――はるか未来の、地球のモノローグ――


高 杉 露 樹



ひんやりとした小さな太陽のもとでは
時間さえもうつむきかげんに流れていく
それでも木々は芽吹き
雷鳴は金色の紋様を刻印し
雨上がりの空にひそやかな虹を置くのだろうか
だが わたしの視神経が唯一受容するのは
最も明るい黒と最も暗い白だけ
かつて太陽フレアが放出した巨大な熱エネルギーを
畏れることなく
じっと視つめたものだったが
恒星が徐々に光を失うにつれて
わたしの記憶も大理石のように風化していった



いつからここにたたずんでいるのか
いつまでここにたたずんでいるのか




時は不可逆だと
生あるものはやがて滅びるのだと
専制的な法則の前では
すべての意味が空しく砕け散る
そして 訪れるのは虚空
沈黙と悔恨と忘却が支配する
外部とつなぐ答えを遮断し
あるいは見失い
静謐の中に眼差しは固定化する
だが 時として闇を貫き駆ける彗星のきらめきは
熱く脈打つ拍動を
しばし わたしの指先によみがえらせる



それは新しい記憶を引き継いてゆくもの
再生は消滅と共にあるのか
遥かな眠りのかなたにあるのか



(2006.03.26/2007.02.09)