受け取った。しかし、人々はなおも毎朝、随意の供え物を彼のもとに携えて来た。

04 聖所のあらゆる仕事に携わる知恵のある者は皆、それぞれの仕事場を離れてやって来た。
05 そして、モーセに言った「この民は、神がお命じになった仕事のために、必要以上の物を携えて来ます」
06 モーセが宿営に「男も女も、聖所の奉納品のために、これ以上努める必要はない」と命令を伝えさせた。民は、携えて行くのをやめた。
07 すでに捧げられた物は、作業全体を仕上げるのに十分で、有り余るほどあった。

【住まいの確認】

08 仕事に従事する者のうち、知恵のある者はすべて、住まいに用いる十枚の幕を織った。亜麻のより糸、青・紫・緋色の毛糸を使って、意匠家の描いたケルビムの模様を織り上げた。
09 一枚の幕は、長さ二十八クビト、幅四クビトで、すべて同じ寸法。
10 五枚の幕を綴り合わせ、他の五枚も同じようにした。
11 青い糸の輪を作り、一方の綴り合わせたものの端に当たる幕の縁と、もう一方の綴り合わせたものの最後の幕の縁とにそれを並べる。
12 一方の幕について五十の輪、他方の綴り合わせたものの幕にも五十の輪を作り、それぞれが合うように並べて付けた。
13 そこに、五十の金の留め金を作り、両方の幕をそれらで留め合わせた。こうして住まいを一つに仕上げた。

14 次に、山羊の毛を使って十一枚の幕を作り、住まいを覆う天幕とした。
15 一枚の幕は長さ三十クビト、幅四クビトで、十一枚の幕をすべて同じ寸法。
16 そのうちの五枚を綴り合わせたものと、残りの六枚を綴り合わせたものを作った。
17 五十の輪を作り、綴り合わせたものの端に当たる幕の縁に付け、もう一方の綴り合わせたものの端に当たる幕の縁にも五十の輪を付けた。
18 そこに、五十の青銅の留め金を作り、天幕を綴り合わせて一つにした。
19 最後に、赤く染めた雄羊の皮で天幕の覆いを作り、更にその上をじゅごんの皮で覆った。

20 次に、住まいの壁板をアカシヤ材で縦方向に使って作った。
21 一枚の壁板は、縦十クビト、横一・五クビト。
22 それぞれの壁板に二つの柄を作って隣の壁板とつなぎ合わせた。住まいの壁板全部に同じものを作った。
23 住まいの壁板は、南側に二十枚を並べた。
24 二十枚の壁板の下にはめるために銀の台座四十個を作った。すなわち、一枚の板の下に作る二つのほぞに合うように二個の台座を、それぞれの壁板の下に置いた。
25 住まいの他の側面、すなわち北側にも二十枚の壁板を並べた。

26 そして、四十個の銀の台座を作り、壁板一枚につき二個の割りでそれぞれの壁板の下に置いた。
27 住まいの後ろ、すなわち西側には六枚の壁板を並べた。
28 さらに二枚の板を作って、住まいの両方の隅とした。
29 壁板は、下部では二つずつに分かれているが、上部は箍で一つに連ねられていた。両方の隅は同じように作った。
30 従って、西側の壁板は八枚となり、銀の台座は壁板一枚につき二個の割りで計十六個であった。

31 次に、アカシヤ材で横木を作った。住まいの一方の側の壁板に五本。
32 もう一方の側の壁板に五本。また西側、つまり後ろ側の壁板に五本。
33 壁板の中央の高さに位置する横木は、壁板の端から端まで渡した。
34 金箔で壁板を覆い金環に横木を通し、その横木も金箔で覆った。

35 次に、青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸を使って、意匠家の描いたケルビムの模様の垂れ幕を作った。
36 そして、金箔で覆ったアカシヤ材の四本の柱の金の留め金に掛けた。柱のために、四つの銀の台座を鋳造した。
37 次に、天幕の入り口に掛ける幕を作り、青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸を使ってつづれ織を作った。
38 さらに、五本の柱と留め金を作った。柱の上部と桁とは金箔で覆い、五つの台座は青銅で作った。


第三十七章


【聖櫃】

01 ベザレルは、アカシヤ材で箱を作った。寸法は縦二・五クビト、横一・五クビト、高さ一・五クビト。
02 純金で内側も外側も覆い、周囲に金の飾り縁を作った。
03 次に、四つの金環を鋳造し、箱の四隅の脚に、すなわち、箱の両側に二つずつ付けた。
04 箱を担ぐために、アカシヤ材で棒を作り、それを金で覆った。
05 箱の両側に付けた環に通した。

06 次に、贖いの座を純金で作り、寸法は縦二・五クビト、横一・五クビト。
07 打ち出し作りで、一対の金のケルビムを作り、贖いの座の両端、
08 一つを一方の端に、もう一つを他の端に付けた。一対のケルビムを贖いの座の一部として、その両端に作った。
09 一対のケルビムは向かい合い、顔を贖いの座に向け、翼を広げてこれを覆った。

【供え物の台】

10 アカシヤ材で机を作り、寸法は縦二クビト、横一クビト、高さ一・五クビト。
11 それを純金で覆い、金の飾り縁を作った。
12 また、一トファの幅の枠で四本の脚を補強し、枠にも金の飾り縁を作った。
13 四つの金環を鋳造し、それぞれの脚の外側に付けた。
14 すなわち枠の高さに付け、机を担ぐ棒を通す環とした。
15 アカシヤ材で棒を作って金で覆い、机を担ぐ棒とした。

16 また、机で用いる祭具を作り、ぶどう酒の供え物を捧げるのに用いる皿・柄杓・水差し・小瓶を純金で作った。

【燭台】

17 ベザレルは、純金で燭台を作った。燭台は、打ち出し作りとし、台座と支柱、萼と節と花弁が一体であった。
18 六本の支柱が左右に出るように作り、一方に三本、他方に三本付けた。
19 一本の支柱には、アーモンドの形をした萼と節と花弁を付け、もう一本の支柱にも三つのアーモンドの花の形をした萼と節と花弁を付けた。燭台から分かれ出ている六本の支柱を同じように作った。
20 燭台の主柱には、四つのアーモンドの花の形をした萼と節と花弁を付けた。
21 節は、支柱が対になって出ている所に一つ、その次に支柱が対になっている所に一つ、またその次に一つと、燭台の主柱から出ている六本の支柱の付け根の所に作った。
22 これらの節と支柱は主柱と一体をなし、燭台全体は一枚の純金の打ち出し作りであった。

23 次に、七個のともし火皿・芯切り鋏・火皿を純金で作った。
24 燭台とこれらすべての祭具は、重さ一タレントの純金で作った。

【香の祭壇】

25 彼は、アカシヤ材で香をたく祭壇を造った。寸法は縦一クビト、横一クビトの正方形に、高さ二クビト。そして、その四隅の角を祭壇から生えるように作った。
26 祭壇の上の面と四つの側面と角を純金で覆い、金の飾り縁を作った。
27 二個の金環を作り、それを金の飾り縁の下の両側に相対するように取り付けた。担ぐための棒を差し入れる環である。
28 この棒もアカシヤ材で作り、金で覆った。

【注ぎ油のための香】

29 また、聖別の油と香料師の混ぜ合わせ方に従った純粋な香草の香を作った。


第三十八章


【燔祭の祭壇】

01 ベザレルは、アカシヤ材で全焼の供え物の祭壇を造った。縦五クビト、横五クビトの正方形、高さは三クビト。
02 その祭壇の四隅にそれぞれ角(つの)を作って、祭壇から生えているようにし、全体を青銅で覆った。
03 祭壇で使われるすべての祭具・壷・十能・鉢・肉刺し・火皿などの祭具は、みな青銅で作った。
04 格子は、祭壇の半ばの高さにある張り出した棚の下の部分に付け、青銅の網目作りとした。
05 四つの環を鋳造し、青銅の格子の四隅に付け、棒を通す所とした。

06 アカシヤ材で棒を作り、それを青銅で覆った。
07 棒を祭壇の両側の環に差し入れて、祭壇を担ぐために用いた。祭壇は板で造り、中を空洞にした。
08 さらに、青銅の洗盤と台を作ったが、それは出会いの住まいの入り口で務めをする婦人たちの青銅の鏡で作ったのである。

【庭の囲い】

09 彼は庭を造り、南側に亜麻のより糸で織った長さ百クビトの囲い幕を張った。
10 そのために、二十本の柱と二十個の台座を青銅で作り、柱の留め金と桁は銀で作った。
11 北側にも、長さ百クビトの囲い幕を張り、二十本の柱と二十個の台座は青銅で、柱の留め金と桁は銀で作った。
12 西側には、幅五十クビトの囲い幕を張り、十本の柱と十個の台座を作り、柱の留め金と桁は銀で作った。
13 東側の幅も、五十クビトとした。

14 十五クビトの囲い幕・三本の柱・三個の台座によって右と、
15 同じよう左にも、十五クビトの囲い幕・三本の柱・三個の台座によって張った。それを庭の門の両側に置いた。
16 庭の周囲の囲い幕は、すべて亜麻のより糸で織った。
17 柱の台座は青銅、柱の留め金と桁は銀、柱頭は銀で覆われ、庭の柱はすべて銀の桁でつなぎ合わした。

18 庭の入り口には、青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸で織ったつづれ織の長さ二十クビト、高さと幅が五クビトの幕を張り、庭の囲い幕に合わせた。
19 四本の柱・四個の台座は青銅、留め金は銀、柱頭と桁は銀で覆った。
20 住まいと庭の周囲の杭は、すべて青銅で作った。

【材料の計算】

21 以下の「掟の住まい」に関する建設記録は、モーセの命令によって、祭司アロンの子イタマルの監督のもとにレビ人が担当した。
22 ユダ族のフルの孫、ウリの子ベザレルは、神がモーセに命じたことをすべて行った。
23 ダン族のアヒサマクの子オホリアブが、彼を助けた。そして、彫刻師、意匠を考案する者および青・紫・緋色の毛糸・亜麻糸を使ってつづれ織をする者となった。

24 聖所のあらゆる仕事に用いられた金の総額は奉納物の金が、聖所シェケルで二十九タレント七百三十シェケル。
25 集団に登録された者の捧げた銀が、聖所シェケルで百タレント千七百七十五シェケル。
26 この額は、二十歳以上の登録された者の総数、六十万三千五百五十人の一人当たり一ベカ。聖所シェケルで半シェケルを捧げたことになる。

27 銀百タレントは、聖所と垂れ幕の台座を鋳造するために使われた。台座一個につき銀一タレント、百個の台座に銀百タレントを必要とした。
28 銀千七百七十五シェケルは、柱の留め金を作り、柱頭を覆い、また柱を桁でつなぐために使われた。
29 奉納物の青銅は、七十タレント二千四百シェケルあった。
30 それを使って、出会いの住まいの入り口の台座・青銅の祭壇・その青銅の格子・祭壇のためのすべての祭具・
31 庭の周囲の台座・庭の門の台座・住まいと庭の周囲の杭(くい)を作った。


第三十九章


【祭司の服】

01 彼らは、神がモーセに命じたとおり、青・紫・緋色の毛糸を使って、聖所で仕えるために衣服を作った。アロンの祭服である。
02 エフォドは、金・青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸を使って作った。
03 金を延ばし、金箔を作って細い糸にして、これを青・紫・緋色の毛糸・亜麻糸の中に織り込んで意匠家の描いた模様を作った。
04 その両端には、肩紐を付けた。
05 付け帯は、神がモーセに命じたとおりで、エフォドと同じように、金・青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸を使って作った。

06 彼らは、イスラエルの子らの名を印章に彫るように彫りつけたラピス=ラズリの回りに、金で縁取りをした。
07 神がモーセに命じたとおり、それぞれエフォドの肩紐に付け、イスラエルの子らのための記念の石とした。

08 次に、金・青・紫・緋色の毛糸・亜麻のより糸を使って、エフォドと同じように、意匠家の描いた模様の胸当てを織った。
09 縦横それぞれ一手幅の真四角なものとし、二重にした。
10 それに、宝石を四列に並べて付けた。第一列に、ルビー・トパーズ・エメラルド。
11 第二列、ざくろ石・サファイア・ジャスパー。
12 第三列、オパール・めのう・紫水晶。
13 第四列、藍玉・ラピス=ラズリ・碧玉。これらの宝石を並べたものの回りに、金で縁取りした。
14 これらの宝石は、イスラエルの子らの名を表して十二個ある。それぞれの宝石には、十二部族に従ってそれぞれの名が印章のように彫りつけられた。

15 次に、組み紐状に純金の鎖を作り、胸当てに付けた。
16 さらに、金の縁取り細工二個と金環二個を作り、二本の金の鎖を胸当ての両端、
17 つまり、二本の金の鎖をそれぞれ胸当ての端の二個の金環に通した。
18 二本の鎖の両端を金の縁取り細工に結び付け、エフォドの肩紐の外側に取り付けた。
19 別の二個の金環を作って、おのおのを胸当ての下の端、つまりエフォドと接するあたりの裏側に付けた。
20 別の二個の金環を作り、それを二本のエフォドの肩紐の下、つまりエフォドの付け帯のすぐ上、そのつなぎ目の外側に取り付けた。

21 胸当ては、神がモーセに命じたとおり、その環とエフォドの環を青い紐で結び、それがエフォドの付け帯の上に来るようにして、胸当てがエフォドから外れないようにした。
22 エフォドと共に着る縁取りをした上着を、青一色の布で作った。
23 上着の真ん中には穴をあけ、その縁を革の鎧の襟のようにして破れないようにした。
24 上着の裾の回りには、青・紫・緋色の毛糸のより糸でざくろの飾りを付けた。
25 さらに、純金の鈴を作って、上着の裾の回りのざくろの飾りの間に付けた。
26 鈴の次にざくろの飾りと交互にして、上着の裾の回りに付けた。これは、神がモーセに命じたとおりにであった。

27 また、アロンとその子らのために、縁取りをした亜麻の長い服・
28 亜麻のターバン・亜麻の美しいターバン・亜麻のより糸で織ったズボン・
29 亜麻のより糸で織った飾り帯・すなわち青・紫・緋色の毛糸を使ったつづれ織を作った。神が、モーセに命じたとおりであった。
30 また、純金の花模様の聖なる額当てを作り、その上に印章に彫るように「神の聖なる者」と彫った。
31 この額当てに青いねじり紐を付け、ターバンに当てて結んだ。これも、神がモーセに命じたとおりであった。

【住まいの完了】

32 これで、出会いの住まいに関する作業はすべて完了。イスラエル人は、神がモーセに命じたとおり、すべてそのとおり行った。
33 彼らは、住まいをモーセのもとに運んで来た。天幕とすべての祭具・壁板・留め金・横木・柱・台座・
34 赤く染めた雄羊の毛皮の覆い・じゅごんの皮の覆い・至聖所の垂れ幕・
35 掟の箱・その棒・贖いの座・
36 机・そのすべての祭具・供えのパン・
37 純金の燭台・一列に並ぶ灯火皿・そのすべての祭具・灯油・
38 金の祭壇・聖別の油・香草の香・天幕の入り口の幕・
39 青銅の祭壇と青銅の格子・棒とそのすべての祭具・洗盤と台・
40 庭の囲い幕・その柱と台座・庭の入り口の幕・綱と杭・出会いの住まいで行われる務めに必要な祭具・
41 聖所で仕えるために織った祭司アロンの祭服・その子らが祭司として仕えるための衣服を運んで来た。

42 イスラエル人は、神がモーセに命じたとおりに、すべての作業を行った。
43 モーセがそのすべての仕事を見たところ、彼らは神が命じたとおりに行っていたので、モーセは彼らを祝福した。


第四十章


【出会いの住まいの用意】

01 神は、モーセに言った。
02 第一の月の一日に「出会いの住まい」を建てなさい。
03 そこに掟の箱を置き、垂れ幕を掛けて箱を隔て、
04 机を運び入れ、その付属品を並べ、燭台を運び入れて灯火を灯す。
05 掟の箱の前に香をたく金の祭壇を置き、住まいの入り口には幕を掛ける。
06 全焼の供え物の祭壇を「出会いの住まい」の入り口の前に据える。
07 洗盤を「出会いの住まい」と祭壇の間に据え、これに水を入れる。
08 周囲には庭を設け、庭の入り口に幕を掛けなさい。

09 次に、あなたは聖別の油を取って、住まいとその中のすべてのものに注ぎ、住まいとそのすべての祭具を聖別する。それは、聖なるものとなる。
10 全焼の供え物の祭壇とそのすべての祭具に油を注ぎ、祭壇を聖別する。祭壇は神聖なものとなる。
11 さらに、洗盤と台に油を注ぎ、それを聖別しなさい。

【アロンとその子らの聖別】

12 次に、アロンとその子らを出会いの住まいの入り口に進ませ、彼らを水で清めなさい。
13 アロンに祭服を着せ、彼に油を注いで聖別し、祭司として私に仕えさせる。
14 彼の子らを前に進ませ、衣服を着せる。
15 あなたは、彼らの父に油を注いだように、子らにも油を注ぎ、私に仕える祭司としなさい。彼らは油を注がれることによって、祭司職は代々にわたり、永遠に彼らに受け継がれる。
16 モーセは、神が命じたとおりにすべてを行った。

【住まいの組み立て】

17 第二年の第一の月、その月の一日に、住まいが建てられた。
18 モーセは、台座を置き、壁板を立て、横木を渡し、柱を立てて、住まいを組み立てた。
19 住まいの上に天幕を広げ、更にその上に天幕の覆いを掛けた。神が、モーセに命じたとおりであった。
20 彼は、掟の板を取って箱に入れ、箱に棒を差し入れ、箱の上に贖いの座を置いた。
21 その箱を住まいの奥に運び入れた。そして、至聖所の垂れ幕を掛け、掟の箱を隔てた。神がモーセに命じたとおりであった。

22 机を出会いの住まいの中の垂れ幕の手前、住まいの北側に置いた。
23 その上に供えのパンを並べ、神の前に供えた。神がモーセに命じたとおりであった。
24 燭台を出会いの住まいの中の、住まいの南側に机と向かい合わせて置いた。
25 灯火を神の前に灯した。神がモーセに命じたとおりであった。

26 金の祭壇を出会いの住まいの中の垂れ幕の前に置いた。
27 香草の香をその上で焚いた。神がモーセに命じたとおりであった。

【住まいの入り口と庭】

28 次に、住まいの入り口に幕を掛けた。
29 この「出会いの住まい」の入り口に、全焼の供え物の祭壇を設けた。そして、全焼の供え物と穀物の供え物をその上で捧げた。神がモーセに命じたとおりであった。

30 次いで、洗盤を出会いの住まいと祭壇の間に据え、それに清めの水を入れた。
31 その水でモーセ・アロン・その子らは、自分の手足を清めた。
32 彼らが出会いの住まいに入るとき、あるいは、祭壇に供え物を捧げるときは、水で清めるのを常とした。神がモーセに命じたとおりであった。

33 最後に、住まいと祭壇の周囲に庭を設け、庭の入り口に幕を掛けた。モーセはこうして、その仕事を終えた。

【神が住まいに下る】

34 雲は「出会いの住まい」を覆い、神の栄光が住まいに満ちた。
35 モーセは、出会いの住まいに入ることができなかった。雲がその上にとどまり、神の栄光が住まいに満ちていたからである。
36 雲が住まいを離れて昇ると、イスラエル人は出発した。旅路にあるときはいつもそうした。
37 雲が離れて昇らないときは、離れて昇る日まで、彼らは出発しなかった。
38 旅路にあるときはいつも、昼は雲が住まいの上にあり、夜は雲の中に火が現れて、イスラエルの家のすべての人に見えた。


Kuroda Kouta (2005.11.11/2007.02.13)